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健|本と写真
2023年10月31日 21:29
エピソード1はこちら↓一瞬で辺りが明るくなり、目を細めた。パッと明かりがついたそのシーンに一瞬にして心を奪われた。日が出る前、周りに雲があることは分かっていたけど、それがどこまでも続いていることは太陽の光が教えてくれた。光は一面に広がっている雲の凹凸まで浮かび上がらせて、それはまさに雲の海だった。「すげぇ…」景色に完全に圧倒された。この壮大さに自分…というか、すべての存在が小
2023年10月28日 15:36
エピソード1はこちら↓「ここ、ここ。ええスポットやねん。踏み外さんといてな。」おじさんがいる場所は富士山の側面になっている、崖の窪み。到底人のために作られたものではない、その絶景スポットのごく短い道のりはかなりのリスクを伴う道程だった。友達と顔を見合わせたが、行くしかない。その時にはまだ顔を出していない太陽の光がギリギリそこに届いていて、薄らと周りが見える程度に明るかった。足
2023年10月21日 11:53
エピソード1はこちら↓視界の端の方で何かが通った。もしかして…液晶から空へ目を移す。尋常じゃない星の数々。死に物狂いになれば、この数を数えられないことはない。けど、数えているうちに夜が明け、現実的に数えられない。まさに、無数の星々。目が捉えられる範囲の左下に一筋の光がサッと流れた。「あ、流れた!」「え、どこ?見えなかった。」もう一回見たい。しばらく視線をあちこち
2023年10月5日 22:13
エピソード1はこちらから↓力一杯閉じていた目と口をできる限り力一杯に開いた。一瞬眩しくなる。カシャッカシャッおじさんがシャッターボタンを押している。思いっきり、開いた目と口。それをやってる自分自身がおかしくて笑ってしまった。横にいた友達も笑っている。「良いの撮れたよ。ほらっ」おじさんが持っていたカメラの液晶に撮ってくれた写真が映し出されている。目尻に皺が寄り、葉を
2023年9月28日 09:27
エピソード1はこちら↓山小屋の受付を済ませて、寝床の場所と小屋の利用にあたっての説明を聞いた。寝床の場所といっても、どの布団で寝れば良いかということだった。川の字が何個もできる形で山小屋に泊まる人と一緒に寝る。すぐ隣は知らない人が寝るということだったので、山小屋であれば当たり前のことだけど、ビックリした。かなりお腹は空いていたけど、ひとまず重たい荷物を下ろしに自分の寝床へと向かった。
2023年9月18日 10:01
エピソード1はこちらから↓目線を下のほう、登ってきた道を見ると、想像していなかった景色が広がっていた。絶景では表現が足りないくらいの感動を覚えた。靴紐を結んだ地点はもう遠くの方に見え、そこにいる人は枝豆くらいの小ささに見える。白い雲が流れているが、それは自分の位置よりも下のほうで流れていて、感じたことのない浮遊感を味わった。自分が普段生活していた地点より、遥か高いところに立っているこ
2023年9月15日 17:43
エピソード1はこちらからどうぞ!富士山はジグザグに登る。左斜めに進んでは、道が折れ、右斜めに登っていく。ロープで進むべきルートが区切られているので、迷うことはない。ひたすら、前の人に続き、登っていくだけだ。道は基本的には赤土だけど、ところどころ大きな岩が点在している。ここに足を取られたり、大きな石を蹴って下から登ってくる人に当てたりしないように注意して登らなければならない。よく
2023年9月8日 19:28
エピソード1はこちらから。なんの音だ?チリンッ…チリンッ…音のほうに近づくと、人の身長程の長さのある細長い木を杖に歩いている人がいた。そしてその音は、その杖の先に付けられている鈴から出されていた。よく見ると、杖には何か文字が彫られていて、焼き印のようなものも押されている。その人は、年季の入ったバッグとシューズを装着し一定のペースで歩き続けていた。玄人の雰囲気があり、つい目で追
2023年9月7日 00:07
前回の記事エピソード1もぜひご覧ください!一刻も早くバスを降りたい気持ちを抑えて、他の乗客に続き、出口に向かう。とうとう降り立つ…憧れの山へ運転手にお礼を言って、出口を出た時、山の空気に全身が包まれた。明らかにいつもと違う空気を感じた。ひんやり、透明な、スッと気道に入ってくる空気。バスから降りた瞬間、少しの間深呼吸を味わった。5号目の富士スバルラインは登山客で賑わっていた。
2023年9月4日 06:00
iPhoneで十分と思ってた僕は今でこそ、20万円を超える一眼レフを携えて、出かけることが多くなったけど、初めて一眼レフを買うまでは、これだけ技術が発達しているケータイのカメラがあるんだから、一眼レフなんて必要ないとすら、思っていた。友達は、初任給で一眼レフを買っていたけど、全く理解できなかった。あの山を登るまでは。日本最高峰への道登山好きの友達との付き合いで、僕もだんだんと山が好きに