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[すこし詩的なものとして]0152 月の実り

履き慣れた靴の感触に囚われて
壊れて捨てようとしても
約束したわけではなく
どうしても手放すことができないでいる

見もしない腕時計は
手首に時を刻んでバラバラになっていく
でも手放さないでいる理由
それはなんだろうか

人が急いで家路に向かう
コンビニから慌てて人が出てくる
なんて美しい光景か
季節は一層に深まっていく

見上げると
まんまるな月が
幾重にも幾重にも
大きくなっていく
でもそれは満たされているのとは違う何か

例えば
犬の遠吠えが夜中に聞こえて
静かな眠りが破られても
立ちはだかる壁に嘆き悲しんでも
呪うなかれ
祈りは遠く見知らぬ土地へ

飲み込めない君の憂い
苦いのかもしれない
子どもの頃に気づいた憂い
それは豊かささ

乾くほどに冴えていく
空に浮かぶ月
それは成熟と実りの祈りかもしれない

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最近街中で怒鳴っていたり、叫んでいたり、または意図的に少なからず他者へ向けてそのような行為をしている人を見かけることが多い気がする。
月は満ち欠け、成熟と未熟、豊かさと鈍さを巡らせる。人はどうなんだろう。

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