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丁寧に食べるということ

こんばんは、今日もご覧いただきありがとうございます。
今日から3月。そろそろ寒さが和らいでも良い気がしますが。桜の木の下でベーカリーのパンとスタバのコーヒーを頂きたいものです。


今日の食日記

丁寧に食べるということ。
人それぞれの感覚に違いがあって、結局は抽象的なものかもしれない。
人によってはそんな綺麗事を言って。と冷たくあしらわれてしまうのかもしれない。
丁寧な食事というけれど、どんな食事を想像するだろうか。毎日カップラーメンを食べている人にしてみれば、お弁当を持っていくことでとてつもなく丁寧な食事になっているのかもしれない。
もしくは、忙しい毎日の渦に飲み込まれ過ぎて、自分で舵(家事)も取れず、朝はコンビニのパン一つなんていう人は、朝ご飯を家で食べるという行為自体が、ものすごく丁寧な食事になっているのかもしれない。
この一つ一つはどれもが丁寧な食事である。

じゃあ、僕にとってはどんなものなのだろうか。そんなことを教えられた食体験があって、これこそ自分にとって丁寧な食事なのかもしれない。と思えたのだ。

簡潔に言えば味わうこと。
作り手のこだわりを聞いて、知って、そのひと工夫を美味しく自分の身体に落とし込むことなのだと思うのだ。
知らなければ知ることができない。そう、勉強と同じなのだろう、と。


今日のお店

店内の撮影はできない。岐阜にある円居さん


ランチが美味しすぎるパン屋さん



岐阜の古民家のような佇まいだが、リノベーションの賜物で、店内はとろみのある、うっとりとする空間が細部に奥まで広がっている。
照明の照度は暗く、視線の先がより集中力のあるものとなっていく。だからか、パンの焼き立ての香りが自分の顔面を渦巻いているのでは?と思うほど、竜巻級に香ってくる。入り口のカウンターは、長くパンが連なり、ほかほかとこちらを見ている。

窓側の席からは、日差しがたっぷりと降り注ぎ、今日のランチを祝福しているかのよう。
自然光が食事と主役である僕自身をスポットライトのように照らし、舞台上に立ち上がった緊張感に足が少しすくむ。

今日は丁寧な食事の始まりだった。人生の始まりだった。
前菜、富有柿とキノコマリネのサラダ。
そう言って運ばれてきた一皿は、躍動的な葉物がふさふさとさらに盛り上がり、キラキラとドレッシングがみずみずしく見える。
使われている葉っぱ、ドレッシングの味付けや、季節の柿を使っている等の説明を受けた。
ふんわりと一つ一つが宙に浮いているようなサラダ。
食べればキノコの食感にバルサミコの奥深いグレープの味わい。ほのかなガーリックが味を引き立てまとめている。
柿だって甘いのに、ガーリックと引き立ちあって。オリーブオイルがふんわりしているんだろうなぁ。

僕は気になった。最後のスパイス、この赤いものは何か?と。今日は知りたい。このお店のその一手間を知りたい。最初の一皿の説明から、自分の感想が重なり合って見事に美味しくなったことが分かったから。
ほと走るのは、ピンクペッパーだそうだ。
ペッパーの中でも、ピンクペッパーだから出せるキリッとしたまとまり。
妙に納得した。

かぶと大根のポタージュ/ブリーチーズ添え
ブリーチーズは自然に溶けていきますから、その風味を味わってください。そう一言が添えられた。
大根とかぶのみずみずしさを押し込んで押し込んで閉じ込めたようなポタージュ。大根なのに、おろし大根のようなみずみずしさは無く、しっかりと濃厚で驚いた。

やっぱり気になった。何がこのおいしさなのか、と。
笑顔で「よく聞かれるんです」と答えてくれた。牛乳がベースのまとまりなんだとか。
なるほど。ぬるやかなとろみが幸せな口溶けになっているんだな、と。

最後のメイン、
ローストチキンと里芋マッシュのオープンサンド。
ねっとり里芋のマッシュが、ふわっと酸味の香るカンパーニュと優しく溶け合う(なんだかアリゴのような粘り気は、里芋なんだと)。
メインのチキンのガーリックの効いたピリッとアクセントは優しくまとめるだけじゃない男前らしさ。
きっと、男前らしさは、円居さんが伝えた強さなのだろう。

半分妄想を含みながらも、一皿一皿の工夫を聞き、見つけ、その気づきを美味しさに変換していく作業を繰り返した。
僕にとってはその作業が本当に心地よかった。
美味しさと共に、作り手への尊敬や憧れ、食を味わう楽しさ、未知なる探究心の奥深さ、色々な感情が打ち上げ花火のように連続して打ち上がった。

こんな食体験をしていきたい。こんな風に丁寧な。

美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:円居(岐阜県岐阜市長良)



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暮らしのヒントになれば、と。
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