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設計がまとまり、工事に入る前の書簡

工事を目前に控えた依頼者の胸の内と
設計者が思っていること


設計図書をまとめ、施工会社に工事見積を依頼します。
一発でOKになることはあまりありません。
多少の予算オーバーはよくあることです。

小数点から数千万(時々億)単位まで建築の扱う数字は果てしない

そこでそれぞれを吟味します。
過剰な項目はないか、ホントにこれが必要か…
不思議なもので、設計だけでなく、見積も
数度やりとりしていくと洗練されてきて
その物件にふさわしい金額になってきます。
デザインも金額もふさわしさは大事。

数度の見積打合せを終え、いよいよ工事の準備に取りかかります。

その打合せ後の依頼主とのやりとり。

依頼主との書簡。メール時と場合により封書

依頼主

「いよいよ始まるのだなあと実感するとともに、
 緊張感も高まってきました。」

わたし

「いよいよですね。
 緊張されることと思います。
 私も何年もやっていますが、やはり同じ気持ちです。
 しかし、その先を見てきたことが多いので、
 その緊張感は大事な感覚だなと思っています。
 そういうときほど、いいものができあがります。」

依頼主

「緊張するとともに、わくわく感もでてきました。」

わたし

「結局のところ、空間デザインは
 床・壁・天井に包まれないとわからないことが多いです。
 不安な反面、空間の面白さを味わえることが醍醐味です。
 いまだにワクワクします。

 工事が始まるとわからないことがでてくると思いますので、
 不安なこともあるかと思いますが、些細なことでもご相談ください。」

設計はバーチャル、工事はリアル

設計フェーズは、理想や要望を
聞いて、訳して、最適解を設計図に置き換える
それを根気強く一緒にやっていきます

次は工事や監理のフェーズ。
なんだかんだ言っても、
設計はバーチャルで、工事はリアル。
金額も一桁上がってきます。

設計でのやりとりの積み重ねで依頼主の想像力も上がってきます。
そういうこともあり、依頼主にもどことなく緊張感が漂ってきます。

かくいう設計者は餅は餅屋、仕事だから慣れっこで…というわけではない。
人生賭けての依頼でもあったりするから、
やはり、こちらも緊張してきます。まだまだもがいている。
とはいえ、ビビってますよぉ〜というのも違う。

震えながら、胸を張れ

いい言葉があった。
震えながら、胸を張れ
コピーライターの言葉だけれど、何度も救われている。

依頼主の緊張感を安心感に変えるのもこの時期の仕事のひとつ。

設計と工事のつかの間。
緊張感とわくわく感が入り交じる不思議な期間です。

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