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MBAでの学び④「近視眼的思考からの脱却」

現代のビジネス環境は、変化が激しく、不確実性が高いためビジネスマンの多くは「近視眼的思考」に陥ります。

「近視眼的志向」とは、短期的な成果や利益を最優先に考える思考パターンです。

例えば、投資家に満足してもらうため四半期ごとの決算に重点を置いたり、短期間でのノルマ達成のため顧客満足度を犠牲にしたり、コスト削減や効率化を優先するため工場の稼働率を過度に上げてみたりなど、目先優先の考えのことです。

近視眼的志向を持っていると、すぐに結果が出る行動や決定を好み、長期的な影響や結果は二の次、あるいは考慮されません。

そのため、長期的な戦略は立てられず、常に何かに追われながら仕事をしなければなりません

特に日本企業は、この近視眼的思考が強い傾向にあります。それはなぜでしょうか。

MBAでの学びから考察します。

近視眼的思考について

近視眼的思考を分かりやすくするために、日常生活の事例で説明します。

例えば、ダイエット中の人が、短期的に体重を減らしたいと考え、極端な食事制限をしていると仮定します。

食事制限しているので体重は減るかもしれませんが、長期的には健康を害し、結局リバウンドしてしまう可能性も高くなります。

つまり、ダイエットという短期的な結果に焦点を当てるあまり、健康という長期的な価値を軽視してしまうわけです。

ビジネスにおいて、このような目先のことばかり考える思考は非常に危険だと思います。

短期的な利益を追求すれば、イノベーションの機会を見逃し、顧客との信頼関係を損ねるかもしれません。

長期的には、このような損失が集積して、成長や市場での競争力を弱める結果を招いてしまうかもしれません。

近視眼的思考は、目の前の利益や成果にばかり目を向け、その結果として将来の大きな価値や機会を見落としてしまうことを意味します。

長期的な成功と持続可能性を目指すのであれば、このような思考から脱却し、広い視野で物事を考える必要があります。

長期視点の重要性

長期的な視点は、変化の激しいビジネス環境ではとても重要です。

ダイエットの例でも示したように、短期的な利益追求は、一時的な成功をもたらすかもしれません。しかし、組織の持続可能性や長期的な成長に寄与しない可能性があります。

一般的に企業という組織体は将来にわたって事業継続する前提で設立されます。

祭りの屋台のように、1日終わったら稼いだ金額を集計して精算して分配するわけではありません。永続が前提です。

ならば、長期的な目標を設定し、それに向けた戦略を練らなければ、企業は持続可能な存在にはなれません。

持続可能な成長を遂げる企業の事例

それでは、長期的視野をもって革新的な成功を収めた実際の事例を通じて、この思考法の価値を探ります。

テスラ・モーターズ(Tesla motors)

テスラは、電気自動車(EV)業界の革命児としてよく知られています。

創業初期のテスラは、高額な研究開発費用と製造コスト、そして市場の不確実性に直面していました。

しかし、イーロン・マスクをはじめとするテスラの経営陣は、短期的な利益よりも長期的なビジョンに焦点を当てました。

彼らの目標は、単に電気自動車を販売するのではなく、持続可能なエネルギーの創造でした。

この長期的な視点が、テスラを電気自動車業界のリーダーへと導いたといえます。

イケア(IKEA)

スウェーデン発祥の家具販売会社イケアは、長く使える製品の設計と製造に注力しています。

イケアは、再生可能エネルギーの使用、継続利用可能な材料の採用、環境に優しい包装材の使用など、事業のあらゆる側面で環境への影響を最小限に抑えることを目指しています。

また、顧客に対して製品の長期使用を促し、不要になった製品のリサイクルや再販を支援するプログラムも展開しています。

パタゴニア(Patagonia)

パタゴニアは、アウトドアアパレル業界における持続可能性のリーダーとして広く認識されています。

同社は製品の耐久性と修理の容易さを重視し、消費者に対して「買うなら長く使えるものを」というメッセージを常に発信しています。

パタゴニアの戦略は、短期的な販売数の最大化よりも、環境への影響を最小限に抑え、長期的な顧客関係の構築に重点を置いています。

このアプローチにより、パタゴニアは持続可能性を重視する顧客層の強固な支持を獲得しています。

長期的な取り組みの効果

上記の事例は、経済的な成功だけではなく、社会貢献や環境保護のバランスがいかに重要であるかを示しています。

それぞれ異なるアプローチを取っていますが、その取り組みは他企業にとって模範となり、持続可能性の重要性を認識させるきっかけになるのではないでしょうか。

さらに、長期的な取り組みは顧客満足度の向上、ブランドイメージの強化、最終的には顧客ロイヤリティの増加に貢献していると考えます。

消費者は自らの購買行動が、環境や社会にどのような影響を与えるかに敏感になっており、持続可能な製品やサービスを提供する企業に対して肯定的な評価を下していると思います。

日本企業が「近視眼的」な理由の考察

日本の企業は、海外の企業と比較して近視眼的です。なぜ、そのような企業が多いのでしょうか。以下に考察してみました。

企業風土

日本企業は、長期雇用、内部からの昇進、同じ組織のチームワークを重視します。こういった企業風土が、リスクを避け、既存のビジネスモデルに固執する傾向を生み出している可能性があるのではないでしょうか。

イノベーションや新規事業投資は、短期的なリスクを伴うため、不確実性の高い長期的な投資には消極的になっているのかもしれません。

株主構成

日本企業の株主構成を見ると、以前ほどではありませんが、まだまだ長期的な関係を持つ株主が多く存在します。

これは、短期的な株価の変動に対する圧力が少ない反面、既存の経営陣に対するチェックが弱くなり、革新的な変化を推進するインセンティブが発生しにくくなります。

従来のビジネスを踏襲しておけば、一定の報酬を得られると理解している経営陣ばかりでは、長期的な視点は持ちにくいのではないでしょうか。

リスク回避性

日本社会では「失敗は悪」だと考える傾向があり、挑戦よりも、失敗を避ける文化が根強くあるように思います。

「失敗をしない方が素晴らしい」という考え方は、企業の意思決定にも影響し、新しい技術やビジネスモデルへの投資を躊躇させる要因となっている可能性があります。

リスクを取って失敗したときのコスト負担が大きく感じられる場合、保守的な選択をする傾向にあるため、日本企業は挑戦的な長期ビジョンを避けているのではないでしょうか。

まとめ

「脱近視眼的思考」は、短期的な成功にとどまらず、長期的な持続可能性と成長を実現するためのキーワードだと思います。

MBAで学んだ様々なスキルや知識は、この思考パターンを身につけ、実践するための土台を私に提供してくれました。

長期視点を持ち、俯瞰的にビジネスを捉えると、変化する市場の中で成功を収める可能性が見えてくるのではないでしょうか。

この記事が、長期的な成功を実現するための思考の転換に繋がる一助となれば幸いです。

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