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効果的なカスタマーサクセス組織について考える

こんにちは、山田です!
今回はフリー株式会社におけるカスタマーサクセス(以下、CS)で、効果的なCS組織を設計するためにどんな事を考えているのかご紹介します。

一般的にCSは担う機能が多岐に渡るため、各社様々な組織体制をとっているのではないかと想像します。あるいはまだ組織を立ち上げたばかりで、目の前の業務をさばくのに精一杯という事も多いのかなと思います。
僕が普段CS組織を設計する上で考えている内容を公開することで、みなさんにとって何か少しでも気づきを与える事ができれば幸いです。


このnoteは "カスタマーサクセス Advent Calendar 2019"第17回の記事として書かせていただきました。


はじめに

フリーでは事業部それぞれにCS部門を抱えています。
全社横串機能としてのCSという位置付けではありません。
会計事務所、個人事業主、法人と、フリーには様々な属性のお客様がいるため、それぞれに特化したCS部門を各事業部に配置しています。

マーケ/セールス/サクセス部門が各事業部に存在し、一連のバリューチェーンを形成しています。

そんな中で僕が責任者を務めているのは、数百名規模の企業をお客様としているSMB事業部(Small and Medium Business事業部)におけるCS部門です。
20名強からなる組織でお客様をサクセスさせるべく奔走しています。


ところで、今回のアドベントカレンダーで僕が今日この日の投稿を選んだ理由は、今日という日がフリーにとって特別な日であるからなんです。


そうです・・・

フリーは本日12/17(火)、東証マザーズに上場しました🎉🎉🎉


創業から約7年間の序章を経て、ここから僕たちにとっての第一章がスタートします!
より一層お客様に『マジ価値』※を届けていけるよう、プロダクトだけでなくサービス面でも進化を加速させていきます!

※『マジ価値』とは
「本質的(マジ)で価値ある」の略称。
ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする、という意味で、フリーでは最重要概念として掲げています。

SMB事業部におけるCSの変遷

さてフリーは会社としてこれまで年単位で組織の組み替えを行ってきていますが、SMB事業部の母体となってきた組織おけるCSのこれまでとこれからについて図にまとめました。

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これまでの大きな流れとしては「リアクティブなサポート時代」、「ハイタッチ偏重での導入支援プロジェクト時代」、「利用状況の可視化とそれに基づくハイタッチ活用支援時代」、「アップセル・クロスセルの促進とchurn抑制による事業貢献時代」という流れです。

現在サポート機能は全社の横軸組織として切り出されており、サクセスとは別の組織として存在しています。サポートへのお問い合わせ内容は適宜サクセス担当者に連携される仕組みになっています。

そしてこの先目指していく事はプロダクトの利用度合いだけでなく、様々な変数からなる顧客ステージの可視化と、ハイタッチ偏重の導入支援・活用支援からの脱却、ロータッチやテックタッチに施策を広げていき、ビジネスのスケールに合わせた組織をつくることです。

すでに今、CSにはカスタマー・マーケティングを専門に行うメンバーがいて、ロータッチ/テックタッチによる施策を主導してくれています。

現在のSMB事業部における組織体制

2019年の前半まではCS内でチームを分割しておらず、導入支援プロジェクトに入ったメンバーが引き続き活用支援を行うという、アカウントマネジメント制に近い組織体制でした。
ただしこの体制では増加し続けるお客様に対し担当者も増やし続けなければいけないということと、CSという非常に幅広い役割を一人一人が全て担うことになるという点で、見直しの必要性を感じていました。

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2019年後半に入るタイミングで複数の事業部が統合され、CS部門が急拡大した事をきっかけにお客様のステージを再定義し、それに合わせてファンクション制に近いチーム編成を行いました。

現在の組織体制はざっくりと以下のイメージです。

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実際にはもう少し細かくチームや担当を分けていますが、全体感は捉えていただけると思います。
カッコ内には各領域で追うべき主な指標を書いています。
フリーではOKRによる目標管理を行っていますが、CSのOKR設定時にはこれらの指標がKRに入るように意識しています。


