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バンドを10年以上続けたバンドマンへの厳選質問5選

LIKE A KID Kentoです。このNoteを開いてくれてありがとうございます。🫶
つい最近アルバムツアーを終えてその感想でnoteデビューを果たしたので読んでない方は是非こちらも読んでくれたら嬉しいです。👇

上の記事でも書いた通りLIKE A KIDは活動から約3年が経ちます。

子供でいうとようやく一人でトイレに行けるぐらいの年数ですが、
そんな中でバンドを10年以上続けている先輩からお話を聞ける機会をもらいました。
初記事をみてもらった方はご存知の通り、実はど真面目人間なので聞きたいことをみっちり用意してお話を伺ったのでこのnoteでシェアさせてもらいます。

子供でいうと10年以上は小学校高学年〜中学入学ぐらいまでの歴。
バンド3歳児の僕からすればめちゃくちゃかっこいい上級生なので、目キラキラさせながら色々聞きまくってたらあっという間でした。


この機会をくださった

ビトクさん (Sailing Before The Wind)


本当にありがとうございます!🙇




①10年間でのお客さんの母数に変化はあったか


Kento:Sailing Before The Windは2011年結成、LIKE A KIDは2020年結成とおよそ10年ほどスタート時期が離れています。

Bitoku:あらためて文字にするとだいぶ離れてるなー!

Kento:2020年からはコロナを挟んだ時期もありますが、僕らのようなジャンルでライブハウスに来るお客さんの母数に、増減はありますか? 肌感覚で構いません。

Bitoku:結論、増減はない気がするね。メタルコアの認知度は向上したと思うけど、ライブハウスのお客さんは周期的に入れ替わるので。頻繁に来てくれていたお客さんでも、仕事や家庭環境の変化で、なかなか来れなくなっちゃったりするし。Kento君の印象はどんな感じ?

Kento:僕の印象としては、10年前の方が、今よりもお客さんが多いイメージです。好きなシーンのライブハウスに行けば、同じシーンが好きな顔ぶれと気軽に乾杯できる印象です。

Bitoku:LIKE A KIDを始めてからの3年間で、お客さんの入れ替わりは感じるかな?

Kento:若干は感じます。昔からどのイベントにも来てくれたお客さんを見かけなくなった代わりに、新しいお客さんが顔ぶれになってきたりするので。ビトクさんのお話を伺って、各ジャンルの認知度が上がった事に伴わず、昔と今でのライブハウスに来るお客さんの母数自体にあまり変わりがない事は面白い発見でした。

Bitoku:ジャンルの認知度は確実に上がってると思う。ライブハウスに来なくなったからといって、音楽ジャンル(知識)はそんなすぐには忘れないだろうし。生活環境の変化に比べれば、聴く音楽の好みも変わりにくいかなと。


②5年以上続くバンドの特徴


Kento:目的が何であれバンドをやる以上、バンドを続けることが共通点にあるバンドが多いと思います。ビトクさんはSBTW結成から10年以上バンドを続けていく中で、色々なバンドを見てきたわけですよね。

Bitoku:ここ10年間に出てきた和製メタルコアバンドの大半、対バンしたりライブを見たりしてきたはず。でも同世代で10年以上続いているバンドは、ほんのひと握りじゃないかなぁ。気づいたら、ほとんど皆いなくなってる。

Kento:自分のバンドLIKE A KIDは活動から4年目を迎えました。参考のために、ライブ活動や音源リリースを定期的に行いつつ5年以上続いているバンドの特徴は何でしょうか。

Bitoku:続く特徴は分からないけど、続かない要素を潰すことはできるかなと。「やめる要因」は減らす。例えば”やめる条件”を設定しているバンドは、その時点で、バンドが続かない可能性を上昇させている。「今のメンバーが1人でも欠けたらやめる」とか「次の音源で〇〇できなかったら終わり」のような。やめる条件を決めていなければ、「新しいメンバーを見つけて立て直そう!」って思えるわけで。

Kento:逆を考えることで、「続ける要素」と「続けない要素」の数を天秤にかけて、続けやすくする。たしかに、「やりたいこと」が明確でなくても、「やりたくないこと」は明確にはできます。逆算的に考えて、洗い出したものを潰していけば、道筋も立てやすくなる。その先を見て、行動しやすいなと感じました。

Bitoku:ネガティブ要素を特定する方が、楽じゃない? 例えば、好きな食べ物を聞かれて迷う人はいても、嫌いな食べ物を聞かれて迷う人、いないじゃん。「俺ピーマン嫌いなのかなぁ?」とはなりにくい。もちろん美学として、やめる条件設定(退路を断つ)は理解できる。けど、それを客観的に見ると、続かないルートが増えるのは事実。


