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「JAMPの視線」No.201(2023年11月5日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年11月5日

 いやあ、ついに阪神タイガースが38年ぶりの「アレのアレ」を実現しましたね。私自身は大阪の通天閣の下町である「新世界」という街の生まれ・育ちということもあり、家族・親族がみんな阪神タイガースファンという環境で育ちましたが、中学校・高校が神戸の私学男子校に通っており、1995年の阪神淡路大震災で被災した後、オリックスの「がんばろうKOBE」の掛け声のもとでの震災復興を経験したこともあり、オリックス・バファローズにも思い入れがあり、正直なところどちらにも頑張ってもらいたい、そんな日本シリーズでした。結果、どちらも3勝3敗までもつれこんでの第7戦での優勝決定というのは、大阪人、関西人にとっては最高のシナリオだったのではないでしょうか。明日からの1週間も頑張れるアツいエネルギーを頂きました!
 さて、「資産運用立国構想」実現に向けた金融審議会のタスクフォースでの議論が進んでいるようです。明日11月6日(月)には第3回のタスクフォースが予定されていますが、そこで早くも「これまでの議論のまとめ」がアジェンダとして予定されており、年末までの政策プランの取りまとめに向けて急ピッチに進行されている様子がうかがわれます。
 そんななか、少し前に開催された第2回タスクフォース(10月18日開催)では、岸田首相等が各所でお話されている「資産運用会社の業務の外部委託」という論点に加え、弊社が以前より主張しており、三菱UFJ信託銀行とともに運営している日本版ファンド・マネジメント・カンパニーの必要性についてもアジェンダとして取り上げられており、前向きな驚きを感じました。
 日本の資産運用業界が主要産業として日本経済をけん引するようになるためには、資産運用会社の新規参入が増加し、健全な競争環境が整備されることに加え、既存の資産運用会社の事業効率・生産性の向上が必須であり、その意味で資産運用会社の様々な業務を外部委託することは重要であることは間違いありません。資産運用事業において最も高付加価値の業務工程は投資判断・投資運用に係るものであり、それ以外のバックオフィス等の業務工程は可能な限り外部に委託することで、事業の効率・生産性の向上が可能となります。一方、それら業務を委託される側の業務受任会社は、高付加価値な業務工程に携わらない代わりに、多くの資産運用会社の「基盤」となることで、資産運用業界の成長を支えつつ、その果実を享受するという新たな事業機会を見出すことが可能となります。その意味で、岸田政権が主張する「資産運用会社の業務の外部委託」の必要性は理にかなったものであり、弊社・日本資産運用基盤グループを5年半前に創業した想いもまさにそこにあります。
 一方、以前から弊社が主張している通り、日本の資産運用業界の大きな非効率性のひとつは、アセット・マネジメント事業とファンド・マネジメント事業が区別されることなく混然一体として運営されていることにあり、関連業務の外部委託の是非・可否を論じる前に、その整理・切り分けを行なったうえで、アセット・マネジメント事業とファンド・マネジメント事業のそれぞれの関連業務のどの部分が外部委託可能かどうかを論じるのがあるべき順序であると考えています。
 今回の第2回タスクフォースでの日本版ファンド・マネジメント・カンパニーの必要性についてのアジェンダは、その意味で日本の資産運用業界があるべき視点を持った議論ができるようになったということで、その会議でのアジェンダの順番はともかく、前向きに評価できるものと思われます。
 非常にタイトなスケジュールが前提となっており、政策プランの検討やその前段階でのタスクフォース等での議論のロジスティクスを司る金融庁等の担当部局の皆さまの負担は非常に大きいと推察されますが、日本の将来を左右する産業政策に係る議論であると大げさでなく考えており、ぜひ良い政策プランがアウトプットとして出てくるように進行をお願いしたいと思います。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年10月30日
【京都FG、スタートアップ投資で1000億円ファンド 地銀で最大級に】
大原のコメント→
 スタートアップ育成の観点のみならず、事業承継や再生の観点からも、地域銀行が融資(デット)では無く、エクイティで資金を事業会社へ供給する動きは今後さらに広がっていくことを予想しています。

2023年10月31日
【日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に】
大原のコメント→
 地域銀行を取り巻く事業環境を見ると、従来型銀行事業モデルの前提を破壊したゼロ金利政策にようやく終わりが見えたことは明るいニュースであることは間違いなく、その収益性は少しずつ改善に向かうことが考えられます。
 但し、地域銀行が本拠とする地方経済そのものが少子高齢化や過疎で先細っていく流れにあることや、民間企業部門が資金余剰の状況にあり、資金貸出しへの需要が大きく伸びる成長余地がそれほど大きく見込めないこと等を考えると、・・・(続きを読む)

2023年10月31日
【肥後銀の企業年金基金、ESG投資割合10%に 行員賛同も8割超す】
大原のコメント→
 九州フィナンシャルグループは本記事で取り上げられている肥後銀行の企業年金基金によるPRI(国連責任投資原則)への署名のみならず、フィナンシャルグループ本体でのPRB(国連責任銀行原則)への署名や肥後銀行子会社である九州みらいインベストメンツによるPRI(国連責任投資原則)への署名等を行っており、投融資業務を通じた地域の持続的成長に貢献する活動に積極的な印象を持っています。
 年金基金に加入する行員の80%以上が賛同しているとのことであり、対外的な情報発信のみならず、対内的にも・・・(続きを読む)

