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噂で銀行が倒産?豊川信用金庫事件から考える「なりすまし広告」対策

金融における「信用」は極めて脆弱だと私は思っています。

そのため、わずかな噂が大きな騒動を引き起こすことも珍しくありません。

この記事では、約50年前に起きた豊川信用金庫事件や、最近ニュースとなった有名人を騙る広告詐欺の事例を取り上げ、未確認情報や不正確な広告がどのようにあなたの運命を左右するかを考えてみます。

人はなぜ簡単にデマやフェイクニュースに騙されるのか

この問題を探求するため、心理学の視点から私たちがどのように情報を処理し、どうして間違った情報に踊らされやすいのかを解説していきます。

豊川信用金庫事件

豊川信用金庫事件は、冗談から始まった一言が大規模な預金引き出しを引き起こし、金融機関の運営に重大な障害をもたらした事件です。

この事件は、情報の出典を十分に確認せずに行動することの危険性を教えています。

第三者からの情報の信頼性

人間は、関係者からの直接の情報よりも、関与していない第三者からの情報、つまり噂の方を信頼しがちです。

これは「ウィンザー効果」と呼ばれる心理現象によるものです。

例えば、ある有名人が面白いと言った映画について、「有名人が面白いと言っていた」と伝える第三者の話を、人は信じる傾向にあります。

第三者から聞いた情報の方が直接的な情報よりも信じられるという心理的効果です。

この心理的効果によって、約50年前に倒産の危機にあった金融機関がありました。

豊川信用金庫事件の教訓

ウインザー効果の危険性を示す歴史的な事例が1973年の「豊川信用金庫事件」です。

豊川信用金庫事件は、デマがどれほど迅速に広がり、深刻な結果を招くかの一例です。

事件は、女子高生が電車内で冗談を言ったことから始まりました。

「信用金庫は(銀行強盗に襲われるから)危ないよ」という一言が誤解を生み、「豊川信用金庫は経営が危ない」という噂に変わり、この誤解が急速に広がりました

結果として、信用金庫には大量の現預金の引き出しが発生し、短期間で数十億円もの資金が引き出される事態に至りました。

噂の広がりと対処の難しさ

この事件から学べる重要な点は、一度広まった情報を訂正するのがいかに困難かということです。

豊川信金側が「倒産などの危険性はない」と否定しても、噂が広まるスピードと規模には勝てず、なかなか信じてもらえませんでした。

これは、「悪い話は広がってほしくないだろうから、それは否定するだろう」という先入観によって、情報の真偽を正しく評価するのが難しくなるからでしょう。

ステルス・マーケティング

さらに、この種の心理効果は、ステルス・マーケティングなど、様々な形で悪用される可能性があります。

「ステルス・マーケティング」は、製品やサービスについて肯定的なレビューを第三者が書くことで、消費者の購買意欲を高めるマーケティング手法です。

実際に製品やサービスを購入・使用していないにも関わらず、レビューを書いているブロガーは数多くいます。

例えば、「買ってよかった、髪に優しいシャンプーベスト10」という記事は怪しいといえます。

一般的に複数のシャンプーを購入する人はいませんし、仮に本当に購入していたとしても、「髪に優しくないシャンプー」など、そもそも売っているはずがありません。また、順位付けの妥当性も蓋然性も担保されていません。

これが、まだ一般人ならば影響は大きくないかもしれませんが、インフルエンサーと呼ばれる人たちならば、どうでしょうか?

例えば、インフルエンサーがSNSで製品を推奨する場合、多くのフォロワーはそれが広告だとは意識せず、信頼してしまう傾向があると思います。

実際に広告代理店やPR会社が積極的に利用している手法で、消費者は自分で情報の真偽を見極めるリテラシーが求められます。

最近では、勝手にインフルエンサーの写真などを使用した「なりすまし広告」のニュースが世間を賑わせました。

デマに惑わされないためには

デジタル時代の今では、情報が瞬時に世界中に広がる一方で、その真偽を見極めることが以前にも増して難しくなっています。

日々、私たちは数え切れないほどの情報に触れていますが、その中には「デマ」や「フェイクニュース」も少なくありません。

では、なぜこれほどまでにデマが広がりやすいのでしょうか。

交差ネットワーク

デマが拡散されやすくなった理由はSNSです。

SNSの普及により、いわゆる「交差ネットワーク効果」が加速されています。

「交差ネットワーク効果」とは、「異なるソースから同じ情報を何度も聞くことで、その情報の信憑性が増す」という現象です。

現代はSNSを通じて簡単に情報が共有されます。そのためフェイクニュースが一度広まると、それを訂正するのは極めて困難になります。

デマの影響を最小限に抑えるためには、情報の扱い方を理解しなければいけません。

心理的な効果を武器として利用するのではなく、デマやフェイクニュースを見抜くリテラシーを身につける必要があると思います。

そのためには、情報の出所を調査し、複数の信頼できるメディアや公式サイト等からの確認を心がけることが重要でしょう。

まとめ

未確認情報や詐欺的な広告が与える影響は大きく、対処方法によっては即座に経済全体に波及する可能性があります。

消費者は提供される情報を鵜呑みにせず、情報の出所と正確性を慎重に評価することが、経済的安全を守るために不可欠だと考えます。

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