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デザインの理解を深めるために歴史から見てみると、これがまた面白い(No.4)

第四弾です。前月出そうと思っておりましたが、プライベートバタバタしており出せませんでした。。。今月は更新していきます。


ちょっとだけ前回のおさらい

流れ作業が確立され、物を効率的に作れるようになり、安く物が作れるようになり、さらに安価な物を世の中に提供できるようになった。
代表的なものとして「T型フォード」が発売され、バズりました。
終わり。

スタイリング

1908年~1927年の間で世間に広く販売されていたT型フォード。1500万台も販売されました。
19年間も販売されました。1920年ごろには国内の車の半分がT型になるなど、バスったといってもよい代物でした。

そんなT型を見て、「わいもたくさんものを売りたいでござる」と言ったのは、アルフレッド・スローンでした。

GM社の社長(創業者ではないよ!)

GM社は1908年くらいに「あ、自分も車いいっすか?」と車産業を始めたフォードのライバル会社でした。

スローンは「ふーん、フォードはT型しか作ってないのか、ふーん。」
生産効率を上げて大量に安く車を売るがウリのフォードは20年近く同じ形、つまりT型しか作っていませんでした。

社会にはいろんな人がいる。GM社はいろんな車を作ろう!という戦略をとります。

今は当たり前のように使われる多様性。
ここに気が付きそこにニーズがあると気が付く。

フォードは買う人の社会的地位に関係なく、T型フォードが最高に効率よく作るれるからT型フォードだけでよくね?という思考でした。これはある種そこまで間違えた戦略でもなく、そもそも社会的地位的に労働者が多いのは確かでした。社長が1人いれば従業員は複数人いますよね。その従業員、労働者に対してもT型フォードを売ることは、これまたビジネスとしては効率的でした。ここでも効率的な考えがあらわれていて非常にフォードらしさが前面に出ています。

しかしお金持ちは「庶民と同じT型乗りたくなくね?」と思うわけです。この思想はどこかでも出ていましたね。お金持ちはとにかく庶民よりいいもの、かっこいいものを使いたいわけです。

そこを狙ったスローンの戦略で、複数の商品を出します。それが、庶民向けの「シボレー」や、お金持ち向けの「キャデラック」です。シボレーは見た目が普通だけど安く、キャデラックは細部まで凝った造形と、ターゲットに合わせてデザインを使い分けたのです。


シボレーのシンボル
キャデラックのシンボル

さらにT型は黒色の車しか販売していませんでした。しかし、フォードは黒一色にしていたのにもわけがあります。塗料が安価で乾くのが早いからでした。フォードの効率主義半端なさすぎです。

フォード「だって…効率的なんだもん…」

ここに目を付けたスローンはカラーバリエーションを展開します。1925年に発売されたシボレー・スペリア シリーズKです。
GM社は新しかったラッカー塗料というものを使えたということが大きいのですが、T型とは違ったT型フォードと違って非常に色鮮やかでした。

樹脂系の原料をアルコールやシンナーなどの
揮発性有機化合物(溶剤)に溶かした塗料を用いた方法らしい。

この色鮮やかさが庶民に大うけします。

スローンが着目した人によって商品へ求めるものが異なることをニーズと言います。色を変えただけですが、顧客は機能だけでなく見た目も気にしていることが分かり、スタイリングという概念が生まれます。

1927年GM社はフォード社を抜き、業界トップに躍り出ます。それと同時に顧客のニーズに応えることが出来なくなってきたT型は生産を終了します。フォードも指をくわえてみていたわけではなく、息子のエドセル・フォードが社長になると、T型の後継機であるA型フォードで形状や性能を根本から見直したり、カラーバリエーションを用意しました。

世界恐慌

しかし1929年に大事件である「世界恐慌」が起こります。これは全世界の人が不幸になる、キングボンビーもビックリな最悪なイベントです。

吾輩もそこまでやらないのだ!

この世界恐慌のおかげでアメリカ(だけじゃないけど)のいろんな企業が倒産寸前になってしまいます。

ここで企業は「やべぇええええ、とにかく売れるもの作って売りまくらないとまじやばい!(語彙力低下)」と思うわけです。

そこで注目されたのがGM社の行っていたスタイリングです。

スタイリングは機能は据え置きのまま、見た目を変えるだけでいろんな層に刺さり売れるわけです。各企業はこのスタイリングに力を入れ始めます。売れる製品が出てくると、みんなでそれをパクって参考にしてスタイリングしてみたりします。ここで誕生したのが流行です。

長く使えて性能の良いものが良い製品だというフォードの機能主義とは異なり、売れる「形」がいい製品だという考え方を商業主義と言います。

各企業商業主義でどんな形が売れるんだ!?となっているときに一人の男があらわれます。

ストリームライン

レイモンド・ローウィです。

レイモンド・ローウィ
歴史上はじめて自らを工業デザイナーと名乗った「デザイナーの父」

彼が生涯で手掛けたデザインはこんな感じ。


不二家
LOOKチョコレート
ラッキーストライク
コカ・コーラ

日本人にも非常になじみ深い、なおかつ今でも知っている人が大多数のデザインを手掛けていました。

1929年、ゲシュテットナー社の複写機をデザインしました。今までの複写機は、機能にあたる機械がむき出しでしたが、カバーを付けて見た目を洗練させました。中身はまったく同じ機能なのですが、新しい!とバズります。

これをきっかけにいろんなデザインを手掛けていきます。
1936年のペンシルバニア鉄道機関車車両というものが出来ました。
「GG1」「K4S」「S1」「T1」と4車両デザインしましたが、これが今までの機関車と違い、滑らかな形状で曲線的でした。