ご覧いただいて分かるように、顧客のステージは

Onboarding → Retention → Renewal

と進むものと定義しています。Expansionはどこのステージからでも発生し得るため上記ステージに対してパラレルに置いています。
もちろんExpansionに特化した施策を展開することもあります。
そしてRenewalを終えたお客様は翌年以降、Retention → Renewalのフェーズを繰り返していくものと整理しています。

我々CSにおいてはExpansionから発生した商談のクロージングまでは自身で責任を負わず、事業部内のセールス組織に商談のトスをするで役割分担をしています。

ただし商談創出金額のみをExpansion目標に置く事は本質的ではないので、商談トスの質と進捗管理に責任を追うという目的で、あくまでクロージング金額ベースでアップセル・クロスセル目標を設定し追いかけています。

そして次のクオーターからはExpansion専門チームも設置しようと思っています。

CS組織はサッカーチームに似ている?

僕は良くCSの組織を考える時にサッカーチームを頭の中でイメージしています。

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サッカーのポジションをFW、MF、DFと分解した場合に、サクセスの各ファンクションを当てはめると以下のイメージになります。

・FW:Expansion
・MF:Onboarding/Retention
・DF:Renewal

前線に位置するほどクロスセルやアップセルの獲得による事業貢献に近く、自ゴールに近いほど直近のchurn抑制といった守りのオペレーションが多くなります。
中でも重要なのはMFの動きで、トップ下でチャンスを見出して前線にアップセル・クロスセルの商談パスを出す人や、ボランチとして中長期的なサクセス提供の為にチーム全体の施策設計を指揮統括する人などが挙げられます。

各自の役割は名目上ファンクション単位で区切られているものの、どこからでもアップセル・クロスセルのチャンスはあるし、状況に応じてフィールドを縦横無尽に走り回ることでFWが守りに転じるなど、異なる役割を積極的にこなしていく必要性も出てきます。
センターバックが全力で相手ゴール前まで駆け上がるなんて事も起こります。

そのため「これって結局誰が責任持つんだっけ?」という確認は日常茶飯事です。
できる限りOKRによって各チーム・各人の責任を明確にする事に努めていますが、完全にMECEなかたちでの責任の分解は難しいと思っています。
目標設定も『アウトプット→思考』※でメンバーからフィードバックをもらいながら日々改善していく事を目指しています。

※『アウトプット→思考』とは
freeeの行動指針の1つ。
まず、アウトプットする。そして考え、改善する。という意味。
PDCAのPを限りなく早く小さく行い、高スピードでサイクルを回してブラッシュアップしていくこと。

より良い組織設計を行うための今後のアプローチ

サッカーを例にCS組織のイメージについて解説しましたが、サッカーではボールが1つ(もしくは相手選手11人)であるのに対し、CSにおいてはケアすべき対象が膨大です。

例えばサッカーのフィールドにボールが1,000個あったらどうなるでしょう?
各ポジションにおける役割や目的が曖昧になり、目の前に転がってきたボールを必死にさばく事だけで精一杯になってしまいます。
フリーでもまさにそういった状況に陥ることが多々あり、長らくモグラ叩き状態のCSを続けてきてしまったという反省があります。

そのため組織内における各人のポジションや役割を定義した上で個々の責任領域を示してあげるアプローチだけでなく、やはり重要なのはカスタマーサクセスツールによる一義的な顧客管理だと強く感じています。

■個人的に超応援しているプロダクト

契約情報やプロダクト利用といった顧客情報の適切な管理と、それぞれお客様が今どこのステージにいるのかを可視化して、ケアすべき役割を持った人間が適切なタイミングでタッチポイントをつくること。
そして自身によるケアが完了したら適切な役割を持った人間にパスすること。

これらを実現するためには、仮説検証を繰り返しながらサクセスやchurnのドライバーがどこにあるのかをデータ・ドリブンに探していき、活動のベースとなる顧客データベースを作り上げる必要があります。

フリーのカスタマーサクセスがお客様に更なるマジ価値を届けるためには、データ・ドリブンな活動をベースに組織を設計し運営していく事が急務であると考えています。

直近ではそのためのデータ基盤構築を進めていく事に挑戦していきたいと考えています。

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