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Sugar Salt #4
「遠藤さん?お酒飲んだの?」
抱きつかれたまま問いかける。
すると彼女は顔だけこちらに向けた。
「すこぉーしだけ飲みましたっ」
身長差のせいで自然と上目遣いになる。
あまりにも可愛過ぎる。
…じゃない。今はそこじゃない。
「どうしてお店に来たの?」
「へ、へへっ、それ聞いちゃいますか?」
「う、うん。何なら一番気になるんだけど…」
「この時間に来たらぁ、山下さんに会えるかなぁ〜っ
Sugar Salt #3
遠藤さんを送り届けた翌日、いつも通りに出勤する。
今日は遠藤さんはシフトが入っていないので、来ない訳だが…最近話す事が多かったので何だか物寂しい。
「山下さん!今日も頑張りましょうね!」
そんな折に声を掛けてきたのは優大だった。
「お前はいつも元気だな」
「そうですかね?」
「あぁ、こっちまで元気貰えるよ」
「…俺が女だったら惚れてましたよ」
「お前キショいなぁ…」
「ちょ、酷い
Sugar Salt #2
休みの殆どを寝て過ごした俺は、翌日職場に出勤していた。
服を着替えてホールに出ると、既に遠藤さんが出勤していた。
「遠藤さん、おはよう」
「あ、山下さん。おはようございます」
心なしか、いつもより彼女の声が柔らかい。
何かいい事でもあったのだろうか。
「遠藤さんがこの時間から来てるなんて珍しいね」
いつもはもっと後に来るはずなのに。
「先月ちょっとお金を使い過ぎてしまったので、シフ
Sugar Salt #1
「ありがとうございました〜」
感情のこもっていない声で何人目とも分からないお客さんを見送る。
飲食店で二年も働いていれば、こうなる。
24歳、一人暮らしのフリーター。
このワードを耳にして、一体誰が興味を持つだろう。
こんな生活をしている自分に嫌気が刺すか?と聞かれれば当然答えは “Yes” だ。
かと言って、今更就活をする気も会社員として頑張っていく気もない。
会社員になったって給