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学校は何のためにあるのか?(9)

学校は社会適応の練習?

学校とは小学校と中学校を指すことにしますが、学校に行けなくなると、本人もご家族も、ものすごく不安になります。

学校というものは行くものだという大前提があるからだということは、今さら、言うまでもありません。

この「学校」というのは、何のためにあるのかをずっと考えてきました。

「真の学力」と言われるものをつけることができるところは、学校が一番です。

実際につけられるかどうかということは、少し横に置いて、大きな問題がなければ、学校が一番だということです。

ここで、「学習塾、進学塾」は、ペーパーテストで測ることができる「狭義の学力」をつけることはできるが、塾では決して「真の学力」をつけることはできないということも、お伝えしてきました。

この「真の学力」(以後、学力とする)をつけるだけではなく、社会で必要とされる知識・教養なども身につけることが目的ではないのかともお伝えしてきました。

この知識や教養は学力とは別のものです。

また、学校という場は、子ども達にとっての「社会」であることは、間違いありません。

このこともお伝えをしてきました。

だから、学校は「子ども達の社会であり、卒業後に本当に社会に出ていくための知識や教養、真の学力を身につける場」であることになります。

この「学校」というものは、日本社会の縮図であると言っても間違いありません。

そうすると、学校に行けないことは、子ども達の社会からはみ出したことであり、このままいけば、日本社会からもはみ出してしまう、という恐怖がご家族には芽生えることになる、ということです。

これが、学校行けないことで感じるご家族の不安の真相かもしれません。

その学校は、これまでお伝えした通り、かなり疲弊しています。

それは大人が疲弊しているからだともお伝えしました。

日本社会の疲弊と言ってもいいでしょう。

平成の長い不況、その中での消費税増税による景気の悪化と深刻なデフレ、全く成長できない日本経済のために、日本社会は40年近く、苦しんでいるのです。

さらに、増税、社会保険料のアップなど国民負担は、どんどん大きくなっています。

当然のこととして、国民が疲れ切っているのは、日本社会のどこを見ても、嫌というほど見て取れます。

結果として、学校が疲弊し、落ち着いて学習できる状態でないことは、わざわざ見に行かなくても、十分にわかるのです。

このような状態の「学校」という子ども達の社会に、行けなくなる子ども達がいることは、当然と言えば当然です。

それを「不適応する能力がある」とおっしゃる方もいらっしゃるくらいです。

だからこそ、公立の学校に行かせると、学力がつかない、良い友人ができないとばかりに、中学受験で私立中学に進学させようとするご家族が、都市部にはかなりの数いらっしゃいます。

その結果、思春期を様々な面で囲われた私立中学・高校で過ごし、難関の国公私立大学に進学して、社会に出てみて、厳しい社会の現実を目の当たりにしてしまい、戸惑う若者がいることも、指摘されるようになりました。

小学校入試で有名私立大学に入って、社会の厳しい状況をあまり理解できないまま社会人になって、「こんな人がいるのか!」「こんなことがあるのか!」「なんでこんなことをいわれなければならないのか」とショックを受ける若者がいるというのです。

こう考えたときに、学校は何のためにあるのか、という問いには、「社会の現実を知るため」ということも言えるのではないかと、学校の先生方や、子ども達の話を聞いていて、思わずにはいられないのです。

他人と関わる、友達ができる、新しいことを学ぶ、嫌がらせを受ける、他者と競争する、体を鍛える、いじめを受ける、上下関係を学ぶ、自分の意見を持つなど、いろいろなことがある場であり、それが社会に出ても同じことがあることは、間違いありません。

私は、34年間、学校行かない子ども達と接して、一緒に学んだり遊んだりしてきました。

ですから、子ども達が行けないのであれば、学校に無理に行く必要がないと、ずっと子ども達に言ってきました。

今でもその気持ちは変わりません。

その気持ちを持ちながらも、一方で社会に出ていった後のことを考え、現実的なことを話をしてきたことも事実です。

そうしながらも、子ども達が社会に適応する「社会化」よりも、自分をしっかり作り、自分軸をしっかりとさせ、折れない心づくりを子ども達にしてきたつもりです。

そして、子ども達を通じて、ずっと訴えてきたことが、

「不登校は子ども達の問題ではない」

ということなのです。

社会の疲弊を、子ども達に押し付けた結果が、不登校であり、いじめであり、子ども達の自殺だと、私は考えています。

学校が何のためにあるのか、それは、日本社会の現実を知るためではないかと、私は思っているのです。


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