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外出制限中に売り上げ増 ワイン店店主はコロナ後の社会をどう見る?

フランスは5月11日から段階を追って外出制限が解除されます。

2ヶ月に及んだ、厳しい外出制限が終わる!

でも、この2ヶ月間ずっと、これまで通り仕事をしていた人もいます。

例えば、ワイン店経営者のクリストフさん。

外出制限が解除される3日前の今日、彼をインタビューしました。

コロナ後の社会、かわると思いますか?



名前: クリストフ・(男性)
年齢: 59歳
職業: ワインショップ経営者
家族: 妻と23歳の息子と3人暮らし。 
25歳の長女は友人らとレ島に移動して外出制限中。
住まい: 庶民エリア13区、90㎡のアパート、7階、広いテラス付き



ー外出制限53日目、どんな生活ですか?

ずっと通常通りに仕事をしています。
4週間の外出制限中、一度も店を閉めることはありませんでした。

3月14日(土)のフィリップ首相の宣言で
翌日からカフェやレストランの休業が命じられた時も、
私は15日(日)に通常通り店を開けました。
実はその時は、ワイン店が必要最低限の店かどうか、
つまり法で営業が認められているのかどうかは、よくわからなかったのです。
月曜日になってリストが明らかにされて初めて
ワイン店も必要最低限とされていることが確認できました。

自宅では、妻も息子もテレワークで仕事をしていますから
私が外に出るのはちょうどいいのです。
十分に広い住まいだとは言っても、一日中、複数の大人がそこで仕事をするとなると
やはりある時点でいっぱいいっぱいになります。
妻がキッチンで仕事をして、息子がリビングで仕事して、
私はこの店で仕事をする。
いいバランスでした。


ー通常と比べて、お客さんの入りはどうでしたか? ほぼ常に店の前に行列がありますが、忙しいですか?

はい、売り上げはとても良く、通常の15%増です。
外出制限中はみんな、外で飲めない分、家でワインを飲みますから。
売り上げが上がるのはもちろんありがたいことですが、
最初の1ヶ月間は、3人の従業員を自宅待機させていたので
通常4人でしている仕事を私1人でこなさねばならず、体力的にとても厳しかったです。
おかげで痩せましたよ(笑)

いいえ、レストランやカフェに卸してはいません。
個人のお客さんだけを相手にしています。
ですので、外出制限でレストランやカフェが閉まっても
影響は全くなかった。
違いといえば、シャンパンはほとんど出ませんでしたね。
友達を招いたり招かれたり、ということがなかったわけですから、当然です。

本当に、外出制限の影響を受けずに済んだことはラッキーでした。
ここパリ13区の商店は、パリ中心部とは違って、あまり社会の影響を受けないのです。
2019年の年末のゼネストの時も、
2018年の年末の黄色いベストのデモ騒動の時も、
私たちは問題なく商売ができました。
地域に根差した店の強みです。
そうは言っても、コロナ後の経済の影響をどう受けるかは未知数です。



ー今の生活は辛いですか?

人々の態度が変わったことが辛いです。
先日、友人(女性)が来店した時に、いつも通りにキスの挨拶をしようとしたのですが
彼女は安全距離を保っていました。
もちろん彼女の態度は理解できますし、すべての人が用心深くあるべきだとは思いながらも
この変化は私にとってはショックです。

新型コロナウイルスは本当によくわかりませんね。
感染しているのか、そうでないかもわからない。
実は先日、私の娘に症状が出て
医者に電話をし、匂いと味覚がなくなったことや
発熱があること、咳が出ることなどを伝えたところ
検査をすることになりました。
で、検査の結果は陰性でした。
全ての症状が現れていたのにこの結果だったので、不思議でしたよ。
そうかと思えば、全然症状がなくともキャリアーになっている場合もあると言いますし
全く謎だらけです。



ー運動不足の心配はありませんか?

日頃からスポーツはしていませんし、
外出制限に入ってからの方が忙しかったので
運動不足の心配は全くありません!



ー外出制限解除について、どう感じていますか? 心配事はありますか?

解除は喜ばしいことです。
私は外出制限反対派なのです。
こうする以外に方法はなかったわけですから、やむを得ないことはわかりますが
もうこれ以上はいいでしょう。
解除を心配する声も聞きますが、
私は人々が十分に用心深い行動をすると信じています。

私のお客さんを見ていても、早く職場復帰したいと言う人が大勢います。
たとえテレワークで仕事をしていても、
仕事をするにふさわしい環境で、
同僚たちの顔も見たり、意見交換もしたりして、思い切り仕事をしたい、と。

5月11日になればわかることですが、
きっと公共の交通機関を使いたくない人く、車が増えるでしょうね。
それから、11日に解除するとは言っても
パリは赤ゾーン(*感染状況と医療現場の状況から、フランス本土と海外県の各地が、比較的安心度の高い緑ゾーンと、注意が必要な赤ゾーンに分類されている)なので
自由度はあまり高くないでしょう。
私もできれば、南仏トゥールーズの母に会いに行きたいですが、
100Kmを超える移動は特別な場合をのぞいて許されませんし・・・
母は高齢なので、本当は様子をみに行きたいのです。




ー外出制限で発見したポジティブなことはありますか?

街が静かになったのは最高です。
車の量が少なくなって、小鳥のさえずりが聞こえて。

それから、特に外出制限が始まったばかりの頃は
いろんな人の「語りたい」欲求をとても感じました。
お客さんに対応していると、普段は話さないような親密なことを
私に話してくれる人がとても多かったのです。
そういう「語りたい」「思いを分かち合いたい」ムードには
温かみを感じました。
このムードが続くといいなあとは思います。
さすがに最近では、皆さんこの環境に慣れて
早く外出制限が終わればいい、
もういっぱいいっぱいだ、というムードですけど。




ー外出制限があけた後の社会に、期待していることはありますか? 人々はこの経験を簡単に忘れるでしょうか?

すぐに忘れてしまうでしょう。
例えば来年、この外出制限の2ヶ月間のことを
私たちがどう振り返るのか、興味があります。
今、whatsAppなどを見ていると、いろんなマスクが出てきますが
これがモードのように振り返られるのかも知れません。

私は個人的に環境に関心がある方なので
この経験がコロナ後の世の中を変えるきっかけになるといいとは思いますが、
どうなるでしょう。
資本主義経済にはとても強い力がありますし、
一度得た快適さを手放すことは
人々にはなかなかできないと思うのです。

そうそう、テレワークは一般的になるかも知れません。
うまく導入して、通勤の仕方がよりフレキシブルになって
みんなの暮らしが向上するといいですね。



メルシー、クリストフさん!


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