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背中に語らせたい

少なからず後ろ姿に惹かれてしまう事は以前にも書いたけど、街の風景をスナップする場合には人が居るのが自然だから、想像できるモチーフとしてはやっぱり後ろ姿が適しているのだろう。

EOS R5 RF24-105mm F4L IS USM
ISO125 f/6.3 1/250s 105mm

不思議なもので、後ろ姿はその人の感情や生き方が出やすく、それを見つけて切り取るのは、ひょっとしたら街撮りの中での楽しみの一つなのかも知れない。
 
楽しげな後ろ姿、寂しげな背中、何かに悩んでいる・・・といった被写体が持っている感情と、その日の自分の感情が繋がれば、その日その時の感情を記録するような1枚に仕上がる。そんな感情と景色をリンクさせる行為の面白さは、写真が持つ魅力の一つなのだろう。

EOS R5 RF24-105mm F4L IS USM
ISO100 f/6.3 1/320s 105mm

例えば、何かに追われている気分だとこんなシーンを見つけてしまう。
向かう先を重くするために、背景を飛ばさないように加工して、若い力を感じられるように右足が蹴って前へ進むタイミングでシャッターを切った。

EOS R5 RF24-105mm F4L IS USM
ISO100 f/6.3 1/320s 105mm

今時を表現したくて撮った1枚。
服装や靴など、気になる部分が狙いだった。
観光地ではコスプレに近い楽しみ方をする人が増え、横浜中華街では以前からこういったファッションを楽しむ人を多く見てきたが、不思議な事にチャイナ服で散歩を楽しむ人はあまり見ない。
浅草や京都では和服を楽しむ人(特に外国人観光客)が多く見られるけど、東アジア最大と言われる中華街ではチャイナ服は流行らないのだろうか。

EOS R5 EF50mm F1.8 STM
ISO100 f/3.2 1/200s

GWが過ぎると、中華街ではこんな光景が一気に増える。
修学旅行なのか遠足なのか。とにかく中高生が滅茶苦茶増えるので、撮れる写真が単調になりやすい。
なのでこの1枚は、自分の感情を一番左で腰掛けている彼女に代弁してもらう形をとった。

EOS R5 RF24-105mm F4L IS USM
ISO125 f/6.3 1/250s 74mm

これは「孤独な日常」というテーマで撮っている1枚。
そんなテーマを決めて、そんな一瞬を追いかけてしまう自分もアレだけど、時代を切り取る意味でも価値はあると思っていて、今の時代の孤独と感じた瞬間に撮るとこういうものになりやすい。
被写体はその時感じた孤独なので、必ずしも人間になるとは限らないけど、今のところ老人が多くなっているのもまた、時代の為せる技なのだろう。
 
いずれにしろ、その日その時の感情を、被写体の背中に語らせたい。
顔が写らない後ろ姿は、そんな狙いにピッタリだと思っている。

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