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小説【ツイン・プログラミング】その4「キラのはじめての文法」

登場人物紹介

沢渡キラ:早くもPythonに手を出し始める。でも文法を覚えるばかりでそれがどう役に立つのやらわからない様子

沢渡ニコ:算数とプログラミングの成績はキラの方が出来ることを思い出したのか、ちょっと焦りはじめてるのかも?

 Pythonはとても美しい言語だと、ある人がYouTubeの動画で言っていました。

 わたしたちがアメリカで育っていなくて、英語が出来なければこういう動画は何を言っているのかわからなかったところなので、大変助かっています。

 わたしは、ママに買ってもらった本以外にも、YouTubeでPythonのtutorialを見て、文法を覚えているところです。

 変数、while文、if文、for文、その他にも知識欲がそそられるようなお作法や文法がたくさんあります。

 例えば、他のプログラミング言語なら、if文の後の行にスキマを入れなくてもエラーにならないのに、Pythonはしっかり入れないとエラーになります。そういう誰が見ても書きやすくて見やすい言語というのにひかれました。


 しかし、悩みが一つあります……


 このPythonという言語、コマンドプロンプトではちゃんと入力通りに結果が出てくれているのですが、ニコがやっているHTMLみたいに、すぐブラウザに出力することが出来ません。いや、もちろん出来る方法はあるのでしょうけれど、どうにも検索しても難しくてわたしにはわからないのです。

 だから、本に.htmlっていう拡張子が出た時は、つい心の中ではしゃいで、ニコにHTMLの本を借りようと思ったのですが、昨日そのことでケンカをしたので、もう貸してくれそうにありません。

 ニコの方は、なんだか楽しそうにHTML・CSSの勉強ができているみたいだし、もしかしたらニコの方がやりたいことをはっきりさせて、目標もしっかり立てているみたいです。

 わたしはちょっとためらいながらも、机の椅子に座りながらノートパソコンと格闘をしているニコの前に立ってこう言いました。

「ニコ……ちょっとよろしいですか?」

 すると、ニコはこちらを見るなり睨んできて

「なによ、本なら貸さないよ」

 わたしは怒りそうになるところを深呼吸しながら

「いえ……昨日はごめんなさい。わたしも知っています。Webエンジニアにはフロントエンドとバックエンドがいるってことを。わたしが後者を担当するので、一緒にWebアプリを作りませんか?」

 ニコは、椅子から立ち上がり、わたしの方を見ながら言いました。

「いいよ。昨日まではわたしの方こそごめんね。もうプログラミングのことでケンカしないようにしよう。2人でステキなWebアプリ作ろうね」

 ニコが右手を差し出してきたので、わたしも右手を出してお互い握手をしました。



 さて、これから2人でどんなアプリを作りましょう?


続く

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