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パラトライアスロンを5DMarkⅣで撮ってみた

スポーツ写真を撮る場合、自分はやっぱりOVFの5DMarkⅣを使いたくなる。
何故ならRシリーズ(R R5)のEVFは連写で撮るとコマ落ちの動画の様になって、今ひとつ被写体の状態がわかりにくいし、遅延も感じられるからだ。

勿論、R5を電子シャッターモードにして撮れば凄い連写速度になる事はわかっているのが、ローリングシャッター歪みが出る可能性が高いので、流し撮りには使えそうにない。

なので、スポーツ写真を撮る場合のために5DMarkⅣを温存しているのだが、今回は以前に縁があって何回か撮ったパラトライアスロンのワールドシリーズを撮るべく、5DMarkⅣ+EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USMのセットを持ち出した。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5.6 1/250s 400mm

今回のパラトライアスロン・ワールドシリーズ横浜大会は、トライアスロン・ワールドシリーズ横浜大会と一緒に開催されるが、スタート時刻はなんと6時50分。

となると、何時に起きて家を出るか?って話になるワケで、当然だけどギャラリーは少なくなる。結果、プレス登録しなくてもそこそこ狙える場所に陣取る事が可能で、初めて撮った時は「これが世界大会?」って疑問さえ持った。
 
パラトライアスロンは2016年からパラオリンピックの正式競技となり、障がいの程度によってクラス分けされ、スイム750m、バイク20km、ラン5kmで競われる。簡単に言えば、座位でしか競技できない人、スタンディングで競技ができる人、視覚障がいがある人を区分し、障がいの程度でさらに細かくクラス分けされるのだが、観ている方としては基本区分がわかっていれば良いだろう。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5.6 1/250s 400mm

今回はスイムは撮らず、ランをメインに撮る事にした。
スイムは山下公園の海上なので撮れる場所が少なく、バイクは山下公園前の道を通って赤レンガ倉庫から山下埠頭方向まで走り回るので、細かく分けられたクラス毎に時差スタートする競技者を全ての種目で対応するのが難しいからだ。
 
となると、ランのゴールとなるビクトリーロード入口で構えて、望遠をメインに海上の雰囲気を押さえるべく広角ズームを用意しようと考えていた。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO100 f/6.3 1/320s 30mm

今回はサブ機にしたR5に15-35mmを装着して撮ったこの1枚。
実はAF動作を「SERVO AF」にするのを忘れ、「ONE SHOT AF」にままにしていた事もあって、顔や瞳を検知できないとシャッターが切れない状況に陥って連写が難しくなっていた。
 
パタパタ動画の様なファインダー画像も困るがシャッターが切れないのはもっと困るワケで、対策としてはマニュアルフォーカスにして撮る事で連写が止まる事を防いだのだが、元々R5はサブだったのでちゃんと確認しなかった自分が情けない。
 
ただ、RF70-200mm F2.8L IS USMも持っていって撮ってみたのだが、狙った選手にピントが固定されず、後ろの方に入った選手にピントが行ったりと、色々問題がある動きがあって、今後ミラーレスをメインにした時に悩まないよう、スポーツ撮影に使うための準備が必要だと感じている。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5 1/2000s 200mm

ガイドと共に走るのはナショナルチームC指定の山田陽介選手。
(C指定=世界選手権出場が期待できる成績保有認定)
視覚障がい(PTVI3:視野が著しく狭い)での参加で、ガイドとロープを持って走っているが、毎回思うのはガイドランナーの凄さ。レース全体を通して並走するので、選手同等以上の力が必要となるのだが、ワールドシリーズに出るエリート選手は半端なく凄いのだ。
だから、コースに現れる時に、どっちがガイド?ってまず見てから撮るのだけど、ちょっと難しかったりする。
 
それにしても5DMarkⅣはやっぱり良い。
AFの追従も良いけどOVFならではのブラックアウト無しの視界は、動きが速いスポーツ撮影には欠かせないとあらためて感じた。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/8 1/800s 330mm

PTS2で2位となったアヌ・フランシス選手は、ちょっと方を捻る走り方をする選手で、その特徴を意識してシャッターを切った。
障がいは1人1人違うものなので、フォームも当然の如く千差万別。
欲を言うなら着地する前で切り取りたかったが、この形にはならなかったので諦めた。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5 1/1600s 278mm

PTS5で2位となったステファン・ダニエル選手。
表情が良くて狙ったカットだが、このサイズで撮るにはやっぱり70-200mmでは厳しい。
EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USMはタイプⅡになって手ブレ補正効果が約4段分と進化し、全域で画質が良いとの事で購入したが、開放で撮ると300ミリ以上だと若干落ちるのは事実。
 
この写真は300ミリに達していない画角なので全く問題が無いが、逆にここまで寄っても追従するピントコントロールの素晴らしさは、わかっていてもちょっと驚きではあった。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/8 1/800s 400mm

