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Fall 2023 授業振り返り③ - Energy Law and Policy

今回は、Energy Law and Policyについて振り返ります。これはゼミです。

受講の経緯

まず、なぜ受講したかの経緯を振り返りましょう。

業務との関連が強そうだったのと、ゼミ形式であり、学期末までにペーパーを書く機会が得られそうだったため、選択しました。

また、講師はUTのJ.D.卒であり、Texasで長く実務をしているベテランの弁護士です。Texasのエネルギー業界にどっぷりつかっているようだったので、Texasらしさも期待しました。

なお、履修選択のルールとの関係では、年間通じて最低一つはゼミ科目を履修する必要があるので(正確には、directed researchでも足りますが)、上記科目でそれを充足できることになります。ただ、アウトプットを重視するという現時点でのストラテジーに変更がないのであれば、来学期も何かゼミを履修するかもしれません。

2023年9月13日付"University of Texas Law School - 履修科目選択(2/2)"より

当初の意気込みとの関係で言うと、後述のとおり、Texasのleading caseを読むことができましたし、Railroad Commissionなどの重要な州当局についても知見を得ることができました。また、ゼミの最終課題であるPaperにおいても、TexasのOil and Gasに関連して書くことができたのでよかったです(Paperについては別途書こうと思います。)。また、ネットワーキングという意味でも、Professorの自宅でのBBQに招かれた際には、TexasのEnergy業界で働いている実務家の方々と知り合うことができました。

概要

通常回(輪読)

基本的には、毎回Oil and Gasに関する判例を読んでいきます。多くは、Texasのケースですが、連邦裁判所のケース(例えば行政裁量でおなじみのChevron判決)もあります。法分野としては、Property Law、Tort、Administrative Lawと多岐にわたりました。

また、法律に限らず、経済学・哲学・社会学の文献(一部抜粋)も輪読していきます。関連諸分野の知見なしには、Energyを語ることはできないというProfessorの教育理念によるものであり(実際そうだとは思います。)、Energy Law and "Policy"と名付けられている所以でもあります。

分量としては、毎回、6つ程度Reading Assignmentsが出ました。このAssignmentsを2つのクラスターに分けた上、クラスの半分ずつに分かれて、各クラスターについて報告するという形です。

その他、通常の輪読回以外にも、ゲストスピーカーの話を聞く機会もありました。内訳としては、エネルギー企業のインハウスカウンセル、元裁判官、インベストメントバンカーの3名でした。

ペーパーの執筆・プレゼン

以上の通常回と並行して、ペーパーを執筆していきます。テーマは、紆余曲折を経て、Texas Security Interest in Oil & Gasにしました。Oil and Gasに担保設定する際の特別法がTexasには存在するのですが、この特別法が成立経緯も含めて興味深かったのと、UCC Article 9に基づく原則論(←これは今学期Secured Creditで学びました)との間での緊張関係があり、例外を学ぶことで原則への理解も深まりそうだったことから、このトピックにしました。詳細は別途書こうと思います。

ペーパーの執筆が佳境になったあたりで、ざっくりその内容についてクラス向けにプレゼンする機会がありました(15分)。このプレゼンについては、準備時間に制約があったのと、所詮は15分と思って油断していたのとで、あまり練習はしませんでしたが、もうちょっと練習しておけばよかったと後悔しています。英語でプレゼンする機会はなかなかないので、この機会を活用すべきでした。

感想

Reading Assignmentがとにかく多い!

基本的にCaseは長いので、普通に読んでいるとかなり時間がかかります。今学期は、Secured Creditの予復習(別途書きます)と、ペーパーを書くためのリサーチに明け暮れていたのもあり、率直なところ、ちゃんと読むことはできなかったです。まあ、精読したからと言って、そんなに学習効果が高くなるわけでもなさそうだったので、振り返ってみると、限られた時間の中ですべての授業(14 credits)を回していくためには、現実的なところで妥協できたのかなと思います。本授業をDropする選択肢もありましたが、やはりペーパーを書くというのはかけがえのない経験ですので、Dropしなくてよかったと思います。いずれにせよゼミは一つは履修しないと卒業できませんし。そもそも14 creditsが過重だったのではないかと自問する時期もありましたが、最終的には、メリハリつけて1週間を回せていたので、これでよかったのではないかと思っています(本稿執筆時点では、まだ、全部のFinal Examが終わったわけではないので、その結果を見ないと最終的な判断はできないですが。)。

なお、Reading Assingmentの多さは、しばしば米国の法曹教育の特徴として言われるところです。これは、もう一つの特徴であるSocratic Methodと裏腹の関係にあると思います。Socratic Methodは、現場で知識を伝達するには非常に効率悪い教育手法ですが、大量のReading Assignmentによって基礎知識は既に伝達し終わっているという前提であれば、かろうじて正当化される余地があるのではないかと思います。逆に言うと、Socratic Methodのフリをして単に知識を伝達するだけでは不十分ということであり、教師の力量が問われるところです。

人間関係はモチベーション維持に大事

以上のとおり、途中からだいぶ準備が手抜きになってしまったのですが、BBQに招待してもらってProfessor含め色々話した後は、ちょっぴりやる気が出ました。その後は心を入れ替えて厚めに予習するようになりました。

なんだかんだで履修してよかった

既述のとおり、いい感じで妥協点を見つけられたように思います。ペーパーを書くことができたのはよかったですし、具体的な取り組み方はどうあれ、一度履修してしまえば、Energy Law and Policyを履修したとレジュメに書くことができます。レジュメを諸機関に出す場面がそれなりにあるのですが、Energy Concentration LL.M.と言いつつも、relevant subjectの中にエネルギー関係が一個も含まれていないと寂しいですからね。。

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