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冬を制する者は受験を制す【ラスト1ヶ月はただの1ヶ月にあらず】

「夏を制する者は受験を制す」

タイトルでは冬の勉強の大切さを強調していますが、一般的には夏を重要視したこちらの表現の方が耳馴染みがあるかもしれません。

しかし、中学受験に限らず、高校受験、大学受験の指導においても、私は夏に関してはそこまで重要視せず、タイトルにあるような言葉を生徒たちに投げかけてきました。

といっても「冬を制する者は〜」などという言葉ではなく、正確には「冬に頑張れ」「冬に1、2段ギアを上げよう」などの言葉です。

そしてキツい言い方としてよく使うのは、「冬にやらないと落ちるよ」という言い方。

実はこの言い方は、普段生徒への声がけで意識している部分に反しています。このような否定的な物言いは、コーチングの基本に反することです。ですから、普段はアドバイスの文言はなるべく肯定的なものにしています。

「冬にやらないと落ちるよ」という言葉も、本来であれば「冬にやれば受かるよ」と伝えるべきものです。

ただ、受験指導の中で常に生徒に対して寛容な姿勢で接しているからこそ、「冬にやらないと落ちるよ」といういつもよりも鋭い言葉をかけることで、生徒達の気が引き締まるのではないかと考えています。私が言うからには、冬に頑張らないとマズいんだなと。

日常的に叱っていると叱られることに子供が慣れてしまうように、いつもいつも強い言葉を投げかけていたら、効果が薄まってしまうことでしょう。

「ここぞ」という時に引き締める必要があるわけですが、その「ここぞ」がまさにこれからの入試直前期というわけです。


もちろん夏休みがある分、たっぷりと勉強する時間のある夏に頑張るに越したことはないのですが、同じ量頑張るのなら、圧倒的に冬に頑張った方が効果が大きいはずです。

最上位の学校を受ける層であれば、夏休みの時点でレベルの高い勉強をこなすことができ、夏休みも貴重な勉強時間となります。

ただ、そのようなレベルの層は一握りなわけで、大半の受験生にとっては、夏は基本を固める時間、基本を思い出す時間にしかなりません。

そしてそのようなレベルの勉強は、秋以降でもできます。しかし、冬にやる勉強、すなわち仕上げの勉強は冬にやるしかありません。その先に持ち越すことはできないのです。


冬に頑張るべきだということを生徒や親御さんに理解してもらうために、極端な例を挙げて説明することがよくあります。

例えば、小学1年生のときに毎日3時間勉強するのと、小学6年生で毎日3時間勉強するのとでは、どちらが中身の濃い勉強をできるか。6年生の夏にたっぷり勉強するのと、冬にたっぷり勉強するのとでは、どちらが効果的な勉強をできるか。

このような質問です。解釈はいろいろあるにせよ、直接的に効果のある勉強ができるのは後者です。

6年生の冬に絞って話を続けます。

秋を通じて取り組んできた過去問演習にも慣れてきて、また様々な教科の知識が頭の中でまとまりつつあるのが今の時期です。

たとえ偏差値が下降気味だとしても、受験生は今が受験生としての過去最高の状態です。持っている知識の量や理解力、人としての成熟度という点において、子供というのは今がベストであることは間違いありません。

その状態で、自分に必要な内容に絞って勉強を進めることができると、最後の1ヶ月においては、これまでの半年分の勉強で得られるくらいの成果が得られることも珍しくありません。

過去の私の生徒でも、ラスト1ヶ月で偏差値的に10程度伸びた子は数多くいます。科目単位で見れば、15や20伸びるような子もいます。


ここでポイントとなるのは、「自分に必要な部分」の勉強ができるかどうかです。ただ単に塾に通って授業を受けているだけでは、そのような劇的な伸びを期待するのは難しくなります。

また極端な例を挙げますが、例えば、塾の授業中に解いた問題が全て正解できてしまったら、その数時間で新たに得られたものはゼロです。また、塾の授業中に解いた問題が自分の受験する学校で全く出題されないものだとしたら、やはり志望校の合格には直結しない数時間となってしまいます。

これは極端な話だとしても、これに近いような時間の使い方をしてしまっている受験生が数多く存在していることは確かでしょう。

塾に行っている=勉強している=力が伸びる=志望校に合格できる、そんな風に捉えてしまっている受験生は要注意です。

塾の授業の時間以外に、どんな勉強ができるか、いかに主体性を持って仕上げの勉強ができるか、それによって成果は大きく変わってきます。


最後の仕上げとして最も効果的な勉強法は、受験生自身が考え出す必要があります。合格のために自分に足りないものは何なのか、自分が伸ばせそうなところはどこなのか。これまでに解いてきた膨大な数の問題、受けてきた模試の結果、過去問との格闘の日々、そういったものが、ラスト1ヶ月にやるべきことを教えてくれるはずです。

分析と工夫、この2つのキーワードを忘れず、自分自身の仕上げの勉強メニューを構築しましょう。

闇雲に勉強するのではなく、自分の力量や志望校の出題傾向をしっかりと分析し、自分なりの工夫を凝らした勉強を最後まで続けていきましょう。

そうすれば、これまでに味わったことがないような、とてつもない力の伸びを実感できるはずです。

そして十二分に力を伸ばした上で、自信を持って受験本番に臨んでほしいと思います。


夜のおすすめルーティーン

充実した勉強ができたとしても、やはり頭の中で整理がつかないことには得点力につながっていきません。

また充実した勉強ができているからこそ、1日の中での勉強量、新たに得たものの量は多くなります。

そこで提案しておきたいのが、1日の最後の勉強時間の使い方です。15分程度で良いので、その日にやった勉強を振り返ってみましょう。そうすることで、比較的早い時間にやった勉強の内容も再び新鮮なものとなり、知識の整理が促されます。

それと同時に、明日やるべき勉強、今後に残された課題も見えてくるはずです。それに関しては軽くメモを残したり、専用のノートを作っておくなどして、明日以降の自分に処理を託しましょう。

今日の自分がやるべきことはやったという充実感を抱きつつ、1日の勉強を締めくくって、次の1日に備えて眠りにつく。そんなルーティーンを作ることができれば、心身ともに元気な状態で本番に臨めるのではないかと思います。


現在の状況を考えると、今年度の受験はストレスのかかり方が例年の比ではありません。イレギュラーな事態に振り回されてしまう可能性もあります。

だからこそ、睡眠時間をしっかり確保するというようなことにも、例年以上に気をつけたいところです。

勉強時間をただ長くするのではなく、効率良く力をつけるためにも、勉強内容の工夫、1日の時間の使い方の工夫、心身の健康を保つための工夫を日々心がけて、万全の態勢で受験を迎えましょう。

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