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「JAMPの視線」No.197(2023年10月8日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年10月8日

 10月に入り、ようやく暑さも和らいできてほっとしている今日この頃です。3連休の中日となる今日は3歳の次男が通う幼稚園の運動会が開催され、家族全員で参加してきました。コロナ禍は落ち着いたものの、インフルエンザが流行っている等の懸念もあり、全体的に短めのプログラムとなり、運動場で子供と一緒にお弁当を食べる等はできませんでしたが、楽しかったです。今月末には8歳の長男が通う小学校の運動会も予定されているので、過ごしやすい気候のもとでの「スポーツの秋」を楽しみたいと思います。
 さて、岸田政権の「資産運用立国」構想の実現に向け、資産運用業等の抜本的改革を目的とした政策プランの策定を目的とした金融庁・金融審議会の「資産運用に関するタスクフォース」と内閣官房の「資産運用立国分科会」が先週からいよいよスタートしました。日本資産運用基盤としても個人としても関心が高く、公開資料等を読み込んだり、タスクフォースに参加されている委員の方ともお話をさせて頂いたりしているのですが、スタート前から感じていたモヤモヤがどうも抜けきれません。
 目的が資産運用業等の抜本的改革という大上段のものであるため、とにかく現状の資産運用業界のサービスや事業慣行等を全般的に整理し、様々な問題を総花的に課題化するということは必要なのかもしれませんが、積立て投資の際にクレジットカード決済で購入できる投資信託の金額の引き上げ等、「なぜここでそんな枝葉の議論をしてるだろうか」と感じるようなものも混じっており、正直なところ初回から今後の先行きが不安になってしまいました。タスクフォース及び分科会それぞれの担当事務局としては様々なステークホルダーの意見を取りまとめるという難易度の高い作業の結果ゆえのことであり、致し方ないことだとは思いますし、限られたリソースや時間軸でベストを尽くされているのだとは拝察するものの、この議論の積み重ねが「資産運用立国」構想の実現に至るのだろうかと心もとない感じがします。
 2回前の本コラムでも述べさせて頂きましたが、そもそも「資産運用立国」という甘美な響きを持つ表現が具体的にどのようなビジョンやゴールを意味しているのかが明確ではないため、それを実現するためのテーマ設定等も漠然としたものになってしまい、それゆえに今回のタスクフォース及び分科会での議論がまとまりなくなってしまっているのではないかと感じます。
 辞書で「立国」の意味を調べると、今回の「資産運用立国」の表現にかなう意味として、「ある基本的な方針や計画のもとに、国の存立・発展を図ること」という意味が出てきます。私が持つ「立国」のイメージもこの通りであり、その意味で「国民の預貯金を資産運用に移し、資産所得を増大し、豊かな暮らしを実現する」や「資産運用力を高度化する」等の重要性を否定するつもりは全くないのですが、それらの「手段」が日本の将来の発展という「立国」に直接つながるのだろうかという疑問を感じざるを得ません(念のために申し上げると、「立国」を掲げていないのであれば、それら「手段」は「目的」と位置付けられるのでしょうが、「立国」の実現を目的と掲げる以上、それらは「手段」に過ぎないというのが私の考えです)。
 第2次大戦後の日本の経済成長を電機や自動車等の産業が支えたように、今後の日本の経済成長を資産運用業が支えるというビジョンが「資産運用立国」という表現に込められているのであれば(少なくとも私はそのようなビジョンを持っています)、総花的なテーマ設定はあったとしても、その入り口のレイヤーでは枝葉の論点に関する議論は入り込まないでしょうし、そもそもの「資産運用立国」に関する認識設定のところが曖昧なことに原因があるように感じています。
 金融庁・金融審議会の「資産運用に関するタスクフォース」と内閣官房の「資産運用立国分科会」も今年末の政策プラン取りまとめに向けて限られたスケジュールと多数のステークホルダーの議論を取りまとめるというロジスティクスすらも相当難易度が高い状況でのプロセスゆえ、中身の議論を詰め切ることまではハードルが高いのかもしれませんが、まさに今後数十年の国家の大計を固めるものであり、「資産運用立国」がどんなビジョンを目指すものなのかを改めて議論し、具体化されることを期待しています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年10月3日
【オールニッポンAM、ブラックロックとパートナーシップ契約】
大原のコメント→
 国内外の金融市場で金利上昇が中長期的に進むことが予測されるなか、地域銀行の有価証券運用の経営における重要度と難易度は高まりつつあり、オールニッポンアセットのような地域銀行の有価証券運用を支援する金融機関の機能強化も今後進んでいくことと思われます。
 同時に、地域銀行グループにおいても、有価証券運用の専門人材の採用・育成等を通じた投資運用やリスク管理機能の高度化を企図し、・・・(続きを読む)

2023年10月6日
【マネックスG「寄らばドコモ」 SBI・楽天が迫った再編】
大原のコメント→
 オンライン領域を中心に従来型リテール金融を支えてきた証券・資産運用事業の利潤が急速に消失しつつあるなか、このようなリテール金融機関の合併や連携等は今後増えていくことは間違いありません。
 日本のリテール金融業界にとって不幸なのは、新たな利潤の源泉を事業モデルとして確立できていない段階で従来型利潤の消失という未曽有の状況を迎えてしまったことで、・・・(続きを読む)

 

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年10月5日
【金融庁、内部監査の改善へ対話 銀行に4年ぶり情報還元】
長澤のコメント→
 リスク性金融商品の販売に係る内部監査については、金融庁が6月末に公表したモニタリング結果の中でも、多くの金融機関が準拠性の検証・監査に留まる中、営業現場の実態と経営戦略との整合性(言っていることと、やっていることが違っていないか)や企業文化(顧客本位の意識が浸透し、かつ実践に結びついているか)に関する監査をあるべき姿として慫慂していました。
 企業文化に関する監査といってもピンときませんが、従業員意識調査など行って、経営陣の顧客本位の取組みに関する理念が浸透しているか、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■メディア掲載:ニッキンOnlineでの連載コラムの掲載
 「ニッキンONLINE」で転換期の有価証券運用をテーマにした連載の第1回が公開されました。
 第1回目は、投資運用ソリューション部門長の石田の寄稿です。

「転換期の有価証券運用 第1回 膨らむ地域銀の円債リスク」

■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
 新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第36回目の記事を公開しました。

「「金融商品取引法の一部を改正する法律案」について(シリーズ5)」

インフォメーション

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