電話
(トゥルルルル... トゥルルルル....)
ダイヤル音がよろめく誰かを探している
打ち上がった魚のように跳ねた
一つ眼のあなたの心電図を
(トゥルルルル..... ガチャッ)
ぬるい風に乗せて腕を伸ばし続ける
どこにも繋がらない電話線
波の音が受話器から聴こえる
(ツー... ツー... ツー... ツー...)
コール音が奏でる一曲分の空間に
豚の腸のように詰めては膨れる言葉
そこに湧き出す後悔の和音とリズム
(. . . . ヒサシブリダネ)
無限に長い電話番号から呼ぶ声する
どこで区切っても誰かに届くという
過去にも未来にも繋がったままの電話たちが
青空に向けてコール音を鳴らす
(アイタカッタヨ)
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