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小説【ツイン・プログラミング】その2「キラのはじめてのインフラ環境構築」

登場人物紹介

・沢渡ニコ:沢渡家の双子の姉。JavaScriptでブラウザ表示をしようとしたが、ちょっとつまづいた。

・沢渡キラ:沢渡家の双子の妹。バックエンドやインフラに興味あり。縁の下の力持ちで、常に敬語。

 わたしの名前は沢渡綺羅。沢渡家の次女で双子の妹です。姉の名は仁子といいます。

 このたび、プログラミングというものに興味を持って、ニコと一緒にMacBook Proを誕生日に買ってもらったのですが、実を言うとそんなにプログラミングそのものというより、環境を整備したりシステムを作ったりする方が興味があります。

 でもそんな話をすると、プログラミングに夢中なニコは「時代はとっくにWebプログラミングだよ! だってどこの企業でもWebを使ってないところなんてまずないもの!」と返してくるんです。それはもちろん否定しません。

 でも、そうだとしたら尚更、それを整備するためのインフラ構築や整備などが必要になってくるんじゃないかしら? 今の時代とっくにクラウドが普及しているし、何よりWebの重要性だけじゃなくIoTやAIが当たり前になればなるほど、ネットワークやサーバーといった分野もより活性化していくこと、これは自明の理です。

 先日は、大人気なくどちらが「Hello World」をブラウザに出力出来るか、という競争を無為にしてしまいましたが、わたしはわたしのやり方でやっていきます。ネットワークやサーバーもしくはバックエンドといったサーバサイド の知識を得ることによって、ITの世界をより広範囲に広げていくのがわたしの夢です。

 早速取り掛かりました。

 まずはじめに行ったのが、カソウカ? 仮想化することで、LinuxというOSをいじれるようにすることが目的でした。それが出来るようになれば、Macのコマンドプロンプトみたいにもう一つOSが操作できるようになるのです! なんと素晴らしい!

 しかし……このVMwareのvSphereというものを使った環境を用意するのに時間のかかることかかること……最新のMacBookでもこんなに待たせるなんて、OSを一つ使えるようにするタスクの重さを少し甘く見積もっていたようです。

 終わった頃に気がついたのですが、わたしの背後でニコがニヤニヤ笑っているのに気が付きました。わたしはムッとして後ろを向き

「なんですか、ニコ。何がおかしいんですか。ニヤニヤしちゃって、名前通りニコニコ爽やかに笑ったらどうですか」

「キラさぁ、そのLinuxとかいうOSインストールしてどうするの?」

 わたしはついムカーッときて

「コマンドでいろんなことができるんですよ! lsを入力して現在のディレクトリの中身を見たり、cdで今いるところから移動できたり!」

「それで?」

「それで……この/etcディレクトリでいろんな設定ができるんです!」

「それで?」

「全部無料なんです!」

「キラ。あなた肝心なこと伝えてないよ。結局ユーザーにとってどんなメリットあんのさ?」

 わたしは怒髪天を衝いて、ついニコのことを叩いてしまいました。

「あ、やったな!」

「あなたのコンソールログだって、ユーザーの役に立ってない!」

 それから2人の喧嘩を親が止めに入ったのは、もう夜の8時を過ぎてからのことでした……

続く

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