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「JAMPの視線」No.227(2024年5月5日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
③インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年5月5日

 ゴールデンウィークもいよいよ終盤ですね。我が家は今回は地元の関西に帰ることもなく、東京で過ごしています。4連休前半の一昨日と昨日は子供たちと渋谷の恐竜ショーに出かけたり、近所にある「さやの湯処」という板橋区民が誇る日帰り温泉施設でのんびりしたりと、普段の週末とは少しだけ違う過ごし方をしてみました。こどもの日の今日は恐竜好きの子供たちを連れて、茨城県自然博物館の「恐竜vs哺乳類 -化石から読み解く進化の物語- 」という企画展に行ってきました。慣れないレンタカーの運転は疲れましたが、たまの遠出もいいものです。普段は自分の行動をパターン化しがちなのですが、こんな連休の時くらいは普段とは異なる過ごし方をして、脳と気持ちのリセットをしなきゃですね。
 さて、今週発売の「週刊金融財政事情」(春季合併号)は、「街と人から始める地方創生」という個人的にも問題意識を持っているテーマで特集が組まれていました。そのなかで弊社主任研究員の長澤が対談(*)をさせて頂いたことがある地域経済活性化支援機構の柴田常務が地域金融機関と連携して地域企業に経営人材を紹介する政策事業「REVICarieer」について寄稿をされており、特に興味深く繰り返し読ませて頂きました。
 実は私はこの日本資産運用基盤という会社を2018年春に創業する前に、地域経済活性化支援機構の子会社の日本人材機構という「REVICarieer」と同様の事業を営んでいた会社で日本資産運用基盤の創業準備をしながら、事業のお手伝いをさせて頂いていました。日本人材機構は2020年に既に解散をしていますが、設立から解散まで社長を務められ、私がお手伝いをさせて頂いていた当時も事業をけん引されていた小城武彦社長(当時)(**)が地方経済活性化の必要性とそこでの地域金融機関の役割の重要性に強い信念をお持ちでいらっしゃり、実際に私がその理念や姿勢に触れることができたのは半年ほどの短い期間ではありましたが、非常に多くのことを学ばせて頂きました。それらは今の日本資産運用基盤が大事にする理念のコアとなっているように感じます。
 日本人材機構の事業が現在の地域経済活性化支援機構の「REVICarieer」にどのようにつながっているのか、その連続性については私は詳しくは存じないのですが、問題意識や取り組みの内容、特に地域金融機関との連携を中心に据えているという点はどちらも共通しているように思われます。即ち、地方においても人材不足が大きな社会問題となっていますが、特に地域企業にとっては一般人材以上に「社長の右腕」的な経営幹部が不足しているというのが深刻な課題であるというのが、問題意識の根底にあり、その課題へ対応するために首都圏を始めとする大都市圏のシニアを中心とする高度人材を紹介する、その橋渡し役に地域金融機関が担うようなスキームを設計することにより、地域企業にとっても高度人材にとっても地域金融機関にとっても三方良しの好循環をつくろうとする挑戦です。
 地域企業の事業内容や経営課題、取り巻く地域の状況等は千差万別であり、そもそも当該企業の経営者でもそれらを正確に把握することができていないことも多く、経営人材を採用するにしてもどのような人材要件で募集をかけなければならないのかも明確ではないことが一般的です(偉そうに書いていますが、私も日本人材機構で学んだことばかりです)。そうした潜在的な経営課題等を丁寧に解きほぐし、可視化し、人材要件等に落とし込むことができるのは地方においては「ラストワンマイル」の役割を担う地域金融機関以外には存在しないのが現状です。また、地域金融機関がその役割を担うメリットとして、地域企業の事業推進でボトルネックになるのは必ずしも「ヒト」のみではなく、「カネ」や「モノ」であることも多いところ、「カネ」の支援は当然ながら、地域におけるネットワークのなかで「モノ」の調達の支援も可能であるということだと考えます。
 つまり、地域金融機関の視点に立ってみると、このような高度人材紹介事業への取り組みは、地域企業の事業推進に必要な各種リソースで何が不足しているのか、どのように調達すべきかを支援先企業の経営者とともに考え、それらを調達・提供するインフラの役割を担うということが、当該事業への取り組みの先に展望することが可能ということかと考えます。単なる金融サービス提供のプラットフォームから脱却し、より広い事業支援サービスを提供するプラットフォームへの進化と表現することもできるでしょうか(ちなみに話は逸れますが、地域銀行の新しい取り組みの代表例とされることが多い「地域商社」については、単に地元名産品の販売支援を行うというよりも、上記の「ヒト・モノ・カネ」という重要リソースの調達プラットフォームという文脈での存在意義を考えた方が良いというのが私の個人的な考えです)。
 地域金融機関の個人向け預かり資産ビジネスが、単にアリモノの商品を売りつけるのではなく、お客様の安心・安全のライフプラン計画におけるリスクやボトルネックを可視化し、それを解決するための商品やサービスを提案し、継続的なサポートをするという風に徐々に移行していくように、法人向け融資ビジネスも、単に「融資」という単一機能の提供に留まらず、事業推進におけるリスクや「ヒト・モノ・カネ」という重要リソースを中心とするボトルネックの可視化や解決のサポートに拡大しなければならないという意味で、地域金融機関の地域における役割は今まさに新たな局面を迎えつつあるように感じます。
 ちょうど今月末5月28日で弊社・日本資産運用基盤の創業6周年を迎えるタイミングということもあり、「週刊金融財政事情」の特集とそこでの柴田常務の寄稿を拝読し、地方創生という観点での自分の問題意識の原点を久しぶりに考え直すとともに、当時の高いモチベーションを思い返すことができました。連休明けもフルスロットルで頑張りたいと思います! 

