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「流れに従って生きる」ー仙台スタート編ーACT57:考えられない電話


HA様が亡くなったことで、工事は中止になる可能性を、各業者さんに電話している最中に、会社の電話がなりました。



業者さんからの電話の可能性が高いのですが・・




なぜか、私は、直感




「もしかしてHAさんの奥様?」・・と予感し、




受話器をとりました。
 
 
 

 

 



「もしもし・・、HAです。」
 

電話は・・亡くなられたHAさんの奥さまからでした。

  

 

 

 

 


「あ・・こ・このたびは・・、」

突然の電話に
私は声がつまってしまいました。

 

  



 


HAさま 「驚いたでしょう・・」

奥様の声は、不思議なほど・・、驚くほど・・穏やかでした。

 

 

 



私「え、ええ・・。」

 「あ!今、工事中止の電話連絡を各業者さんにしていました。」
  

 

 



奥様「それなんですけど。工事は続けてください
大丈夫です。お金はあります。」


口調は、しっかりしていました。



「それだけお伝えしたくて。それじゃあ。」
  

 電話は切れました。

 

  



・・・・

 

 


とても、昨日ご主人様を亡くされたとは思えない
気丈かつ穏やかな振る舞いでした。
 

  

 


こんな状況で、今のような内容の電話をするゆとりがなんであるのだろうか・・



私が逆の立場だったら、出来るだろうか・・

 

 



奥様からの電話に、私は人生を救われた思いをしました。

 

 



そして受話器を置きながら涙を流していました。

 


 


 いままでのHAさんとのお付き合いの中で、背景は想像ができました。

 いまでも憶測の範囲ですが・・、

 多分お亡くなりになる前に、HAさん自身が自宅工事の続行を指示したのだと思います。そして、奥様はうちの会社だけでなく、いろいろな牧場事業に携わる会社さんに同じような電話をしているのだと・・。



 会社を興すことの難しさ、始めた事業を止めると多くの人に迷惑がかかること、そのほか、私には分からない色々なことを含めて考え、家づくりの続行を指示して亡くなられたのだと想像がつきました。

 

 


HAさまが言葉にしていた「次の世代」という
言葉の重さを痛感させられました。




HAさんの精神に報いなければならない・・
という責任感も沸いていました。

  




 あとで知ったのですが、HAさんは、数日前に死の告知を受けていたそうです。そして、数日間という余命の間に、会社の重要な人、畜産協会の関係者、縁のあった人に、そして家族にそれぞれ今後の指示と遺言を残して、「あとは任せたぞ」とお亡くなりになられたということでした。

 

 


 HAさんの葬儀は、町葬という規模でした。

 


 町長はじめ多くの著名人、海外の賓客一般の町民の方まで町の大ホールに参列していました。

 

 どれだけ多くの人たちの幸せのために尽力してきたのか・・計り知れないほどの想像以上の大葬儀でした。

 


 人生そのものを救われた大恩があるので、私と牧田は葬儀の最後まで居るつもりだったのですが、E氏は「線香もあげたし、そろそろ会社に帰ろっか」と言ってきました。

 

 


 こいつ(E氏)と一緒ではHAさんの精神は継げないと確信した瞬間でもありました。

  





事実は小説よりも奇なり。




お天道様は見ています。



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