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○○を醸す

"醸す"とは

「醸す」という言葉を聞いて何を頭に浮かべるだろうか?

普段生活している中で"醸す"という言葉を使うことも聞くこともあまりない馴染みのない言葉です。
浮かぶ言葉としても「お酒を醸す」や「物議を醸す」とかしか浮かばないかと思います。

コトバンクによると

① 麴 こうじに水を加えて、酒や醬油などをつくる。醸造する。 ② その場に、ある雰囲気や状態を出現させる。 ③ ある物事、事態を作り出してゆく。もたらす。出典:コトバンク

という意味が出てきます。

一番目の意味として使われる「醸す」は、発酵させることを意味しており、日本酒や醤油、味噌を造る時に使われます。
「物議をかもす」で使われる意味としては、雰囲気や状態を出現させることなど少し曖昧な表現ですが、これもその場が発酵しているさまを表しているのではないでしょうか。

つまり、醸すとは発酵してある物質(米や大豆)が別のモノ(日本酒や味噌)に変化することであり、それは食品だけでなく、人や場所、共同体にも言えることだということです。

〇〇を醸すとは、まさに食品に限らず様々な事柄を醸していこうということです。


かもす経済

例えば、僕が提唱している感謝経済は、醸す経済と提言しているように、経済を醸しています。経済とはなにか?
民と言われるように、「世の中を治め、人民を救うこと」が本来の経済の役割でした。しかしながら、現行の市場経済においては、市場という場がエゴイストの私利私欲が渦巻き、ゼロサムゲームの競争が起こり人民を救うどころか、人民が疲弊しています。つまり、これは腐敗して腐っている状態のことです。

感謝経済では、「ありがとう」が貨幣の代わりに人々の間を循環することで、等価取引ではなく不等価恩贈りが行われ人々の精神的豊かさを追求する経済を感謝の力で醸していこうとしています。

これは、経済のことだけでなく、「人生を醸す」こともできますし、「コミュニティを醸す」こともできます。また、「組織を醸す」こともできます。組織をうまく醸してできたのが、ティール組織型の企業なのかもしれません。


菌本位制から始まる大調和の世界

先日、発酵道という酒蔵メーカーの寺田本家の寺田啓佐さんの本を読みました。

この発酵道のなかに、人間が学ぶべき叡智が詰まっていました。
発酵がうまくできるところを発酵場と寺田さんは本書で書かれていますが、その条件が、「循環」「共生」「調和」です。

循環している世界は、変化の世界、無常の世界だ。共生とは、競争しない、争わない、仲良しの世界のことだ。出典:発酵道

この「循環」と「共生」がバランスよく整うことによって「調和」の世界が現れてきます。

まさに感謝経済の目指しているのがこの循環、共生、調和の世界の実現だったので、読みながら興奮していたことを覚えています。
感謝経済では、「感謝の循環」「恩贈りによる共生」によってコミュニティ 全体が調和し、それぞれの人たちが自分の好きなことをすることで、コミュニティ 全体の利益になり、コミュニティが成るように成っていく世界を目指しています。
そして、その世界を実現するために必要なのが、Giver精神です。利己的(我欲)なエゴの快楽ではなく、利他的(無欲)なギブに快楽を感じ、己を忘れて他を利する「忘己利他」の生き方をしていくことです。
これは決して、精神論ではありません。
人間が不自然な生き方をしているため、本能とは利己であると思い込んでいるに過ぎず、微生物のような自然体になれば利他で生きることに気持ちよさを感じるはずです。それが調和の世界だと思います。


微生物は人生の大先輩

なぜ、微生物にできる利他的行動が人間にはできないのか?
この疑問が残ると思います。

この疑問を僕も抱いていましたが、地球史を紐解くとこの疑問が解消されます。人類が生まれて、約400万年と言われているのに対して、微生物は約40億年もの前からこの地球に生まれていました。
微生物の方が圧倒的に長く子孫を反映して、現在まで発展してきています。人類は、微生物からしてみれば、赤ん坊みたいな存在です。
赤ん坊が泣いても、おねしょしても大人は怒らないのと同じで、人類が殺菌しても自然破壊しても怒らないのは、微生物が相当な大人(長老)だからです。

人類は、微生物から学び、自然法則の叡智を体得し、無我の世界で全てを自然に委ねる生き方(人生をコントロールしない)をしていくことができれば、本当の意味で”仕合わせ”な生き方ができるのだと思います。

仕合わせになるために、人生を醸していきましょう。


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