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「流れに従って生きる」ー再独立編ーACT70:貯金0で住宅会社をスタート

住宅会社を始める・・


 普通に考えると、資金1000万円とか持っていないと、怖くてスタートできないと想像します。



 展示場も建てられないし、宣伝も出来ない・・ましてや家づくり自体に数千万円掛かるのに貯金0なんてあり得ない!と考えるのが普通です。


住宅業界に居る私ですら、自分で独立を考える前は普通にそう思っていました。



 しかし・・いざ、その独立という立場に立ってみると、知恵を絞ってなんとかなりそうだという道筋も思いつくものです。
 私は、自分なりの発想で貯金0から住宅会社を経営することになりました。


原価と経費をオープン



 まず最初に行なったことは・・、
 住宅会社がいったいどれくらい利益(会社運営経費)をいただいているのかという話をオープンにすることでした。



 そうしますと住宅建築費の8割くらいは住宅会社の利益(会社運営経費)ではなく、大工さんや基礎屋さん、設備屋さん、建材屋さんなどに支払われる工事原価であることが理解できるようになります。



この点を、まずはお客様と会社で共有認識することが現場トラブルを防ぐ一番の方法だと思っていました。
 
 


一般的に多くのハウスメーカーさんは、衛生機器など定価が分かる項目を安く提示することで「当社は高くないですよ」と思っていただき、「オリジナル構造一式」という項目をものすごく高い金額にして、会社の利益を生み出します。
 



 つまりは、見積もりで定価の分かる衛生機器などの項目では利益を取らない分、別の項目(オリジナル構造)に利益を含むという仕組みです。


 (もしくは、単純に「坪数×坪単価」+仕様変更分ということで、見積もりを数分で確定させる方法もあります。会社の住宅仕様が固定されていれば、この方法でも良いと思います。)



 
 私は仕様を固定する家づくりではなく、1人で図面作成や現場管理をする状態でした。その上で項目別に利益率を変えて見積りを管理するのは大変な作業だと判断して、素直に工事原価を公表することを決めました。



 一般的に小さな住宅会社さんは総請負金額の25%の経費をいただくと会社運営がスムーズにいきます。




 菅原さま邸では、「私が独り身」ということ、「仕事」&「独立のきっかけ」ということもあり、工事原価+「管理諸経費200万円」で固定して契約しました。



初期の会社運営方法



 アパートの一室で仕事をしていた私には、自分の給料も考えると、ぎりぎり1ヶ月30万円の経費があれば、なんとか暮せました。



そのため、毎月、「その月の工事進捗原価分」 + 「経費の一部30万円」を請求させてもらっていきました。


 4ヶ月で工事を終わらせれば、管理諸経費200万円のうち120万円(30万円×4ヵ月分)は使うことになりますので、経費残金80万円が次のステップを踏む資金(宣伝広告費・会社の体力UP費)になるという仕組みでした。

 幸いに、次の現場が仙台市のSTさまとほぼ決まっていましたので、生活を継続できると計算して、そのような契約にさせていただきました。




 つまり・・貯金0でも、業者さんに支払う「工事原価分」 と 自分が食べて生きていける「会社経費分」をご入金していただければ、現場会社も回るのです。
お客様には、その点をご理解いただき「つなぎ融資」を組んでもらい支払い資金をご準備いただきました。
そして、毎月進捗分だけをご請求させていただくことにしました。
 



単純ですが、「毎月の工事進捗支払い分 + 会社運営経費一部 の ご請求」を毎月繰り返す・・。
もっとも自然で当たり前の方法なのです。


 

 それを、利益を伏せて、着工時1/3 中間で1/3 引き渡し時に1/3 の請求方法・・でブラックボックス的にしてしまいますと、貯金0では途中で「業者さんへの支払い」が「手持ち資金」を超過してしまい、資金ショートしてしまう可能性もあるのです。



お客様の家づくりを守るためにも



 お客様の方でも、「請負金額=全部利益でしょ!」と錯覚してしまい、工事金額の駆け引きが始まって、小さな住宅会社が資金的そして精神的ショートしてしまうことも住宅業界ではよくある話だったのです。

 最悪の結末は、苦しくなった住宅会社が、いろんな言い訳をして、工事が半分も進んでいない状態で請け負い金額の9割くらいを請求して、お客様は何の疑いもなく入金してしまい、その会社の社長が多額の資金を持ち逃げしてしまう・・ということです。

 つまり、何らかの理由で資金ショートしそうになって、お客様から多額のお金を引き出して会社を潰すという方法です。

 
 木造の骨組み建て方が終わって、足場も掛かった状態で1年以上放置されている現場をときどき見ます。ほぼ全てがそういう理由で、現場の進捗以上にお客様が住宅会社に支払ってしまい、そのタイミングで会社が潰れてしまった現場なのです。

 残りの手持ち資金がほぼ無いため、その工事を引き継いでくれる会社も見つからず、結局・・数年後に解体。お客様は家が無いのに、住宅ローンは発生しているという最悪の状況になります。
 

 私が行なっている「工事原価と利益オープン & 毎月進捗分だけのご請求」であれば、現場と会社が資金ショートしづらい上に、万が一、工事途中で会社がつぶれてもお客様の手元には残工事をするだけに資金がまだ残っているのです。残工事をする資金が残っていれば、途中で止まった工事でも引き受け手は見つかります。
 
いろんな意味でこの方法は両者にとって良い方法だと思っており、実はこの方法は今でも続けております。
 
 


珍しいお金の管理方法



そして、会社内部の『お金の管理方法』もちょっと変わった手法をおこないました。
 
 
その手法は、以前に業界誌に連載させていただいたこともありますが、

その手法の最大の目的は・・
私のような小さな住宅会社の社長が「お金に心を奪われない良い方法」だと思っております。
 


次回ご紹介いたします。
 






事実は小説よりも奇なり。




お天道様は見ています。

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