2023年10月31日
【大原啓一・日本資産運用基盤社長の訴え「資産運用は成長産業、問われるのは業界のリテラシー」】
大原のコメント→
 投資信託等の金融商品は資産運用においては手段(What)に過ぎず、その金融商品を用いてどのように将来の資金需要に備えるか(How)ということまでサポートしてこその資産運用サービスだという問題意識を持っています。
 SBI証券や楽天証券が従来型証券ブローカレッジサービスの手数料無料化に乗り出したり、新NISA移行を前に資産運用会社各社が信託報酬の引き下げ競争に注力するなか、新たな付加価値をお客様に提供する方向にリソースを投入するべきではないかと考えており、・・・(続きを読む)

2023年11月1日
【金融庁、投信価格の訂正に統一基準 二重計算解消に布石】
大原のコメント→
 資産運用業の事業モデルは単純化すると損益分岐残高までいかに早く運用受託残高を積み上げるかというものであり、その意味で負担コストを低減し、損益分岐残高を引き下げる効果のある登録プロセスの簡素化やコンプラ・バックオフィス業務の外部委託に関する規制緩和、本記事で取り上げられている投信基準価額の「二重計算」の解消等は重要な取組み施策だと考えます。
 一方、これら施策は確かに損益分岐残高の引き下げには効果的であるため、新興・海外資産運用会社の新規参入の促進には一定の効果はあるものの、これら施策だけで損益分岐残高までの運用受託残高の積上げ確度が高まるわけではなく、・・・(続きを読む)

2023年11月3日
【CFA証券アナリスト試験、ChatGPTは合格可能か-銀行と大学が調査】
大原のコメント→
 資産運用業界に飛び込んだばかりの頃、当時の上司の半ば冗談のような指令を受け、金融知識も殆どなく、英文読解能力も低かったところ、かなり苦労しながら、約2年かけてLevel 3まで合格した時のことを思い出しました。
 全ての分野を深く習熟できたわけではありませんが、関連分野を網羅的に勉強し、「地図」を得られたことは資産運用業界の専門家の端くれとしてキャリアを開始したばかりの頃の貴重な基礎になったことを覚えています。
 有難いことに保有資格の有無で勝負ができる段階は既に通過していますが、・・・(続きを読む)

2023年11月3日
【狙いはNISA、強みはポイント 携帯電話会社が証券ビジネスに攻勢】
大原のコメント→
 「資産運用」機能の特徴や事業効率性等を考えると、証券・資産運用会社等の金融機関を自前で持たないNTTドコモの戦略は個人的に理解できる一方、それは単にビジョンや戦略が欠如しているだけなのかなという懸念も正直これまで感じたりしていました。
 金融が「溶けゆく」なか、大きな顧客基盤を有し、顧客の生活の一部を担う非金融事業者が金融サービスを手掛ける流れにあることは間違いありませんが、その参入形態は軽く、柔軟なものである必要があります。
 金融事業が従来ほどに大きな利潤獲得が期待できない一方、これまでのように巨額の先行投資が必要ということになると、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年11月1日
【新NISA、人気投資信託は対象外も 隔月分配型で対応続々】
長澤のコメント→
 新NISAでは、成長投資枠でも毎月分配型の投信は対象外ですが、代替として同じ運用内容の隔月分配型の新規設定が急増しているとのことです。今まで高齢者を中心に年金の補完として毎月分配型の投信を販売してきたのが、金融庁に新NISAではダメと言われてしまったので、年金支給日のない奇数月決算の投信を設定しているようです。一時は、偶数月と奇数月の隔月分配型を作り、両方買ってもらう案もあったように聞いていますが、さすがにこれはなくなったようです。
 分配型商品は高齢者を中心にニーズが根強い面があるということを全く否定するものではありませんが、以前ある証券会社で運用提案の際に顧客の分配金ニーズを確認する取り組みを強化したところ、・・・(続きを読む)

2023年11月1日
【広島銀、支店意識 競争から共創へ 業績評価撤廃7カ月】
長澤のコメント→
 業績評価体系の改革について、定着のポイントは当行が数年かけ試行錯誤を経ながら進めてきたところかと思います。収益評価を廃止することで、確かに手数料の高い商品を顧客に勧めるインセンティブが低下する一方、公平な評価を行い、営業職員のモチベーションの維持を如何に行うかなどの課題が出てくることも多かったのではないかと思われます。
 また、支店間での数字の競争がなくなり成功事例を共有する動きが出てきたとのことですが、昔から同じ銀行でも似たような属性を持つ近隣店舗はライバルであり、成功事例などのノウハウの共有どころか、顧客が移転しても他店に譲らず遠距離訪問など非効率的な営業活動を続けることなど、よくあったのではないでしょうか。
 販売手数料の低下傾向が続く中、対面でのアドバイスの付加価値提供が、これからの金融機関の生き残る道と思われ、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■メディア掲載:「財界オンライン」でのインタビュー記事掲載
「財界ONLINE」で弊社代表大原のインタビュー記事が掲載されました。
「大原啓一・日本資産運用基盤社長の訴え「資産運用は成長産業、問われるのは業界のリテラシー」」

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