(*)地域経済活性化支援機構の柴田常務と当社主任研究員の長澤の対談インタビューはこちらです

(**)日本人材機構の取り組みや地域金融機関の役割の重要性に関する小城社長(当時)のプレゼン資料を紹介させて頂きます

https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/20200410/shiryou1.pdf

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【74兆円の“埋蔵金”? どうする日銀ETF】
大原のコメント→                                    
 個人的には全国民を対象に最低保有期間等を設けたうえでNISA口座に分配するのが良いのではないかと考えています(1人あたり約50万円)。受け取るためにはNISA口座の開設を前提とするとNISA口座が一気に広がりますし、そこでETFを初めて保有する人たちがリスク性資産による資産形成・運用に関心を持つことも考えられますので。

 【大手証券の24年3月期、株高受け相次ぎ好決算 個人営業けん引】
大原のコメント→        
 株式市場活況の恩恵を受け、どの証券会社も一様に好調な決算数値となっていますが、その中身は必ずしも一様ではないようにも感じています。
 株式を中心とする有価証券・金融商品の売買によるコミッション収入に依存しないストックビジネスへの転換、更にはアドバイザリー付加価値の提供を中心とするストックビジネスへの転換は各社共通の経営課題ですが、株式市場が活況になるとどうしても目先のコミッション収益の獲得に流されてしまうリスクがあります。
 そのような誘因に左右されず、中長期的にやるべきことをやっているか否かが、ブローカレッジ・アセットマネジメント手数料が細っていく環境において、・・・(続きを読む)

【金融庁名物リポート、今年見送り 運用業界に厳しい指摘 人材難原因か】
大原のコメント→  
 「そもそも金融庁内から、舌鋒(ぜっぽう)鋭く業界を批判して改革を迫るプログレスレポートの手法に異論も出ていたという事情もある」ということは私も少し耳にしたことはありますが、そのような考えには私は違和感を感じます。現在の資産運用業界のあり方に問題提起をし、今後の方向性についての行政側の意見を示す資産運用業高度化プログレスレポートの意義は小さくないと感じます。
 但し、金融庁という行政側当局の問題提起や提示する方向性を全て正しいと受け止めるのは不適切であり、ビジネスや実務を熟知する業界側として別の意見があるのであればそれを堂々と戦わせ、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【外貨建て資産の運用、長期視点でコストに目配り 為替と外貨運用(下)金融商品を選ぶ】
長澤のコメント→
 記事の最後の方に外貨建て保険について書かれていますが、先日金融庁が公表した報告書によると、外貨建て一時払い保険において利益確定の中途解約が増加しており、こうした中途解約した保険の契約期間は平均2.5年で、利回りは解約コストが利幅を押し下げ年率3.6%(円換算後)だったとのことです。
 本来長期運用が前提の保険ですが、それほど長い運用をしないのであれば、米ドルベースですが外貨定期預金1年で5%前後、外貨建てMMFも足元4%台後半の金利のようですので、・・・(続きを読む)

インフォメーション

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