派遣社会人による滋賀大学彦根キャンパス生活 ~大学院生活・彦根生活~
私は関東の企業から派遣社会人として,滋賀大学大学院データサイエンス研究科博士前期課程(DS研究科)を受験し入学しました.
DS研究科は2019年設立で歴史が浅いということもあり,その大学院生活をイメージできるような記事があまりない印象です.また,入学を希望する派遣社会人が欲しいような情報(特に講義とスケジュール感)が大学側からあまり公開されていないようにも感じます.
そこで,DS研究科に入学する,主に派遣社会人の方に向けて,大学院生活と彦根生活の概要をお伝えできるよう,このnoteを書くこととしました.
なお,記載内容は2024年2月時点の情報であることにご留意ください.
1. 大学院生活
1.1 講義
派遣社会人が最も心配するのは講義についていけるのか(無事単位を取得し卒業できるのか)ということになると思います.結論から言うと,評価方法がレポート100%であり,課題をきっちりと提出すれば単位はもらえるので,過度に心配する必要はないと考えています.課題の難易度や提出期限は教員によって異なりますが,データサイエンスを学んだことがない社会人学生で単位をとれるような難易度,比較的余裕を持てるような課題提出スケジュールとなっているように感じました.
講義の科目名や概要はシラバスから調べられるので,入学前に一度くらい眺めてみるのをおすすめします.
DS研究科の講義の特徴としては次のようなことが挙げられます。
・ハイブリッド(対面+同時双方向)
・集中講義
・ハイブリッド(対面+同時双方向)
DS研究科の全ての講義は対面とZOOMの同時で行われました(一部,対面推奨の講義があります).
講義は545教室で行われており,対面で受ける人は教室に行き,ZOOMでの参加を希望する人は家や職場,院生室からZOOMで参加するという形です.私たちの代では基本的に対面で参加する人が多かったのですが,1限目や雨の日,琵琶湖線が遅延しているとき,コーディングが多く外部モニターが欲しいような講義のときは対面参加率が下がる印象です.
・集中講義
DS研究科のHP記載のとおりですが,講義はすべて集中講義で行われます.1週間15コマで2単位が取れるようになっています.
入学後のオリエンテーションの際に「修了に必要な単位は1年かけてバランスよく取ってね」みたいなことを言われましたが,社会人大学院生はM1の春学期に多めに単位取る人が多かったです.逆に学生は,M1の春学期からインターンや就活が始まるので,バランスよく春学期と秋学期の講義を受ける人が多かった印象.
15コマをおよそ3人の教員が分担して講義を行い,教員ごとに課題が出されるので,2単位を取るためには1週間15コマと課題3つをこなすようなイメージでよいかと思います.
1.2 ゼミ・修論
DS研究科の特徴として,M1の秋学期から研究室配属となることが挙げられると思います.スケジュール的にはこんな感じでした.
6月初旬:学務から指導教員の決定手順の案内
6月中 :研究室訪問
7月初旬:主指導希望教員の提出
9月初旬:主指導教員の決定の通知
入学前に研究室訪問を行い,指導教員を決めた状態で入学する学生もいますが,特に派遣社会人は6月に研究室訪問をして研究室を決めることが多いです.配属希望研究室はかなり偏る傾向にあり,同期の間で調整するのも大事と思います.
私の研究室は,9月の配属後,毎週ゼミがあり,2週間に1回の頻度で課題図書や論文の内容説明と発表を行っていました.他の研究室をみると,毎週のように厳しい進捗を求められるところもあれば,進捗があった時点で個人ゼミをするところもあるなど,ゼミの内容や頻度は各研究室で異なっていたようです.
1.3 大学設備
院生室
部屋としての研究室がないため,院生が大学に来た際は基本的に院生室で過ごすことになります.名前順に部屋と机が割り振られており,椅子,机,キャビネット,ロッカーが備え付けとなっています.備品だけだと院生室で過ごすのは厳しいので,各自でモニター,キーボードを持ってきたり,部屋ごとに冷蔵庫やレンジ,ケトル,コーヒーメーカー,ゴミ箱などを購入して設置したりしていました.
院生室では,主に課題や就活,研究といった大学院生としてのあれこれがなされていましたが,switchを持ち込んで桃鉄をやったり,ピザパをしたりと遊んだりもしていました.
