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【GARCHモデルの導入📊】「日本の為替介入の分析」:経済論文解説 No.22 2023/08/21


Introduction:卒業論文は早めに仕上げたい💛

私もいよいよ卒業論文の執筆に
取りかかる時期がやって参りました👍

何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました

これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍

論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
卒業論文の進捗は滞ってしまうと思います

だからこそ、この「note」をフル活用して
卒業論文を1%でも
完成に向けて進めていきたいと思います

私の卒論執筆への軌跡を
どうぞご愛読ください📖

今回の参考文献📚

今回、読み進めていく論文は
こちらのURLになります👍

『日本の為替介入の分析』 伊藤隆敏・著
経済研究 Vol.54 No.2 Apr. 2003

前回の内容📖

介入政策効果の回帰分析🌟

今回の投稿では、先行研究のなかで実施されているこれまで説明したデータを使用した回帰分析について、モデルの構造から考察していきたいと思います🔥

私も卒業論文において実証分析を行いますので、非常に大切なアウトプットであると思っています

前回の投稿でご紹介した分析では、 介入した日だけを取り上げていたので、介入がなかった場合の為替レートの動きについての比較をしているわけではありませんでした

例えば、為替レートが急激に円高になったときに、介入して反転に成功しているといっても、たとえ介入がなくても、急激な円高のあとには、投資家による利食いが出て、反転しやすいものである、という批判も想定されうるということになります

また介入政策があったことで、確かに反転しやすくなった、ということは、前回の投稿でご紹介した介入政策の成功確率を求める分析では、確かにこの点に言及できていませんでした

そこで、本投稿では、すべてのデータを用いて、介入の効果を確かめる手法について説明にしましょう

これまでの投稿では、このように、日次データを使って、介入が為替レートの水準の変化に影響を与えたかどうかの直接的な推計はなされていないことが事実です

Humpage(1988)は、為替レートそのもののレベルを回帰式の左辺に置いていますので、非定常的なプロセスをもつ変数を扱っている可能性が高いことも想定されますね💦

日次データを使って、介入が為替レート水準の変化に影響を与えたかどうかの直接的な推計をするためには、さらに厳密な分析が必要となります
この分析を今回の投稿では徹底的に考察していきます

まず、為替レートのt日の変化
(t-1日のニューヨーク終値、st-1から t日のニューヨーク終値、stへの変化) は
介入がなかった場合には、前日の変化と、前日のレートの均衡為替レートからの乖離の程度により説明されるものと考えます📝

したがって、介入の無かった場合の為替レートの変化を次の式のように(1)のように定式化することにしましょう

$$
s_t -s_{t-1}=\beta_0+\beta_1(s_{t-1} -s_{t-2})\\+\beta_2(s_{t-1} -s_{t-1}^T)+\epsilon_t\cdot\cdot\cdot(1)
$$

この先行研究において、均衡為替レートとしては、売り介入と買い介入の境界線であった
125円を仮定している
ことがポイントです👍

しかしながら、均衡為替レートとして
過去数ヶ月にわたる移動平均を用いても結果は変わらない
という点にも言及されていました

続いて、介入変数としては以下の記号を持ちています
t日の日本通貨当局による円ドル市場への介入額 (億円)を Intt と表します

つぎに、アメリカ通貨当局による円ドル市場への介入(百万 ドル)を Int UStで表記することにしましょう

また、日米通貨当局による他の通貨への介入はサンプルに入れていないことに注意します👍

さらに、t日の介入が、ここ一週間で初めての場合(t-5日から、t-1日まで、介入がなかった場合)の介入額を、Int INtとしています

GARCH(1,1)プロセスの回帰式🔥

回帰式は以下のようになります
為替レート変動は、変動幅に系列相関が生じることが知られていますので、GARCH(1,1)プロセスの回帰式(2)に従うと仮定します📝

$$
\\
GARCH(1,1)  Process\\     \\s_t -s_{t-1}=\beta_0+\beta_1(s_{t-1} -s_{t-2})\\    \\+\beta_2(s_{t-1} -s_{t-1}^T)+\beta_3Int_t+\\    
   \\\beta_4IntUS_t+\beta_5IntIN_t+\epsilon_t\cdot\cdot\cdot(2)
\\     \\      \\where,\epsilon_t=v_t\sqrt{h_t}  with   v_t\backsim N(0,1)\\   \\h_t = \alpha_0 +\alpha_1\epsilon_{t-1}^2+\alpha_2h_{t-1}
$$