PTS4で5位となった谷真海選手。
2017年の横浜大会で優勝し、東京パラリンピック開会式の旗手となって事から知名度は高い。
コースに入ってきたタイミングなので400ミリで捉えているが、ちゃんと解像できているのはf/8まで絞っているからかも知れない。
 
シャッターチャンスとしては大事にしているのは、写真でしか見る事がきないタイミング。
こんな場合は、選手の両足が着地していない瞬間を捉える事で躍動感が出るので、身体の向きや脚の位置などが理想的なタイミングを計りつつシャッターを切っている。
 
5DMarkⅣはRと同じ30メガセンサーだが、Rよりも上質に写るのは面白い。
R5の45メガセンサーは確かに良いと思うけど、手ブレ耐性が低くディテール重視のセッティングでもカリッとし過ぎるイメージがあるので、もっと5DMarkⅣを使ってやらないと・・と思ったりする。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5 1/2000s 234mm

同じタイミングで撮ったこの1枚。
PTS4で4位のカーソン・クロフ選手はかなり格好いいルックスに惚れて、その戦う姿勢を選んでみた。
 
この撮影ポジションはビクトリーロードのストレートに入る導入路部分で、日差しが横から入るので、顔に劇的な影が入って良いと思っていた。
顔の向きと脚の位置を気にして撮ってみたが、ほぼ狙い通り。
ボケの美しさも好みのこのレンズ、R5でもずっと使い続けたい。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/8 1/800s 300mm

応援しているナショナルチームB指定のPTS2の秦由加子選手。
(B指定=世界選手権で入賞が期待できる成績保有認定)
 
2016年のリオパラリンピックで6位、東京2020大会で6位、右脚の手術を経て2023年ワールドシリーズ・デボンポートで優勝と復活し、今回は3位という好成績で競技を終えた。
 
最後のストレートに出る一番苦しいタイミングでも笑顔が出るその強さが魅力で、図らずもそんな瞬間を切り取れたのは望外の喜び。
1年という長いリハビリ期間を乗り越えての表彰台は、パリ・パラリンピックへの出場に向けての大きな一歩になったと思う。
 
・・と、ここまでアップした写真は、全て記録的なもの。
作品的に仕上げるとなると、別のアプローチをしたくなる。
そこで今回は、モノクロで数枚現像してみた。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5.6 1/250s 400mm

PTS5で3位のロナン・コルデイロ選手。
サングラスの下の目を意識して現像している。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5 1/1600s 200mm

PTVI-Mで3位のオーウェン・クレイベンズ選手。
その躍動感を盛り上げるように周辺減光等を仕掛けている。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5 1/2000s 300mm

PTVI-Wで8位のレチシア・フレイタス選手。
独特の迫力が出るようにコントラストを主に加工している。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/8 1/1000s 220mm

PTS2で2位を取ったステファン・バイエ選手。
この形相を効果的に見せたかった。
勿論、両足とも着地していないタイミングを狙っている。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5.6 1/2000s 400mm

PTS5で8位の佐藤圭一選手。
 
この迫力はモノクロの方が引き立つ。
と言うか、モノクロで現像しようと思ったのはこのカットを撮ったからで、
コントラストや周辺減光等の加工で迫力を加えてみた。
 
それにしてもEF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USMは、こんなに良いレンズだったっけ?って思う位に仕上がりが良い。
ピクセル等倍で見れば画質が落ちると感じていても、短辺1280ピクセルまでリサイズしたら、まず画質低下があるとはわからないと思う。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/5.6 1/1600s 400mm

同じPTS5で優勝のクリス・ハマー選手。
無加工では階調が無さ過ぎた事から、階調のコントロールとコントラストの調整を行った。
 
勿論、この写真も400ミリで撮影していて、5DMarkⅣの性能とレンズの性能を十二分に発揮できていると感じさせられる。
ただ、久しぶりに持ってみるとカメラ本体はかなり大きく感じたし、レンズは大きいだけじゃなく重い。
 
交換レンズはR5用にRF70-200mmをショルダーバッグに入れただけの軽装にしたけど、5DもR5もバッテリーグリップをつけているので、かなりゴツイ仕様になってしまったが、R5のダメさ加減を知るキッカケにもなったので良しとしよう。
 
デジタル一眼レフカメラが減りだしている今、ファインダー問題は徐々に大きくなっていくかも知れない。
現時点での話だけど、スポーツ撮影にはやっぱりOVFが良いと確認できたし、これからもこの手の撮影がある時は、間違いなく5DMarkⅣを使うつもりだ。
 
キヤノンの場合はフラッグシップと言われるカメラが未だにデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark Ⅲ」である事を考えると、まだまだミラーレス1本でやっていくには時間がありそうだけど、既に5DMarkⅣは店頭から消えつつあるらしい。
 
なので、5DMarkⅣは良い状態でキープしながら、所有は続けよう。
とか言うけど、実際のところ、入手したデジタルカメラは全てキープしてるんだけどね。

EOS 5DMarkⅣ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
ISO400 f/8 1/800s 100mm

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