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透明色の夢

ゆめ
ゆめ、、、

夢であってくれ黒い水辺

硬い石を詰めた無垢なぬいぐるみが
裏切りの窓辺に飾られている




ぼんやりした足取りで
緑の玄関から入って
ぼくはいつもの席につく

テーブルには温かな飲み物が用意され
見知った人たちのにぎやかな笑い声


家族だっけかな、、
確かめるように眺めつつぼくは独りである


まっすぐな眼差しの彼女のまつげが 
わたしを抱いてくる

「良かったぁ無事でー」


ふっと
ふっと、、、

きみが香る


嗅いではいけない
とっさに吐き気に襲われる
僕は、、、



黒い水辺に光る眼

間違いであってほしいと滲む血の味がする
蘇る足音、枝の折れる気配


月光の下、水の中に眠るふたり

抱き合い落ちていく二人

永遠を浮かべたまま



僕の叫びは声になってなどいなかった



先の途切れた記憶
不明瞭な現実
嘘でかためられた時間



僕は知っていた
君の体が冷たく冷え切っていることを


憎しみに燃える僕の心の痛みは、
ガラスの破片となってあの夜、ふたりの胸を刺したのだ

行き場を失ったのは、僕の心


ガラスの破片はナイフとなり、そこへ戻るためのフイルムを切り刻んだ



胸のポケットに入れた石で救われた君が
否応なしに戻って来てしまったこの場所

再び流れ出した張り合わせの日々

あんなにも
君を手放したくなくて
あんなにも愛した君を

この手は

僕のこの手は行き場を失い
僕自身の顔を覆うしか

もう

できなくなった


そのまつげも
そのくちびるも
触れたら溶けてしまうだろう

石が詰められたぬいぐるみを持たせたのは
神か、それとも悪魔なのか


君を遠ざける


僕の罪は君の罪になって
深く水の底へ沈んでいく


誤魔化して生きていくには余りに息苦しく「ほんとうはぜんぶ覚えているよ」と、今
言ってくれたら


消えなくてすむのかだろうか








打ち付ける日差しに、燃えてしまえ


動かないわたしを、焼き尽くせ

涙や良心愛さえも
わたしの体から出てなどくるものか



パチン🤏✨、、、


おかえり、コノハ。森はどうだった?
何を大事そうに持って帰ってきたの?

あー、それ。
懐かしい気持ちがしたんだ。

お人形みたいでしょう。



ちょっとかっこいい王子様みたいな木の塊。
窓に座らせたらぴったりだと思わない?


武器も王冠も持たない王子像
木の塊になって、何度でも巡り合うのだと。


言葉をかわせなくとも、何度でも出会うのだと


けして結びつくことのないふたつは、記憶の代わりに夢を持つ




誰にも夢の世界はある
沈黙を破って、夜にやってくる


、、身を任せること、木の葉のごとく

『木の葉』の物語を読んでくださってありがとうございます(ʘᴗʘ✿)


彼らは、愛憎からやりきれない罪を犯したのかもしれません
悲しい燃えかすの塊をイメージしましたが、薄れても確かに愛はあるのです
約束したから


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