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「SUPERRICHの漫画、何であんなヘタなのが採用されてるの?」→描いた人間がお答えいたします

初めましての方、こんばんは。アリセ・ミシャと申します。

いつも見てくださる方々、有難うございます。

今回、木曜劇場「SUPERRICH」に登場するレジェンド漫画家・北別府先生の作品「キッスをするなら5秒前」等の漫画原稿やポスターイラストの作画を担当させていただきました。

3話放映後、マンガのセリフを使った演出を含め大盛り上がりの一方、様々なご意見がTwitter上であるのを拝見しました。

「何であんなヘタなのが採用されてるの?」

「大ヒットを出した漫画家のはずなのに」

「デッサン酷すぎる」

「もっとうまく描ける人がいるはず」

全くおっしゃる通りと受け止めるしかありません。

ただ、誤解によって番組の盛り上がりが削がれてはいけないと思い、事実はお伝えしておこうと、余計なことかと思いつつ筆を執った次第です。


事実1 作画担当させていただくことになった経緯

私は現在、専門学校の学生です。ドラマ制作サイドから専門学校あてに、「1980~90年代の絵柄を描ける方いませんか」という依頼があり、学校経由でこのオシゴトのお声掛けをいただきました。

納期が短かったためコンペ等はなく、もちろん私が一番の実力者だから選ばれたのではありません。

簡単に言えば、絵柄が化石だったため、先方のオファーと合致したからです。

詳細はコチラを参照いただけますと幸いです▼


事実2 自分のオリジナル漫画ではありません

あのタイトルもストーリーもセリフもキャラのポーズもコマ割りも、すべて先方の仕様指定に基づいて納品したものです。企画を持ち込んだわけではないので、オリジナル要素はありません。

「おもんない漫画」「ツギハギ漫画」も、先方からのネーム通り、本当に面白くなくてツギハギになるよう描きました。

ちなみに、面白くない漫画ってわかってて描くのって、実は物凄い苦痛なんですよ…でもお仕事ですから頑張りました!そういう設定ですから。ドラマの流れに不可欠な小道具ですから。

なお、「地獄絵図」と称された愛羅さんの作品は担当しておりません。あれを描かれた方も大変だったと思うんですよね…


事実3 ドラマでどう紹介されるか知りませんでした

まさか「圧倒的な才能の持ち主」などと紹介されるとは思っていませんでした。

ですので、実際放映時に古田さんの回想モノローグを聞いて、「ひいいぃーーー!!ご勘弁クダサイ!!!m(__)m💦」悶えるしかありませんでした。


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もちろんその説明に説得力を持たせられなかったのは、ひとえに私の実力不足です。

ただ今回はそこではなく、マンガのセリフやストーリーに込められた制作者のクリエイターの皆さんのメッセージをぜひ受け取っていただけたら…と思うんです。

私自身はこれから先マンガがどのように使われるのか知りませんし、ストーリーの結末も何も情報を持っていません。ただ、「ゼロからの再起」という物語を、私も一視聴者として、とても楽しみにしています。自分自身がゼロ状態を体験したことがあるからです。


自分もゼロを体験したから応援したい

今年、30年近く勤続した仕事を50歳で早期退職しました。4月から専門学校に入学し、漫画家を目指しています。将来の目処も資格も実績も何ひとつ確実なものを持たないただの失業者だった時、自分を支えてくれたのは、「ゼロでも絶対譲れない。描きたい漫画を描くまでは死ねない」という思いでした。

だから主人公の衛の「ゼロってそんなにアカンことですか」という言葉には深く深く共感しましたし、北別府先生に「そうだよ、ここからだよ!」と思わずエールを送っていました。


本気なら、面白くないって言われれば悔しいはず。

ヘタなら上手くなりたいはず。

ホントにそうです。


私ももっともっと上手くなりたい。

面白くて掛け値なしで人の心を動かすことのできる物語を生み出したい。



だから精進し続けたいです。

とりあえず今日はSUPERRICH見て充電します!!


後押しいただけたら、地の果てまで頑張れそうな気がします…!