大学図書館
課題や研究で本を読む機会は多いので,図書館を利用する機会も多いと思います.データサイエンス関連の書籍は揃っているので困ることは少ないかも.文献の複写や取り寄せなども対応しているので,図書で困ったらとりあえず図書館に行って相談してみるのもよいかもしれません.
余談として,配架リクエスト図書のサービスがあるのですが,あまり活用されていないのか,リクエストするとだいたい配架してもらえます.毎日のように新しいデータサイエンス関連の図書が発行されていますが,読みたい本があった場合は配架リクエストするのもおすすめです.
小説等を読みたくなったらキャンパス近くにある彦根市立図書館に行くのもよいでしょう.食堂・カフェ
彦根キャンパスには食堂とカフェが1つずつあり,営業時間は11:30-15:00だったと思います.
一般的な学食と同じような値段感で,丼や麺で500円以内,定食だと600円程度だったと思います.
問題は食堂が1つしかないことにより,2限目終了後はとてつもなく混雑することであり,混雑した食堂を避けたいなら3限目以降に食堂に行くか,ベイシアに弁当を買いに行くかになると思います.体育館・トレーニングルーム
毎週水曜日は体育館が解放されているため,バスケやバドミントンをしていました.バスケは教員も参加して定期的に行われていた様子.
トレーニングルームはありますが,設備も使い勝手も悪いのであまり期待しないほうが良いかと思います.
1.4 大学周辺の施設
大学から徒歩で行けるような施設はあまりないのですが,一応紹介しておきます.
ベイシア
大学から歩いて10分程度で行ける.滋賀大学から徒歩圏内で行けて,食事,飲み物,日用品が揃えられる貴重なお店.カインズやマクドナルドも併設されており,大学への行き帰りに寄る学生も多い.スタバ
院生室で煮詰まったときに行く場所その1.勉強につかれたときに院生室で「スタバ行こう」と言ったら3,4人は釣れる.23時までやっているのもうれしい.金亀公園
グラウンドやテニスコートを借りることができる.特にテニスコートは,使用料が手頃で,予約が容易に可能なところがよかった.彦根城
大学から入口まで10分程度で行ける.学生証を見せれば無料で入れるので,院生室で煮詰まったときは,気分転換に彦根城に散歩に行ったりしていた.玄宮園という庭園もおすすめ.
1.5 (余談)就活
派遣社会人として,学生の就活の補助(ESの添削,面接対策など)をする機会がありました.この経験を通してみたDS研究科の就活について述べてみたいと思います.前提として,派遣社会人から見ても,優秀な学生が多かったという前提があります.
パターン化されている
周囲をみる限り,データサイエンティスト,データアナリストを希望職として就活をすると,M1の夏季インターンに参加して,そのまま特別選考に移行し,1,2回面接を受けて年内に内定を得るというのがパターンとして出来上がっているようにみえました.就活開始時期が早い
M1の夏季インターンに参加するためのES提出締め切りが早いところだと5月末にあったりするので,学生は修士に入学しても,1,2ヶ月後には就活を始めないといけない状況になっているようでした.就活であまり苦しまない
データサイエンティストが人手不足みたいな話はよくニュースで流れますが,実際に企業からの需要が高いようです.大手企業DS職の内定を複数取ってる人も多く,就活で苦しんでいる様子はあまり見受けられませんでした.ESは上手でない
ESを添削したところ,DS研究科の学生は文書を書くのがあまり上手ではない人が多いなと感じました.ホントに学部1年生みたいな文章でESを書いていて,添削時はよく頭を痛めました.
親切な派遣社会人は学生のES添削を手伝ってあげてください.私は,ES添削のお礼として,学生から初任給で叙々苑を奢ってもらえることになっています.
2. 彦根生活
2.1 移動
学生の移動手段は基本的に徒歩,自転車,車,バスのいずれかになります.通学のための移動手段と住む場所はセットで考えるべきだと思います.
徒歩
少ない.彦根に住むと分かるが,徒歩生活には限界がある.自転車
多い.大学近くに住んでいる人は基本的に自転車で通学している.雨,雪の日は徒歩やバスで通学したり,授業をZOOMで受けたりすることになる。車
維持できるなら車の購入を勧める.大学にも学生用の駐車場がある.