③ソロかグループか


Kento:近年ではソロ名義でも、サポートメンバーをつけて、実質バンドの形態をとって活動してるアーティストが多く見受けられます。

Bitoku:「バンドセット」みたいな表現もあるもんね。

Kento:全員正規メンバーでやるバンドのメリットはいくつかあると思いますが(金銭面での負担を分割できるなど)、ソロ名義でバンド形態をとるメリットと、全員正規バンドのメリットが何か、ビトクさんのご意見を伺いたいです。

Bitoku:ソロの方が早く先に進める。意見が割れないし、責任も決裁権も自分にあるから。話が早い。しかし、遠くに行こうとすると、限界を感じる。背負うリスクの量を増やしにくいから、リターンも大きくなりづらい。一方、バンドで正規メンバーが多いと、その分リスクをたくさん背負える。リソースも多く投下できる。したがって、当然リターンも大きくなりやすい。

Kento:収益の面で考えると、ソロの方がハイリスク・ハイリターン、バンドの方がローリスク・ローリターン、と考えていました。単純に正規メンバーの数で収益を割る場合、バンドは個々の利益が少額になりやすいので。

Bitoku:それはそうなんだけど、1人当たりの負担額が違う時点で、どうだろうね。同じ1万円でも、ソロアーティストが1人で負担する1万円と、5人バンドが均等に2,000円ずつ出すのって、”比較”になってるのかな? 
俺が言いたいのは、1人あたり1万円負担の場合、ソロは1万円だけど、5人バンドなら5万円動かせる。そういう意味で、金銭面に限らず、リターンを増やしやすいはず。

Kento:たしかに個人換算ではなく1グループでお金の動きを考えれば、ソロよりも人が多いグループの方ができることの幅が広がりますね。ソロの方で、具体的に「遠くに行こうとすると限界を感じてしまう」例はありますか?

Bitoku:結局、誰かに発注はしないといけないよね。ソロ活動とはいえ、音源もデザインも写真も映像も雑務もマネージメントも何もかも「全部1人でやってます!」って人、いるのかな? マジで1人だと、とにかく並行作業ができない。例えばライブの現場で、「俺は物販やるから、その間に機材車とって搬出しといて」みたいなことができない。「作曲しながらミックス」もできない。「プロジェクトの規模」が大きくなるにつれ、「並行作業によるスピード処理」を使わないと、手も回らなくなる。

Kento:バンドできく小回りも、ソロだと外注で賄うことになりそうですね。。

Bitoku:で、ソロ名義だと、この並行作業をするためのコストが、かかりやすい。基本的に、全ての並行作業に金銭が発生する。他の正規メンバーではまかなえないから。逆にバンドは、メンバー内で分担できれば、発注コストは抑えられる。ただ、利益も頭数で割ることになる。なんというか、最終的には、優秀な人材とチームを組めるかどうかが全てな気はします。


④おすすめの本


Kento:ビトクさんはnoteやPodcastなど様々な場所でアウトプットをされており、その分どこかでインプットしてる機会も多いのではないかなと考えています。

Bitoku:名推理だ。

Kento:バンド運営をする上で、最近読んだものでも良いのでビトクさんご自身の参考になった本などあれば、教えてください。

Bitoku:

コナンの最新刊を読みました。


……いやコナンはともかく、今年は全く本を読めてないです。Kento君は日常的に本を読むの?

Kento: 今までは気分で読まなかったり読んだりでしたが、最近は暇さえあれば読むぐらいハマっています。ボーカリストとして適切な言葉を選べるようになるためのインプットや、他人が生きた人生のまとめや考え方を本を読むことで血となり肉となる感覚が好きです。笑。

Bitoku:たしかにボーカリストは言葉を扱うポジションだから、読書は血肉にしやすいな、なるほど。俺がバンド運営に一番役立ったのと思うのは、アダム・グラントの『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代だね。簡単にいうと、この本のおかげで、「アイデア創り」と「アイデア選び」が別のスキルだと、認識できた。結果、思いついたものを何でも試すようになれた。もし自分にアイデア選びのスキルがなくても、浮かんだアイデア全部を試していれば、どうにかなるだろう、と。

Kento: アイデアを「創ること」と「選ぶこと」を別で分けるという視点が面白いですね!note運営やTikTokでの積極的な発信もこの考え方からなのかとお話を伺って感じました。



⑤アルバムを出すメリット


Kento:最後の質問です。
2023年10月29日にLIKE A KIDにて初のフルアルバムをリリースしました。

Bitoku:リリースおめでとう、俺はPV曲のThe Paintsが一番好き!どういう理由でアルバムを出したのかな? 