ここから、この回帰式でデータを分析したときに、どのような解釈が必要なのかという点について考察します

日本の通貨当局による介入の効果は
β3の係数で計測されます

円買い・ドル売りの介入 (Int > 0)が
円を増価させる(円ドルレートなので
、増価は、(st-st-1<0)よう働く場合
つまりβ3 < 0、の場合のおいて日本の通貨当局による介入は効果があったと判断することができます👍

また、日米同時介入の効果があったというのはβ3 +β4 < 0の場合であるとなります📝

また1 週間以内で初めての介入の効果
β3 +β5 < 0 で計測されることになります

先行研究で読み進める論文における観察期間のなかでは、アメリカの介入が実施された日には、必ず日本の介入もあったためので、IntUS の係数を、アメリカの通貨当局の単独介入効果と解釈するのは、必ずしも正しくありません💦


このような定式化では、Int の係数と IntUS の係数のそれぞれが、単独介入の効果となっていますので、その二つの係数の和が日米同時介入の効果と解釈することが賢明なのです

しかし、今回の分析ではアメリカの通貨当局の単独介入を、サンプルがないのため計測できいませんでした

したがって、 IntUSの係数に、同時介入の効果が混入している可能性がある点に注意しなくてはならないのです

特に同時介入効果が、二つの通貨当局による
単独介入効果の和以上の効果を持つような
非線形の効果を持つ場合には

日本の通貨当局の介入効果と、米通貨当局の介入効果を二つの単独介入の項で表現し
係数の和を同時介入と考える定式化が間違っていることになってしまいます

しかしながら、米単独介入の日がありませんでしたので、この定式化では、米通貨当局と日本通貨当局の同時介入の合併効果そのものが、Int USの項に出ている可能性があるということになります

また、1週間以上介入が無かった場合の
「最初の介入」効果は、β5 に現れます

「最初の介入」 の効果があるときは
β3 +β5 <0となりますね

このような最初の介入を区別する理由は
介入が頻繁に行われる体制と介入頻度が低く
ごく稀にしか行われない体制では
通貨当局からマーケットに発せられるシグナルに違いがあると考えられるからです📝

また、介入が過度の円安や過度の円高を
防ぐため
に行われる場合、またそのように
マーケットで理解されている場合を考えてみることにしましょう

つまり極端な場合にはターゲット・ゾーン体制のように、上限、下限 のなかに、為替レートの変動を収めようと考えている場合であるということです

ただし、マーケットは、 その上限・下限に
ついては知らない状況にあるとします

このような体制の場合には
しばらく介入がなかった(すなわち、ターゲット・ゾーンの上限・下限からは距離をおいて、中心に近いところで変動していた)後に
為替レートが上限or下限に近づいた際に
最初に介入するタイミングで
通貨当局の考えている上限または下限が
「どのような値か」について大きなシグナルが送られることになる、ということです

したがって、介入が継続される場合でも
その一連の介入の うち、最初の介入は大きな意味を持っているという解釈ができるでしょう

本日の解説は、ここまでとします
このような歴史や先行研究をしっかり理解した上で、卒業論文執筆に取り組んでいきたいです
次回も引き続き、この回帰分析の結果を詳しく考察していくことにします🔥

今回、私が卒業論文執筆において取り上げる
24年ぶりの「円安是正」介入は本当にレアな
経済政策ということを再認識できたような気がします💖

私の研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる
簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥

本日の解説は、以上とします📝

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように
努めてまいりますので
今後とも宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございました!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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