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リーダーは「憐れみ」の心を持つべきでは

戦国時代に関東を支配した北条家の2代目に北条氏綱(1487年~1541年)という人がいます。この人は初代、北条早雲から北条家の勢力を更に拡大した人として名前を残しているのですが、特に後継者(北条氏康)に残した「五か条の遺訓」は戦国大名の遺訓のなかでも有名です。
 
この遺訓の第二条には、家臣の使い方、特にその強みの活かし方について書かれているのですが、そのなかに、「どんな者にも憐みをかけなさい。役に立つか立たないかは、すべて大将の心にあるものだ。」という一節があるのです。私はこれを読んだとき、強みを活かすということに限らず、「どんな者にも憐みをかけなさい。」ということは、リーダーが持つべき心持ちとして大事ではないかと感じたのです。
 
そもそも、「憐れみ」というのは何でしょうか。調べてみると、「人の苦しみや悲しみに、深く同情すること。」とあります。
経営者や管理職の立場である人が、社員や部下が苦しんでいたり、困っている時、そこに深い同情を持てないようであれば、リーダーとしてはやや課題があると言わざるえません。
 
そもそも仕事のなかで苦しんでいたり、困っている時とは、組織として求められている成果を実現できないため、そのような状況になっていることもあります。
そのような時に、社員の苦しみに同情し、そこから救ってあげようと思わなければ、組織が目指す成果も実現できないことになります。例えば、お客さまから求められていることを実現できずに苦しんでいる部下がいながら、その苦しみを感じてあげられず、その状況を放置したならば、結果的にお客さまから求められるものが実現できず、売上も上がらないのです。
 
また、これは経営者によくあてはまるかもしれませんが、社員の生活に関わる苦しみに対しても深い同情をもてなければ、会社としてより多くの成果をあげ、社員の生活をよくしようという思いに至らないのです。
稲盛和夫さんは、会社創業期に社員の方々から待遇改善を求められたときに、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」を経営理念として入れられました。これも、待遇改善を求められてきた社員の方々の苦しみに対して深い同情があったからこそ生まれたのではないでしょうか。そして、その想いが原動力となり、京セラさんは有数の大企業へと成長していったのです。
 
リーダーが「憐れみ」の心を持てるかどうかは、その組織の盛衰にさえもつながるように感じます。

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