見出し画像

ラベンダー



とある庭先に咲くラベンダーが
とある星雲のように佇んでいるのを
とある夕方の溜め息が見つけた

そのとなりの
さらにとなりの家の
庭の隅っこに

同じラベンダーがひとつあった


溜め息ではなく息を呑んでいた
何も言わず 夕日に照らされる
そのラベンダーは私自身ではないか

   なんて頼りないのだ
   どうしてそんな所に
   降り立ったのか


紫と白の花が春風にゆれる
周りの草花と違う周期で
星雲のかけら
揺らぐ宝石
溶けぬ雪
異邦人のラベンダー



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?