Kento:バンドの名刺になる盤を出すのが主な目的でした。が、正直な話、懸念点を抱いていました。アルバム内の数曲が伸びないと、新規リスナーにアルバム全体を繰り返し聞いてもらうのは難しいのでは、という。

Bitoku:アルバム内にキメ曲みたいな存在が必要、ってこと?

Kento:そうですね。アルバムを発表した時のインパクトはシングルより大きいと思いますが、ビトクさんが仰ったキメ曲的な楽曲がないと、アルバムを聴く入口にもならず、そもそもアルバム自体を聴いて貰えるチャンスがないかなと考えていました。

Bitoku:分かる。リードPVを見てピンと来たら、アルバムへの興味も湧くし。そんなLIKE A KIDのアルバムからは現時点で”The Paints”と”Backseat”が公開されているけど、どういう理由でこの2曲を選んだのかな? 

Kento:どちらも、怠惰気味になっていた自分達を鼓舞するために書いたという共通点があったので、2部性のストーリー仕立てでその2曲をMVにした方が、どちらも新規問わず観てもらいやすいかなと考えていました。

Bitoku:なるほど! 個人的には”The Paints”が一番刺さったな~。細かいギターフレーズがたくさん入っているから、メタルコア耳でも楽しめると思う。

Kento:SBTWはライブアルバム以外アルバムを出していませんが、音源としてのアルバムをリリースしていない理由はなぜでしょう?

Bitoku:音源アルバムを出せていないのは、シンプルに、リーダー兼作曲者である自分の怠慢です。強いて良く言えば、目の前の物事に集中していた、かな。

Kento:直面していた「目の前の物事」というのは具体的に伺っても良いですか?

Bitoku:活動開始から2015年まではメンバー脱退が多くて。5人中4人が抜けたこともあったし…。あの時期は、「バンドを存続させること」に手一杯でした。
その後ライブメンバーやサポートメンバーに恵まれてからは、毎回「次のライブ」に集中。だって、メンバーの入れ替わりが激しすぎて、「ライブができない」で悩んでいたからね。そりゃラインナップが安定し出したら、「うおーライブできるぞ最高!」ってなるよ。結果、SBTWは2016〜2019年の4年間で、216本ライブをした。ようは、ほぼ毎週ライブ。

Kento:数年の間リリースをせず、ひたすらライブをやり続けた意図が何か教えていただけないでしょうか?

Bitoku:意図的にリリースを絞ったわけではなく。また、意図的に「ライブをやり続けよう」としたわけでもなく。見方の問題です。
音源制作をせずにライブだけしているバンドを、「ライブに集中していた」と表現できるよね。でも、裏を返せば「音源作りをサボってる」とも言えるわけで。もちろん自分としては「サボった」つもりはないけど、でも、外側だけ見たら、そういう結論にはなっちゃうかな。深い計画はないです、もがいているうちに、時間が無情にも過ぎていった感覚。

Kento:「今」の自分達にできることをひたむきにやり続けた事が、ライブをやりまくることに繋がったんですね。
SBTWは他のバンドよりリリースが少なくても、数年のライブ活動で口コミが増えていた印象がありました。僕もライブ活動している様子からSBTWを知ったため、数年ぶりに新譜が出るとなった時は僕の中ではインパクトが大きかったです。それを同じように感じた人も他にもいたのではないかなと思ったので、その数年の動きも見据えてビトクさんが敢えて意識してライブ活動を行っていたのかと気になっていました。

Bitoku:基本的に自分は見切り発車タイプだよ。もしかしたら「戦略家」的な見え方をされてるかもしれないけど。笑。こうやって色んな人とnoteコラボしてみたのも、完全に思いつき。






なんか自分でも振り返ってみるとバンドマン同士の会話とは思えないぐらい固く見えてしまいますが、、(そもそも友達からもおすすめの本とか聞いたことない。笑)
正直3年続けるだけでも結構大変だったのに10年以上も一つの事をやり続けるのは並大抵でない上に、自分はビトクさんの存在を高校3年生の時にライブで見たCRYSTAL LAKEの時から知っていた事もありながらバンドを始めてこうして後輩にきっかけをくれた事に深くリスペクトしています。

バンドを続けていく上でやばいバンドが出てきて比較した時に自分たちのやり方でどう生き残っていくか、そして何かしらの形で辞める事を決めるバンドが少なくなるようこの記事が微々たる支えになれば良いなと思います。

改めてお忙しいのに付き合ってくださったビトクさん、ありがとうございます!


そしてここまで読んでくれた貴方にも感謝、ありがとう!

最後にLIKE A KID活動から3年間経ったのでしつこく子供で例えた伏線として3歳の自分を置いてきます。
クソガキ

LIKE A KENT氏 (3歳 )


Kento - LIKE A KID

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