派遣社会人だと彦根にいる2年間だけ安い中古に乗る人も多い.バス
乗り換えアプリだと出てこないが,彦根駅と彦根キャンパス間をそこそこの頻度でバスが運行している.
https://www.shiga-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/hikone_bus-timetable.pdf
大学近くまで行くバスは,これ以外は本数が少ないのであまり使い勝手はよくない.
2.2 住む場所
私は業務の都合上,彦根に来て賃貸の内見をすることができませんでした.同様の状況の方もいらっしゃると思いますので,DS研究科の同期が住んでいることが多かったおおまかなエリアと特徴を紹介したいと思います.
1.大学の近く(馬場(ばんば),城町,本町,中藪,池州町)
大学生がよく住んでいるエリアその1.イメージとしては大学と芹川の間.特徴としては次のような感じ.
大学まで徒歩圏内
日用品はベイシアとカインズを利用
彦根駅までバスや自転車でアクセス可能
日中の大通りは道が狭いのに車どおりが多い
夜は静か
夜遅くまでやっている店がないので近所で外食することが困難
2.ベルロード方面(中藪町,後三条町,中曽根南町,大薮,平田町)
大学生がよく住んでいるエリアその2.ベルロードという彦根の中心的な道路の近辺なので,この周辺に住む人はベルロ側と呼ばれている.特徴としては次のような感じ.
大学までは自転車がメイン.滋賀大学まで直通のバスはないが近くまでは行く
日用品はパリヤかフレンドマートを利用
彦根駅までバスでアクセス可能
ベルロード沿いにだいたいのチェーン店があるので,夜に外食することも容易
ちょっとがんばれば南彦根駅のビバシティも行ける
学生が主に住んでいるのはこの2つのエリアですが,このほか,彦根駅近くに住む人もいれば,車があるのでちょっと遠くに住む人もいます.
私見ですが,大学に毎日行く予定がある人は大学の近くに,外食したり遊んだりしたい人はベルロード側に住むのが良いのではないかと思います.
2.3 スーパー
日常生活を送る上でスーパーの情報も必要かなと思ったので書き残しておきます.
1.ベイシア彦根店
大学から一番近くにあるスーパー.売り場面積がとても広く,品揃えもいいのでなんでも揃う.閉店時間が20時なのはちょっと早いかなと思う.
2.平和堂(フレンドマート大薮店,アルプラザ彦根店,彦根銀座店)
彦根に引っ越す際に,滋賀出身の友達から「平和堂のHOPカード作らないと滋賀では村八分されるで」と言われたので転居した初日にHOPカードを作った.
ベイシアと比較すると,価格が少しあがり,品質もその分上がっている気がする.
大薮店はベルロード周辺に住んでいる人がよく使うし,アルプラザ彦根店は駅近くに住む人がよく使う.彦根銀座店は品揃えが他よりも少なめ.
3.パリヤサンぺデック
フレンドマート大薮店の道路向かいにある.あまり行ったことがなく詳しくない.
4.JA東びわこ ファーマーズマーケット
野菜を安く大量に書いたい時はJA直売所.8月下旬からJAで直売される彦根梨はガチでうまいので一度食べてほしい.
5.業務スーパー 南彦根店
ちょっと遠いが業務スーパーもある.あまり利用したことないので詳細は割愛.
2.4 遊ぶ場所
彦根で遊ぶ場所はあまりないので,がんばって捻り出しました.休日は京都か大阪に遊びに行くのが良いと思います.
1.ビバシティ彦根
彦根周辺では一番大きなショッピングモール.最近店内改修が行われ,LOFTとクソデカ無印良品ができた.なぜか店内と駐車場の2箇所にスタバがある.遊ぶ場所としては,映画館とボーリング場があり,ボーリング場は最近綺麗になったらしい.
2.極楽湯彦根店
学生だと学割が使えてお得になる(たしか750円).内湯3,露天2,サウナ3の充実した設備のスパ銭.昨今のサウナブームで夜はとても混むし,なんなら同期と遭遇する.無料で読める漫画が充実しているのもとてもよい.
3.アクト愛知川
車で行く場所.ゲーセン,ダーツ,ボーリング,カラオケがあったと思う.ボーリングはビバシティよりも評価が高い.
