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写真との出会いは標高3000m ep.2

前回の記事エピソード1もぜひご覧ください!

一刻も早くバスを降りたい気持ちを抑えて、他の乗客に続き、出口に向かう。

とうとう降り立つ…憧れの山へ

運転手にお礼を言って、出口を出た時、山の空気に全身が包まれた。
明らかにいつもと違う空気を感じた。

ひんやり、透明な、スッと気道に入ってくる空気。
バスから降りた瞬間、少しの間深呼吸を味わった。

5号目の富士スバルラインは登山客で賑わっていた。
青い服、黄色い服、黒い服、赤い服...
登山服はカラーバリエーションがたくさんあるから、登山者が並んでいるだけでかなり賑やかだ。

カラフルな列が吸い込まれていく先は、お土産が買えたり、ご飯が食べられたりする少し大きめな建物。
友達と僕はしばらくここで休憩することにした。

富士山は5号目ですでに2400mの標高があり、そこを一気にバスで駆け上がってきたわけなので、そこからすぐ登り始めると体に負荷がかかって、高山病になるリスクが高まるらしい。
なので、1〜2時間程この5号目で体を慣らして、出発するのが基本ルールらしい。

特に空気が薄い感じも全くないので、ただ休憩しているだけだったけど、高山病は怖かったので、マニュアル通りに体を休める。
空いているスペースで、2Lの飲み物が2本、着替え、携帯食などなどを詰め込んだ登山リュックを下ろし、少し建物内を見て回る。

今日で何回目の富士山だろうと聞きたくなるような、ベテランのおっちゃんたち、背中に子供を背負えるカゴがついたものを背負っているお父さん、ツアーできているのであろう集団のおじちゃん&おばちゃん、半袖半ズボンを着て、それで登るのか?と思ってしまう海外の人...

富士山を登るという同じ目的で集まっていても、経験値や楽しみ方がそれぞれにあるという当たり前のことが、なぜか面白かった。

ざざっ、ざざっ、ざざっ
人間観察をしていると、人間の足音ではない音が聞こえた。
音の鳴る方へ目を向けると、馬がいた。
どういうことなのか...
馬がいる方へ近づいていくと、馬を休めるための一画があった。
その横に案内板がある。
どうやら、乗馬ができて、しかも6号目あたりまで馬に乗って登れるようだ。
そこそこの値段だったので、いいビジネスだなと思いながら、馬の労力への対価と考えれば妥当か...としょうもないことを考えていた。

「そろそろ、いくぞ」と友達に呼ばれ、そんなに時間が経ったのかと気づいた。
重たいバッグをまた背負うのが億劫だったけど、いよいよ自分の足で日本最高峰へ登っていく期待が勝った。

建物から出ようとした時、「チリンッ、チリンッ」という音が聞こえた。


つづく

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