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読んでないけど買ってよかった本2021

今年もたくさんの本を購入し、そして積んできた。
しかし、本棚の中や外で埃を被る以外にも、その存在こそが役割となる本が多くあった。そんな、読んでないけど買ってよかった本を5冊紹介しよう。

1.独学大全

言わずと知れた鈍器本であるこの本は、私も例に漏れず独学を進めたい想いに任せて購入した。それでも読まなかった理由は、独学に困っていないことが主な要因だ。大変運の良いことに今年はある程度モチベーションを維持しながら独学することができた。そのため、本書を読んで独学の方法を学んだりモチベーションを上げようとする発想に至らなかったのだ。
ではなぜ買ってよかったか。それは困ったら独学大全を読めば良いという考えが常にあり、リラックスしながら独学に打ち込むことができたからだ。
言うなれば、山の中にいて、今は昼だから明るいけど、夜になっても懐中電灯がカバンの中に入っているから安心。という感覚に近いだろう。
独学の緊急事態に備えて本棚に1冊、置いても損はしないだろう。

2.進化言語学の構築

この本は進化言語学における日本初の専門論文集である。私は大学で言語学系の勉強をしている学部生だが、ここに収録されている論文はどれも私には難しいものばかりで、購入はおろか読むのも早いと思われる。
しかしそれでもこの本を手元に置きたいと思ったのは、ゴールを視野に入れておきたいという意図があるからだ。また、論文のタイトルやパッとみてわからない単語などから、今後の勉強の道筋の開拓にも繋がっている。
あなたも、いつか読みたいけど自分には早すぎると思っている本や、勉強したいと思っている雲上の本を手元においてみてはどうだろうか。

3.改訂版 生物

おそらく今回の中では最も読んだ人が多い本だろう。
この本は高校の生物の教科書だが、決して私が高校時代に怠けていたわけではない。買って読んでいない本であるから、今年購入したものになる。
購入理由はひとつ前の進化言語学の構築を読むため、また進化言語学を学ぶためである。この学問は学際的な研究分野であるため、専門の知識のみでは太刀打ちできない。遠回りに見えるかもしれないが必要不可欠な勉強だ。
読んでいない理由は、読む前に言語学の勉強量が足りないことに気づいたからである。勉強するとわからないことが増えていくとはよく言ったものだ。
しかし、この本があることで途方もない学びの道のりに中継点を作ってくれることは確かなので今回の5冊の中に選んだ。

4.一般言語学講義

言語学を学んだ人なら一度は聞いたことであろうこの本、言語学を勉強するなら持っておいた方がいいだろうと、どこか中途半端な気持ちで購入した。
しかし、いざ手元にあると、なぜか自分が学問の渦中にいる人々の中の一人だということを度々思い出させてくれる。キリスト教徒における聖書のようなものなのだろうか、自分でもよくわからない。この本に関しては今後も読むかわからないが、本棚の一番上に仕舞われたそれは、今日も私を見守っているのだろう。

5.グルジア語文法

今までの本は私の本や学問との向き合い方なども含めて、過剰かと思うくらい真面目に書いてきたが、この本に関してはある一言によって表現できる。
安かったのだ。
具体的には定価約15000円が、約1600円にて売られていた。古本屋にはこのような楽しみ方もある。さながら美術商の気分だった。
ただこれだけでは今回選ぶほどの理由にはならない。この本を買ってよかった理由はグルジア語に興味を持てた点にある。
現状、グルジア語を本気で勉強する予定はない。この本を開くのは、大学卒業後かも、定年退職後かもしれない。それでも、語学を学ぶことは人生に大きな影響を与える活動だということは紛れもない事実である。
そんな未来の自分に期待を込めて最後にこの本を選んだ。

終わりに

見返してみるとやはり個人的な興味に関する本が多くなってしまった。
おそらくこの記事を読んで同じ本を買おうという人はいないだろう。
私も自嘲しながらamazonのリンクを貼り付けた。
杞憂だろうが、版の関係などで私が所持しているものと完全に同じ本のリンクでないものがあることを了承いただきたい。
本が存在するからには読まれることが好ましい、ということはまず間違いないだろう。しかし本の価値というのは読まれずとも何らかの形で未来の読者に働きかけるのであろう。
5冊に入れなかった積読の山からの強い念を背中に受けながら、筆を置く。

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