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キャスではけいせいさん、詩では主にstereotype2085として活動しています

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羽根が生えたら

もし、背中から羽根が生えたら、 そうだな、それも楽々空を飛べるような、 そんな羽根が生えたら。 家にこもって本なんか、 今どき、本なんかを読んでいるあなたを、 外に連れ出してあげるかな。 行き先は、海の向こうだなんて、 大げさなことは言わない。 せめてクレープ屋さんに行ったり、 サーティワンのアイスを食べたり、 恋する十代がするような、 そんなことをしてあげたいんだ。 あなたは勝手に、 私を見失ったり、 私を見つけたり、 本当に身勝手だから。 出来るかぎり、陽の当たる場所

    • 美しく焼ける月夜

      眠る気さえ、失ってしまった夜は、 届けずにいる、恋の行く先を見つめている。 綺麗なままで、君の横へ近づけるならば。 時間さえ忘れて、消しては書いた言葉は、 返るはずもない声を待ち望んでいる。 どうか、  結べずにいる心を、現し世の光で包み込んで。 これが最後。 裏切れない夜と、 どこかで眠る君の、 触れられない息が悲しい。 you are the truth. 冷めない熱と、 そう、愛する人。  せめて今夜は夢の中へ、 連れていって。 壊れた十字で哀れむ物語。 織り上げ

      • 七色に光る

        crazy, 雲のすき間に陽が差した。 狂ってるのね、また晴れの日が来る。 雨の日に迷っているのも嫌いじゃない。 もし私の人生をより良くする、 手軽なメソッドでもあれば、 もう少し居心地のいい方へ、 二人ですんなりと入り込めたのにね。 どこへだってあなたと行けるし、 夏が焼けるように暑くても、  火星に住みたいなんて思わないし、 あなたに言えなかった言葉を、 くよくよ思い返すこともないのに。 busy, また街が動き出した。 気が変なのね、朝がやってくる。 夜通し悩むのも

        • 桜ユニバース radio.edit

          もし、  虹色の桜が、広がる空に敷き詰められたら、 僕はスマホなんて仕舞い込んで、 優しい歌の一つでも唄いながら、 軽やかなステップを踏んで、 街中に散歩に出かけるだろう。 集めた新聞の切り抜きなんて、 大した意味はなくて、 争いも愛の唄も、 散り散りになって、大気に溶けていく。 静けさの2034年、人は孤独を好むけど、 それでも微かな希望があって、 酸素が充分あることに、 みんなとても満足してるんだ。 彼女の想い出も、あの夜一瞬だけ見せた弱さも、 いつか灰色のアンド

        羽根が生えたら

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        • 文学広場
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        • 現代詩2.0
          1本

        記事

          2024年の3月は奇跡に満ちていて

          鳥は何気なく後ろを振り返る事さえなく、 北北西へ羽根を羽ばたかせて行った。 タクシーは夜中の0:30を過ぎても来なかったけど 君が傍にいたから僕には充分だった。 路肩で君が見据えていたのは、今日の余韻だったはず。 僕は僕で次のプランをもう考えていたな。 流れ星なんて空を見上げても滅多に見つからないよ。 奇跡の数は数え切れないのに、僕等の目につくことは少ない。 ただあの夜は間違いなく、二人にとって一曲の歌のような、奇跡だった。 君はいつもの軽装で来て、格好つけた服の僕は拍子抜

          2024年の3月は奇跡に満ちていて

          rainbow

          空腹じゃない、滅入ってもいない、楽しい気分にもなれないのに、 もう終わったという気持ちだけはわかる。太陽は不都合な事実でさえ隠してくれる もう人の悪態はいい、悪口はいい、今この時間を大切に出来ないだろ? 僕はもっと綺麗な音と声が聴きたいんだ、それは身勝手なことかな 波が遠のいていく、陽射しが射抜くのは、きっと僕らのあいまい過ぎた距離だ 僕はもっと開かれた未来を見たいんだ、七色の景色を背にして 愛していたのに、大好きだったのに。全部嘘でしょ? じゃなきゃあんな酷い言葉をかけら

          超滅亡

          気楽に見える仕事人、今日も今日とて 朝の4時には目覚めて、ベストなワーキングデイ 器用なだけのリーマン、勝手にそう呼ばれて 働けばそれなりの賃金、白でも黒でもない 時間は足りないが、怖いのは放っておくこと 忙しい、その一言で会えないなんて、シラケちゃいられない いつどこで死んでも平気なように 僕の人生全部あげるよ 取り返しつかないことの究極は 好きと言えないバカげた一択 笑えないほど生き地獄な日は 僕のイノチを全部盗んで たやすい男とひと笑いをして 泣いてくれれば大満足 敷

          幽閉

          教室に幽閉された幼子 逃げる場所も知らず、特段逃げる気配もない 彼は朝な夕なに考え始める、頬に手をあてて 窓の外で輝く太陽はなぜ夜になると消えるのか 太陽が姿をくらますと、 ほの暗く光り出すもう一つの星は何ものか 空から降ってくる雨粒は、誰の喉を潤すのか 時に、雨と相まって空を照らす稲光は 誰をサーチングしているのか 曇天模様の雲が静かに遠のくと見えてくる青い空は、 やけに自分を鬱屈とした気分にさせるのはなぜか 出口はないし、そもそも出口というものが存在してるかどうかもわか