4.フリー麻雀ホリデーベルロード店
私たちの代では麻雀が流行しており雀荘に行く人も多かった.google mapの写真は謎の民家になっているが,店構えはこれと違うので注意.
5.カラオケstyle 彦根ベルロード店
カラオケ,ダーツ,漫画がある.この他にもカラオケ店は複数あるので,カラオケ好きな人は好みのお店を見つけてください.
6.ゴルフプラザ彦根
ゴルフ好きな人たちはよく打ちっぱなしに行っていた.行ったことないので詳細はわからないが,ここは夜に行くと安いらしい.
7.竜王アウトレット
服買いたいねってなったら車で竜王アウトレットまで行くことが多い.アウトレットとしても規模が大きいので,1周するのにかなり時間がかかる.
3. その他
3.1 入学希望者から質問を受けた事項とその回答
ちょうどこのnoteを書いているときに,来年度入学の派遣社会人の方から大学生活について質問を受ける機会があったので,その時の受け答えも書いておきます.
プレマスター教育は全て履修すべきか.
→大きな声で言えないが,派遣社会人でプレマスター教育を全て履修したという同期にあったことはない.多くはあまりの長さに途中で挫折していた.まずは,メンター教員に相談して受講する講義動画を決めるのがよいと思う.Pythonしか触ったことがないが,入学後に備えてRも勉強した方がよいか.
→入学時点でRとPythonの両方できるという人はほとんどいない.Pythonの勉強を進めて良いと思う.確認したところ,大学院の講義はPythonが使われることが多かったが,統計系の講義だとRが使われることもあった.統計に不安がある.
→一般選抜学生募集要項の出願資格にあるように統計検定2級に合格する程度の統計に関する知識があれば十分ではないかと考える.派遣社会人では統計検定2級を持たずに入学する人もおり,過度に心配する必要はない.入学後に統計検定準1級を取得すると,資格取得等報奨制度で3万円もらえるので,入学後に統計の勉強をがっつりするのも楽しいと思う.線形代数に不安がある.
→講義資料を見返すと5月の講義から線形代数が使われていたので,それまでに勉強すればよさそう.修論において自社のデータを利用できない.
→派遣社会人の多くは自社データを分析して修論を書くこととなるが,自社データを利用できない企業から派遣される社会人もいる.この場合,修論に利用するデータの確保が問題になる.これは早めにメンター教員や指導教員に相談するしかない.
3.2 滋賀大学への改善を希望する点
以下は個人的に滋賀大学への改善を希望する点です.願望も含んでいます.
545教室
コンセントが少なくてPCの充電ができないことが多々ある.延長コードを追加で配置してほしい.院生室
利用時間が9:00-22:00とされている(実際には利用時間はあまり守られていない).大学院生がこんな健康的な生活をしているわけがないので,規定上も24時間開放にしてほしい.時間割の事前配布
入学前に卒業要件を満たす形で1年間の講義受講スケジュールを立てた上で,派遣元企業と年間スケジュールを共有をしたかったので,時間割が入学後のオリエンテーションまで配布されないのは苦しかった.利用可能なデータの一覧の提示
修論を書く上で利用するデータの確保には皆苦労する.大学と連携している企業の研究利用可能データにどのようなものがあるのか一覧で知りたかった.
4. 最後に
周囲に聞いてみても,DS研究科に来てよかったと言っている人が多いです.
これは,データサイエンスの勉強・研究に集中できることや,勉強熱心な同期が多かったこと,先生方の指導が手厚かったこと,会社内でキャリアチェンジできたこと,就活・転職がうまくいったことなど様々な理由があると思います.
私個人としては,派遣社会人として彦根に引っ越してきたときは,勉強面でも生活面でも不安を持っていました.派遣社会人だし一人で黙々と研究をする孤独な日々になるんだろうとも思っていました.
しかし,実際には院生室で学生や他社からの派遣社会人とガヤガヤしながら,勉強や研究を進める日々を過ごすことができ,とても充実した2年間を過ごすことができました.
DS研究科に派遣社会人として入学するとき.勉強面でも生活面でも不安を抱えて入学する方も多いと思います.このnoteで少しでもそのような不安を解消できたのであればとても嬉しく思います.
以上
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