MTG レガシー「黒単ミッドレンジ」のススメ(※無料)
1. はじめに
1-1. ご挨拶
keiguと申します。レガシー歴は6~7年くらいです。
晴れTCとMOで、黒単のデッキ(POX or ミッドレンジ)を使っています。
今回、2024年1月中、MOリーグにて安定した成績を残せました。他の方にも共有したいと思い、今回note化いたしました。
(※無料ですべてお読みいただけます)
1-2. 直近の戦績
2024年1月中、MOリーグに12回潜った際の戦績となります。
60マッチ中、38勝22敗。マッチ勝率62%。
152ゲーム中、88勝64敗。ゲーム勝率57%。
5-0 : 1回 4-1 : 2回 3-2 : 8回
2-3 : 0回 1-4 : 1回 0-5 : 0回
2. 目次
3. デッキリスト
3-1. 現時点のリスト
3-2. 5-0時のリスト
レガシー/黒単/(KEIGU,2024/01/16)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)
※詳細は後述しております。
4. 黒単ミッドレンジとは?
4-1. 「最近の価値観を黒単にまとめたミッドレンジ」
MTGにおける最近のカードデザインの価値観に呼応する形でデッキを構築しています。
具体的には「統率者に採用できるレベルで盤面影響力のある黒のクリーチャー」を積極的に採用し、脇を「往年のアイコニックで強力な黒のカード」で固めています。
相手の行動に制約を課すことをアドバンテージ差としつつ、同時に展開された脅威となるクリーチャーで相手のライフを減らし、時間をかけて勝利を目指します。
高速に手札を消費しきれるアグロな側面がある一方、妨害と除去も交えつつ、腰を据えて相手を殴り切ります。このため、これはミッドレンジだと私は考えております。
海外では「Mono Black Scam」と呼ばれているようですが、悲嘆リアニは本デッキの一面でしかありません為、個人的には「なんか違うなぁ」と感じています。
4-2. メタの立ち位置
一応メタに若干数はいる認識です。しかし、それなりにマイナーなアーキタイプです。
4-3. 複数の型(宗派)があります。
以下、各リストのいくつかを確認しますと、複数の型があります。
黒単/2024年01月02日~のデッキ検索一覧 | 日本最大級 MTG通販サイト「晴
れる屋」 (hareruyamtg.com)
指輪と願いを贅沢に採用したストーム折半型、チャリスで嵌めてデーモンで殴りぬけるストンピィ型、黒力戦をメイン採用したヘルムコンボ型。十人十色、様々なカスタマイズがされております。
Mono-Black Scam Deck for Magic: the Gathering (mtggoldfish.com)
MOであれば、落魄型をメインに、リストができるだけ単純化されている印象です。
正直「黒単」と言っても詳細は様々となっており、私もよくわかりません。が、「黒単」の中では私の構築は比較的オーソドックスなのではないかとは思います。
4-4. (余談) POXの供養
突然ですいませんが、別のデッキの話をさせてください。
「最近のカードデザインの価値観に呼応する形でデッキを構築」って書いていますが、本当に好きなデッキ(POX)が現代MTGについていけないので、オークが出る前から泣く泣く組んでいました。
アルカニスト・レン6・雪玉・オーコ・ウーロ・ラガバン・オーク……歴代の大犯罪者たちとPOXで会話してきましたが、本当に辛い日々でした。
「見返りのない恋を続ける」ことは、誰にとっても大変辛いものです。POXは世界で一番かっこいいデッキですし、大切な事はすべてPOXから学びました。綺麗な思い出のまま、どうかゆっくりとお休みなさい。
5. 長所と短所を簡単に教えて。
【長所】
・どのデッキともそれなりに戦える対応力があります。
・コンボデッキに対して耐性があります。
・新カードによる成長の将来性があります。
・ライフレースに強く、捲れる可能性が常にあります。
・クリーチャーデッキですが、案外インスタントタイミングで動けます。
・黒単がオタクすぎてあやまったサイドボーディングを取られやすいです。
・相手のデッキへの知識を武器とすることができます。
・(わかる人向け)黒いデスタクなんじゃないかなぁと最近は感じます。
【短所】
・複数枚で一枚を展開するカードが多い都合、息切れしやすいです。
