SUPERRICHを見終えて、視聴者と製作協力者の立場から思うこと。 ※未放映の北別府先生マンガUPしました

SUPERRICH、イマサラですが
ようやく最終回を観ました。

何度打ちのめされても屈せず、
ファイティングポーズを
取り続ける異色のヒロインと、
それを包み込むような年下男と
黙って一歩後ろから支える部下の
男女逆転オシゴトラブストーリー。

前半は天国地獄往復ジェットコースター、
後半は「ハゲタカ」みたいな展開でしたが。

特に考えさせられたのは
その底流に流れるもの、

お金で買えないものと、
稼ぐ大変さと、
寄り添うこと、でした。

そして個人的には、
初めてメディアでマンガの仕事を
させていただいた記念すべき作品であり、
同時に好きなことでお金を稼ぐことの
大変さを思い知った貴重な機会でもありました。


ドラマ視聴者として受け取ったこと、
そしてほんの一瞬だけでも製作者側に
いられた人間として感じたことを
書いておきたいと思います。


※併せて未放送のマンガ原稿を公開します



■「お金で買えないもの」のためにたたかう



私が特に印象に残ったシーンは3つ。

一つ目は3話。
北別府先生に衛が新作の評価をぶつける時。
「おもんないです」
自分には、”カーン”とゴングが鳴った音が聞こえました。

「ゼロってそんなにアカンことですかね」
衛自身も、すべてを失ったところから
再起を図ろうとしている。
だからこそ、通じ合い響きあえた2人。

「どこかいいところなかった?」と
新作に少しでもいい感触を得たくて
訊くレジェンド漫画家に対して、
かぶせ気味に「ないです」と即座に却下する衛。

あの完膚なきまでの容赦なさが良かったんでしょうね。
編集者には絶対言えなかった言葉。
それが、何もないところから
やってやろうじゃないの、と、
北別府先生の反骨心に火を着けた。
この瞬間、2人は戦友になったんだな、と思いました。


そして、札束に物を言わせて
駄作の掲載を迫り読者を買おうとする
投資家の融資話を撥ねつけて、
衛が言い放つ一言。

「せっかくゼロになったんやから、
やりたくないことはやらん」

一同驚愕、痛快な
前半のクライマックス。
私も物凄く気合が入りました。


そう、私たちは、
お金じゃ買えないものを創りだしたいんだ。
漫画家も、供給サイドも、それは同じ。

それが現実にどんなに難しいかを
知っているからこそ。

綺麗事でも理想でも、
やっぱりそれを失っちゃダメなんだ、と。



■無言の仕草から伝わってくる想い



もう一つ印象に残ったのは、
衛の祖母の葬儀シーン。

衛のせいで息子を亡くしたと恨み、
認知症を患い、孫を罵り続けた祖母。
生きている間にわかりあえることなく
亡くなった祖母の棺に、事務的に
供養の花を詰めていく衛。
その横から、すっと現れて
ただ黙って花を手向ける優。

「なんでこんな大事なこと
知らせてくれなかったんですか」と
衛を責めるのでなく、
無言のさりげない心遣い。
そういうことが出来る人物として
造形された優の存在自体が
胸に沁みました。

こういうのって、たぶん実際に
身近な人を見送った経験がないと書けない。
脚本家や演出の方々の思いや
社会人としての蓄積などを感じた回でした。


■「ともに怒る」という寄り添い方


LGBTであることをネット上で暴露され
会社のダメージを避けるため、
会社を去ると言う今西。

自分は大したことじゃないと
気丈にふるまう今西に対して、
「知らんヤツから暴力振るわれたんよ!」
だから貴女は悪くない、ちゃんと怒っていい、
と悲憤しながら告げる衛。

「あたし何にも悪いことしてない…」と、
咽び泣く今西を抱きしめる衛。

もらい泣きしましたよ当然!


心の寄り添い方とかを、ひとつひとつ、
提示してくれたドラマだったんじゃないかと思うのです。


■ツッコミたい事はあるのですが…


実際問題としては、
途中からの空があまりにも不憫すぎて、
「ちょちょちょ、ソレでいいの???
キミはそれでシアワセなの?????」と
ずっと画面に向かって叫んでしまったのですが…。

どんなに自分の気持ちを抑え込んで
「これがあの人の幸せなんだ、それが
自分にとっての幸せなんだ」って
思い込んだとしても、どこかで
絶対ドス黒い情念に足を取られることも
あるはず…と思ってしまうのは
私の心根が汚れているせいでしょうか…。

そういう意味ではブラック宮村、
もう少し見たかったです(笑)
すみません、我儘で。


■お金を稼ぐ大変さ、創り上げる充実を体感


さて、奇しくもお金を巡るこのドラマに
3・4話の北別府先生の原稿制作で
かかわらせていただくことを通じて、
文字通り、「自分の技術と時間を使って
対価を得ることがいかに大変か」と
いうことを思い知らされることになりました。

内情を少しお話すれば、
元々の納期がハードだったのもありますが、
それだけでなく、一度納品しても
先方が求めるレベルに達していなかったり、
自分の理解が先方と違っていたりして、
何度もリテイクで再提出することになったからです。

専門学校が間に入ってくれていた案件なので、
ムリそうな納期の原稿はいくつかにバラして
〆切を分散させる等の調整をしてくれたのですが、
学校の名前を背負っている以上
いい加減なものを提出する訳にいかず、
当初2週間で納品のはずが
結局1か月かかってしまったのでした。


また放映後のSNSの反応で、
テレビというメジャーなメディアで
話題のドラマともなると、ネガティブ評価が
これくらいあるのかというのも体験しました。


それでもとにかく、ドラマが無事に終了し、
自分の制作物が北別府先生の原稿として
ドラマの中に溶け込んで機能できて、
少しでも貢献できて、本当に良かったです。

まだまだ実力不足を痛感すると同時に、
シゴトとして請け負うことで、
短期間で間違いなく画力は向上しました。
今後に活かしたいと決意を新たにしています。


一緒に何かを創り上げていく難しさと面白さ。

ドラマが見せてくれたものを、
私もその一部としてほんの少しだけでも
誰かに届けられていたら、
こんなに嬉しいことはありません。



俳優の皆さん、製作者の皆さん、
本当にお疲れさまでした!
有難うございました!!



■未公開漫画UPします!プレイバックにご活用を(^^)


さて、放送が終了しましたので、
制作サイドから依頼されて納品したマンガのうち
放映されなかった原稿も、
過去記事に追加しました↓

放映されたマンガ・ポスター等と併せて、
プレイバックでお楽しみいただけると幸いです😊💕



この記事が参加している募集

私の作品紹介

後押しいただけたら、地の果てまで頑張れそうな気がします…!