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卒業式によせて


正直言って、友達に会いに行っていた
授業や宿題は後まわしの後まわし
あんなに行くのが面倒だったのに
もう一生入れない教室がある

まさにスシ詰め状態のせまさだった
夏は蒸して暑いし冬は寒かった
それでも毎日集まっていたのに
もう一生入れない部室がある

ご褒美の日といえばそこが鉄板
何もない日でもご褒美にできた
いまでも味を思い出せるのに
もう一生入れない店がある

写真ではいつも散らかっている
実はもっと汚い時期もあったな
どこよりも一番安心できたのに
もう一生入れない部屋がある

記憶に残ってるのはほんの少しだ
だって次々に何かが起きるからさ
あんなに辛く苦しくもあったのに
もう一生戻れない日々がある


ああ、そんなに昔でもないのに
思い出すとついタイムスリップして
気付けば、私は呆然と立ちすくむ

そこはかつて私の場所だったが
いまは誰かの場所になっている
秋と春に入れ替わる落葉樹のように

私たちもついに入れ替わる時が来たのだ
なんてことはない
入れ替わらない人はいない

おい泣くなよこれは大いなる学びだ
昔から云われているだろう
「さよならだけがじんせいだ」と

明日の卒業生たちよ 一つ言えるのは
歓喜と切なさが同じくある別れが
ああ、どれだけ素晴らしいことか!

たとえ今はそうは思わなくとも
あなたの中に宿るその思い出たちは
一生、あなたの場所であり続けるのだ





卒業おめでとう!!
大したやつだ!!!


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