・青くないので、1Tブッパに為す術ありません。
・丸いデッキ・多角的なデッキには並みの性能です。
・圧倒的なスケールのクリーチャーが一度着地すると案外つらいです。
・相手のウルザの物語の方が大体強いです。
・相手に応じたキープ基準が結構難しいです。
・土地をかなり絞っているため、事故るときは事故ります。
・白系のコントロール、特に4Cコンが辛いです。
・《聖カトリーヌの凱旋/Triumph of Saint Katherine》に回答がありません。
6. 個別カード紹介(メイン)
《ダウスィーの虚空歩き/Dauthi Voidwalker》(4枚)
相手の墓地を追放しつつカードを拝借できる、アンブロッカブルなアタッカー。このカードのフレーバーを語るとnoteが終わらない。
先述の文章に「アドバンテージの稼ぎ方が強烈」と書いたと思いますが、最近のデッキは何でもかんでも当然のように墓地を活用してきます。
先んじて置ければ、その墓地を封じつつ、こちらのリソースにできます。ハンデスと絡めて相手のフィニッシャーを拝借できると大変気持ちがいい。レガシーにひしめく様々な理不尽に立ち向かう力を授けてくれます。
仮に相手が墓地を使わないデッキでも、2マナ3/2の実質アンブロッカブル。ダメージレースにいつも貢献してくれます。
ただ、この効果でカードを使った後の処理、これが対面して相打ちした際の処理、虚空の力戦と併用された際の処理、などなど。細かいルールでジャッジのお世話になりやすく、ルールに知識が必要です。
《敵対工作員/Opposition Agent》(4枚)
相手のサーチに制限を課すクリーチャーです。おおよそのデッキは「サーチ」をしていますので、それなりに刺さります。
このカードは「サーチが出来なくなる」ばかりでなく「こちらがサーチして奪えたり」「手札とデッキのすべての情報を一時的に得られたり」と、莫大なアドバンテージを得られます。ハマると本当に強い。
ただ、プレイ時は欲張りすぎない方がいいです。環境もケア慣れしておりますので、構え続けて時間経過されることへのメリット・デメリットには常に気を付けたいです。
なお、サーチしない相手だと単なる「3マナ3/2瞬速」なので物足りないです。サイドボーディングでの調整候補。
《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》(4枚)
『ロード・オブ・ザ・リング』の続編映画『ホビット』にて、ビルボ・バギンス一行が樽に入って川下りしている途中に襲い掛かったウルク=ハイの軍勢を表現した一枚、のはず……。
きわめて優秀。非合法なドロー一枚につき「任意に1点ダメージ+継続1点脅威の展開」がペナルティとして課されます。瞬速で出てきますので、ドローソースに対応しての着地を目指したい。
嵌らない時でも「2マナ瞬速、実質2/2、横並び、1点任意」は小回りが利きます。微弱な不利も覆せるし、有利な盤面で蓋をする力もある。本当に強い。
なお、レガシー環境はオークに揉まれに揉まれ、これを超えられるよう進化しています。強いとは言え、過信は禁物です。
《悲嘆/Grief》(4枚)
《暴露/Unmask》に足を生やしたらこうなった、想起サイクルの黒担当。
後述の《再活性/Reanimate》と合わせて、1ターン目に2枚ディスカード+3/2威迫の脅威を着地させるのが理想です。出鼻を挫いた後のリカバリーと脅威への対応を同時に迫ることで、オークや工作員が刺さりやすい状況を作れます。
海外では「scam(詐欺)」と呼ばれる動きです。体感、1ゲーム目1ターン目にこれが決まると7割方勝ちます。
これはモダンとレガシーでは異なる強さを発揮します。これは《意志の力/Force of Will》が効きません。その後の《再活性/Reanimate》までセットで考えると被害甚大なので、ほぼほぼ打ち消されません。
なお《悲嘆》はそこまで盤面に定着しません。アタックからのオークでブロック、《稲妻/Lightning Bolt》なんかが日常茶飯事。悲嘆を救うためにハンデスするかどうか、というのが本当に難しい。
《カザド=ドゥームのトロール/Troll of Khazad-dûm》(2枚)
『ロード・オブ・ザ・リング』にて登場した、廃墟となったモリアの坑道に住んでいるトロール。パーティ全員、束になってかからないと倒せなかった展開が「3体じゃないとブロックできない」というフレーバーに落とし込まれているのだと思います。
