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過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。モンテーニュ

ミシェル・ド・モンテーニュ(Michel de Montaigne、1533年 - 1592年)はフランスの哲学者で、ルネサンス後期のヨーロッパにおいて重要な思想家の一人です。彼は「エセー(Essais)」の著者として最もよく知られており、この作品は自己省察と個人的な思索を通じて多様な主題を探求することで知られています。
ちなみにこの「エセー」は随筆という意味の「エッセイ」の語源になったものです。

そして、「エセー」のから読み取れる主な主張(エッセイなので主張っぽくは書いてないけれど)は以下の通り
・人間の感覚や理性では、普遍的で絶対的な真理を知ることはできない。
・常に疑いを持ちながら、真理を探求し続けなければならない。
・謙虚な姿勢で、真理を探究し続けなければならない。
・自分の経験や考え方を、常に客観的に見つめ批判的に検討しなければならない。

なぜモンテーニュはこんなことを考えたのでしょうか?
時代背景
当時はルネサンス後期でフランスではユグノー戦争(カトリックとプロテスタントの争い)が起きていて(1562〜98年)、役人であったモンテーニュは民衆が暴徒化する様を見ていた。(サン・バルテルミの虐殺など)1570年にフランスの法官は辞任しているけれど、カトリック、プロテスタント両方に人脈を持ち、両派の融和に奔走したそうです。だからこそ人のモラルの限界を察して、それでもモラル説き、自己懐疑自己批判をしながら謙虚に真理を探究することを説いたのだと思う。これは現代においても有効な考え方だと思う

サン・バルテルミの虐殺

モンテーニュは「エセー」などを通じて、自己とは何か知識とは何かそして人間がどのようにして真理にアクセスできるのかという基本的な問いを掘り下げることによって、後の哲学や思想に大きな影響を与えました。彼は、個人的経験と客観的事実の間の緊張を認識し、この二元性の中での知の可能性を模索しました。

ここから現代の我々が学ぶべきことは
1. 自己省察と個人的成長
モンテーニュは、自己省察を通じて個人の理解と成長の重要性を強調しました。現代社会では、自己啓発や個人的成長が価値を持つと認識されており、モンテーニュの自己探求の重要性を認めるアプローチは、自己理解を深め、より充実した人生を送るための鍵となります。

2. 懐疑主義と批判的思考
モンテーニュの懐疑主義は、絶対的な確信への疑問を投げかけるものです。現代社会においても、偽情報や偏見に対抗するために批判的思考が求められています。モンテーニュの思想は、異なる情報源や意見に対する開かれた態度と、それらを批判的に評価する能力の重要性を教えてくれます。

3. 相対主義と多様性の受容
モンテーニュは、異なる文化や価値観に対する理解と寛容の重要性を説きました。現代は多様性と包摂性が重視される時代であり、彼の相対主義的な視点は、異なる背景を持つ人々との共生のための洞察を提供します。

4. 人間の脆弱性を認めた謙虚さ
モンテーニュは人間の脆弱性と不完全性を認識し、これを受け入れることの重要性を説きました。現代社会においても、失敗から学び、自己と他者に対して謙虚であることは、より健全な人間関係と社会的連帯を築くために重要です。

現代でも人は自己の保身や心の安定を守るために、他者を批判したりけなしたりする。そして批判する相手を見つけると、ネットなどでみんなで石を投げるような低いモラルがみられる。モンテーニュの主張は今の我々でも真摯にうけとめて、協力して社会をつくっていかないといけないと思う。

そんなモンテーニュに一言物申すとしたら
「もうちょっと人の能力を信用してもいいんじゃない?」
神の威光が強い時代ではあったけれど、人間は感覚や理性を使って、人と協力してよりよい社会を作れるものだと僕は思う。信用した上で、自分はモラル的に生きようと思うのだ。

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