S1(多分)

当時戦闘機や旅客機が登場するなど、航空技術の発展により、滑らかな形状のほうが空気抵抗が少なく早いということが分かるようになったため、これを鉄道にも取り入れました。

早くて曲線的な造形というものがバズり、様々なものに使われるようになりました。これをストリームライン様式後期アールデコと呼びます。

車などにも応用され始め、果てまでは鉛筆削りまで曲線的なものが出てきました。これはローウィデザインじゃないと思うけど。

なんか飛んでいきそうな鉛筆削り

ただこれが流行でした。

機械美術展

ところ変わって1934年、ニューヨーク。ここで一風変わった展示会がNY近代美術館で行われました。ここで行われた展覧会を機械美術展と言います。

1929年に立てられたNY近代美術館。セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホといった近代絵画の代表ともいえる作家の絵画を扱っていました。

そこから近代建築の展示やシカゴ派の展示などアートではなくデザインの展示を始めていきます。そこで開かれた機械美術展で展示された、機械生産されたモノ、それが美しい物として展示されました。

ここを一つのきっかけとして、機械で生産されたものが美しい物であると世間に広まることとなりました。「アーツアンドインダストリー(機械生産の美)」ですね。

こうして人々の多様なニーズに応えるために美しい形が求められるようになり、美術品としても認められるようになりました。美しい形とはなにか、売れる形とはなにか、新しい形のあり方が探し始められるようになります。

このあたりでヨーロッパから、アールデコやモダニズム、バウハウスがアメリカにどんどん入ってくるようになります。彼らは戦争がない平和で自由なアメリカで多様なデザインを模索し見せていきます。

続きはまた次回。

まとめ

  1. GM社がカラーバリエーションスタイリングを始める

  2. 世界恐慌が起こり各企業がスタイリングに注目する

  3. 商業主義的なデザインが行われるようになる

  4. レイモンドローウィがあらわれ、ストリームラインが流行る

  5. 機械美術展が行われ、工業製品にも美しさが求められる

四方山話

最近アートと言いますか、美術品に対して興味がありありです。
皆さんアートもたまには見に行ってみませんか?という提案の話です。

デザインにセンスは必要か?

どこかで、デザイン=アート×技術であるという文言を見ました。個人的にめちゃくちゃしっくりくる感じがしました。デザインは分析などをして、顧客のニーズをとらえて、そのニーズに対して価値を提供していきます。非常に論理的に進めていくことが多いのですが、お客様が持つ価値感を深ぼっていくときにどうしても感覚的な部分が大きいところも出てきます。それをデザイナーが論理的に整理して、、、ってやっていきますが、この感覚的な部分を理解しないと整理できないですよね。それはやはりアート的な感性が必要なんじゃないのかなと思いました。いわゆるセンスというものです。

この現代アートをみて何を思うか

センスはどれだけ知識を持っているかとか、経験しているかの積み重ねでできていくという話もあります。それに対しては非常に深くうなずく部分はあります。ただそれは後天的なセンスと言いましょうか、たくさんの引き出しに入った知識を上手に取り出せるようになった努力の結果だと思うのです。

それはそれで一つセンスと言ってもいいと思いますが、先天的なものもあると思います。何をするにしても天才と呼ばれる人はいますよね。それに近しいものだと思います。私は、特にこの四方山話などはうまく日本語化できていないと思っていますのでセンスが無い側です。

だからデザインを取り組んでいても、「うわー!難しいなー!」とか「思いつかなかった」とか「うまく参考にしきれなかった」とかあります。

何が言いたいかというと、私に技術があるかは一旦置いといてアート的感性はデザイナーにも必要不可欠な要素なのではないかなと思いました。

読んでないけど、おススメらしい

ある程度のセンスは大事そう

デザイナーの方であれば、なんかしっくりこないという感覚があるかなと思います。この感覚はアート的感性が近いんじゃないかなと思います。もちろんデザインの経験から見たことないデザインだからしっくりこないということもあると思います(むしろそっちがおおい)。ただそうすると見たことある形ばかりで新しいものが生まれにくくなる可能性を少し高めているんじゃないかなとも感じます。

新しいものがいい物とは限りませんが、パターンを狭めるのはデザイナーとしてはよくないと思います。アートを頑張って理解しようということだったり、アート思考をしよう!とまではいきませんが、たまには美術館で現代アートなどを楽しむのも、センスを磨くことにもなるんじゃないかなと思います。

アート触れてみない?

なので皆さん美術館や展覧会でいろんな作品に触れてみませんか?この記事が出るころには、国立西洋美術館で現代アート展が行われていますし、東京都美術館ではデ・キリコ展が行われます。現代絵画などが見られます。それをみて深く考えて、理解を深めろとまでは思いません。なんとなく自分が好きだなーって思う絵や彫刻などを眺めるだけでもいいと思います。解説を必死に読むのもいいと思います。やはりインプットがないと、アウトプットに幅がでないですよね。デザインもすごく大事ですが、休憩がてらアートに触れましょう。

私は全く語れるほど見たり調べたりしていませんが、一般レベルではアートについて多少知っているつもりです。

アートについて色々話を今後できたり、誰かと話ができるといいなーと思う今日この頃でした。

ちなみに私はセンスを磨きたくて、アートを見に行っているわけではないです。純粋に面白いなーと思ってみたり、その絵画が書かれた歴史背景などを知るのが面白いと思って見に行っています。

文章とっ散らかって申し訳ないですが、この記事はここで終わりです。
私を知っている方は直接声をかけていただいてもいいですし、コメントしても構いません。いろんな方のお話を聞けたらうれしいなと思います。

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