          底意地悪い

          死にてえなんてうそぶいた、 そんなけったいな言葉が溢れるSNS 勝手にしてろや関係ねえ 俺は俺で笑い転げて夜通しさ 枕元にいる悪魔さんと 言葉の綱引きしては韻を踏んでいる そういやガキの頃夢見てた、 理想や極楽とやらはどこ行った 今夜もぶっ放すマグナムが、 妙にシラケた気分を吹き飛ばす ねええ、ねええ、話聞いてやるよ どうせ風と一緒にどっかへ消える絶望とやらを ねええ、ねええ、こっちへ来いよ 殴り合いやドンパチよりも絶妙なトークルームへ そうさ、やけに陽が眩しい、陽が眩し

          底意地悪い

          木星 (櫻井敦司さんへ寄せて)

          月から降りてくる螺旋階段に、 彼は思い立ったかのように足を踏み入れた。 去り際はあまりにも突然で、 僕らは戸惑うしかなかったけれど、 仕方ない。 今朝の新聞は涙色で滲んでいる。 僕らは手に手を取って、 ハッピーとは言えないかもしれない、 唐突な舞台の幕引きを見つめている。 パレードに後ろ指をさしていた者も、 今や彼の虜だというのに。 出来すぎた夢のような情景。 拍手が遠くまで響き、 歓声がすぐそばで沸きあがり、 投げキッスの余韻が頬で溶けていく。 ステージの名残が、 お別れ

          木星 (櫻井敦司さんへ寄せて)

          po.e.m

          賞味期限切れのトマ缶は食べられないから、 染みのついたカーテンを閉めるつもりもないから、 カビの生えた畳に座るつもりもないから、 壊れたテレビを買い替える予定もないから、 水道代を払う予定もないから、 読みかけの小説ももう開くこともないから、 彼氏からもらった下着を履くつもりもないから、 バカロレアを受けるつもりもないから、 バイトに出掛ける元気も今日はないから、 十年前のボカロを聴くわけでもないし、 SPY×FAMILYを毎週観るつもりもないし、 死んだおばあちゃんのことく

          マグリットの絵のように

          昼休みの間中、僕は彼女の視線の行き先を見ていて、 手作りの名刺、連絡先が書かれた名刺をいつ渡そうかと、 タイミングを見計らっていた。 神さまの愛があるとして、 それは多分僕が持っている愛とは形が違うんだろうけど、 後押しするように休憩室を照らしている。 階段の踊り場に向かう彼女の小柄な体、 キレイに背筋の伸びた体よりも、僕は先に行く。 現実の小さな物語が、小説よりもコミカルで純粋だとしたら、 あの瞬間のことを指すはずだ。 タイムカードを押す一歩手前に名刺を手渡すと、 彼女は

          マグリットの絵のように

          黒い粘膜

          タブーにもならないセックスのたびに 積みあげる嘘が多くなるならば 白紙には数字の羅列でも書き連ねていった方がいい ヒダのある鼓膜に響くのは味気のないポップス DVを働く父が煽るようなラップも 東京の戦地を這いつくばる戦車も 僕は見過してしまった、関係ないからね 甲「アイラヴユー陥落首都、僕は君を見失ってしまった」 乙「探しているのはガラス玉の切れたコンビニのトイレだ」 甲「限界も知らないクセに勝手にニヒルってんじゃねえよ」 乙「でも俺らは死ぬのも諦めたからね」 甲「アイラブ

          黒い粘膜

          内臓の奥まで

          捲れた内臓のもとまで届けるつもりだった 旋回するオレンジの電灯は酩酊に似た感覚に揺れる僕を照らしている お腹を満たしたはずのフライドチキンの内側まで抉りながら 喉元に突き刺した、喉に突き立てたのはきっと獣めいた声をあげる浄土 がんじがらめでベッドに磔にされたあと 別れ際に出されたアイデアは閃きというには余りに悲しくて 同意しにくい 散々引き留められて逃げるように部屋を出たけれど 残ったのは肉体、肌触りの余韻だけ 自分を責め立てることをしなくなった赤と黒 ギロチンに向かうソレ

          内臓の奥まで

          深海魚

          水槽の熱帯魚にエサをやる彼は時折 濃い青がにじむ深海に潜り込む それは例えば搬送物を破損させてしまった時 あるいは恋人とのセックスが上手く行かなかった時  または誰かが胸に隠していた戦争を始めた時 彼は魚となって深い海の底を泳ぐ そこでは大音量のROCKも流れないし マカロン味をしたポップスも聴けない 自由と呼ばれる二項対立の 背反の色をしたもう一方の奴 それも機能不全かもしくは大して意味もないほど 些少になる、些少に、些少に。 彼は枕を買った それはとても反発力がつよく

          深海魚

          Daydream in 2023

          昼間だね バカ 違う もうすぐ夕刻だ 何も 何も残らなかった おまけにみんな去っていった 悲しみ? そんなものは何もない 徒労感 ただ徒労感だけだ 残念だ 残念だよ 水槽の魚を釣る作業 ただ ただ それだけの行程 内側に潜る ナンセンス ナンセンスだ そんなものは何も 誰も 誰も覚えてやしない 記憶に残るのは稲穂 稲穂だけだよ 黄金色の 稲 流石だね 君の人生はファンタジーそのものじゃないか みんなそう言った  ところがなんだこの様は 釣り糸を垂らし 待っているだけの夜 そし

          Daydream in 2023