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海のギャング ウツボは美味いよ

南房総と言えば菜の花が映える春から初夏のイメージが強い地域。
1月からポピー、金魚草、ストック、キンセンカなどの花が咲き、一足早い春の訪れを感じることも出来ます。
南房総の南端は館山から千倉にかけて、その名もフラワーラインという人気のドライブコースがあります。

そんな春や初夏のイメージが強い南房総の館山ですが、冬にだけ食べられるとても美味しいものがあります。
今回は関東近辺では冬の時期に館山でしか食べられない、珍しくて美味い物を食べに行く旅です。

館山まではJR内房線。



高速バスの延伸拡充で、かつてほど内房線は活気がありませんが、バリアフリーが充実したE131系の新型車両や、車椅子対応の209系が走っていてバスよりは利便性は高くなっています。
君津から先の単線区間である館山までの途中駅では、残念ながら跨線橋が多く、車椅子では途中下車できません。
浜金谷辺りは鋸山もある観光地ですが、残念なことにバリアフリーではなく、車で来ても金谷港のフェリー乗り場周辺した楽しめません。
また、金谷港から鴨川までを結んでいたバス路線も2024年3月で廃止になります。

南国風の館山駅に降りるとジェーアールバスで目的地を目指します。
館山から白浜までの海岸線は鉄道路線が走っていないので、バスやタクシーでしか行くことが出来ません。
車椅子乗車の場合は事前にバス会社への連絡が必要になります。

館山を出発してフラワーラインに入ると、海と花が広がる景色を堪能できて、一足先に春の恩恵を感じることができます。

絶景の景色を堪能しながらバスを相の浜で降ります。


房総半島の南端に位置するこの場所は、富士山や伊豆大島が海を挟んで近くに見える絶景スポット。夕日がとてもきれいな場所としても隠れた名所です。

ちょっと離れていますが房総では有名な安房神社があります。
「安房」の国名・社名は神話の時代に阿波の国(徳島県)から阿波忌部氏が移住し開拓から起こったと言われます。

今回はこの相の浜(相浜地域)で昔から食べられている珍しい魚を食べます。
ナマダと呼ばれているその魚は、海のギャングと呼ばれるウツボ。
富津周辺でよく食べられる江戸前のアナゴではなくてウツボです。


グラテスクでとても食べようとは思わない人も多いはず。
でも、このウツボ実は味は絶品です。

ウツボが食べられる季節は脂ののった冬のみ。

安くて良心的で人気のある漁協直営店の相浜亭で食べることができます。

ウツボ料理は高知県、和歌山県、長崎県の一部、そして房総の館山のみで昔から郷土料理として地元で食べられています。
高知のウツボのタタキは絶品ですが、地元の房総半島でも食べられるのを知ったのは5年ほど前のこと。
それからは毎年ウツボを食べるのが楽しみになりました。

相浜亭ではウツボを丁寧に処理をして、大きくぶつ切りにして天ぷらにしてウツボ丼として丼に盛られています。


ウツボは見た目と違って身は肉厚、とろけるような皮のゼラチン質としっかりと引き締まった身の歯ごたえが絶妙です。
皮下のゼラチン質にはコラーゲンがたっぷり含まれており、その部分は濃厚な旨味を感じられます。



昔から海の王者と呼ばれるウツボだけに、滋養強壮や美容にも良いということで特に妊婦に食べされる習慣もあったとか。

冬場のウツボは脂も乗って非常に美味しく、一度口にすると虜になり毎年ウツボを求めてやってくる常連さんも多いようです。

実はウツボ丼を食べてからは鰻よりも好きになったくらいです。

そんなウツボ丼にも最近は食べられないことが増えてきました。
漁業の後継者問題です。
ウツボ漁をしている漁師の高齢化もあり漁に出る回数が減っているのです。

伝統や技術わ作る職人だけでなく、いろんな職業で後継者の問題は深刻になりつつあります。ウツボを獲る人がいなければ、房総でウツボを食べる風習は消えてしまうかも知れません。
こんな美味しい旬のご馳走が食べられなくなるのは本当に残念なこと。

食べられる今はウツボの味を噛みしめて味わいます。

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