実質基本地形、デッキにおける潤滑油です。無色マナを大事な黒マナ源に変換してくれますし、自ら墓地にいってくれるので《再活性》で釣れますし、素キャストも時折可能、一体でゲームを終えられるサイズ。
なお、墓地に落ちたトロールは相手も釣りあげられますので、黒いデッキに対してはサイクリングを控えましょう。また《再活性》で受ける6点の痛みの割に死亡猶予は2-3ターンと割に合わない場面も多く、1T目に釣り上げる以外は控えたい。
デッキコンセプトの「蓋」の役割は担えないのもあり、2枚が順当な印象です。
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》(2枚)
登場からあらゆるフォーマットで存在感を放ち続けており、その威光はレガシーでも変わりません。大々々々々々々々々々々々々好き。
不利な盤面を有利に覆せる程のパワーがあり、一部デッキにはこれの着地がゴールになります。思ったより盤面に定着しやすいことも含め、トップデッキで助かった場面は数知れません。
デッキコンセプト・カードパワー、すべてが理由になっての採用となりますが、重ね引きはちょっと迷惑なので2枚が程良い印象です。シェオルより大きいクリーチャーは除去でなんとかしましょう。
《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》(2枚)
指定したクリーチャータイプに相手だけマイナス修正を与える常在型能力を持ったクリーチャー。メイン採用は珍しいと思いますが、これには以下の理由があります。
1点目、本デッキにはオークを苦手とするカードが含まれます。《ヴェールのリリアナ》は布告除去の強烈な裏目となりますし、《悲嘆》は1-1交換のブロックが可能です。これに先手を打って対応できると、これらが活かしやすくなります。
2点目、本デッキのコンセプトたる「相手の無駄牌をクリーチャーで増やす」に合致しているためです。時折出会う部族デッキもさることながら、実はデルバーに特効だったりします。(指定「人間」が有効)
オークとの合わせ技でタフ2まで落とせたり等々、相手がクリーチャーデッキであれば最低限の仕事は果たしてくれます。
重ね引きしたいような、したくないような。2枚が妥当な気がしています。
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》(2枚)
プラスで両者ディスカード、マイナスで布告、奥義でパーマネント除去ができるPW。本デッキの欠点を補う、とても重要な役割を持っています。
まず、このデッキは簡単にサイズ負けします。《濁浪の執政》がいい例で、簡単にライフレースに負けます。こうなると除去に頼らざるを得ません。
ヴェリアナは先置きできる布告除去なので、この問題を未然に防ぐことができます。
また、手札消費が極めて高速な本デッキにおいて、ヴェリアナのプラスは左程苦になりません。相手のハンドを削りトップデッキを強要できますので、理想的なゲームプランに持ち込む影響力を持っています。
二度と抜くつもりはありません。2枚でしっくり、好みで3枚。使う際はオーク対策を忘れずに!
《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred's Edict》(2枚)
クリーチャーが強くなった分、スペルも強くしないとねぇ、と刷られただろう一枚。布告先をある程度しぼれるので狙った脅威に当てやすいです。
ただPWが環境にそれほどいませんので、《突然の布告》でもいい気はします。
欲しい場面は結構あるのですが、これだけ引いても勝てませんので2-3枚が妥当な所。
《再活性/Reanimate》(4枚)
1マナで墓地のクリーチャーを場に戻せるワイルドカード。《悲嘆》の再利用もそうなのですが、相手が嫌がるクリーチャーの盤面定着に貢献できるのが一番の有効性だと感じています。相手の強力クリーチャーを釣るよりも、蓋ができるこちらのクリーチャーを釣りたいのが本音。
あれこれ説明しても仕方ないくらい、とっても便利。
フィールドワークで0枚にしたら酷い戦績だった、4枚固定。
《思考囲い/Thoughtseize》(4枚)
1マナで相手の手札を一枚選んで捨てさせる逆ワイルドカード。相手のキープ基準を崩す、というのもありますが、本デッキにおいては「相手のデッキをいち早く判明させて定着させたいクリーチャーを定める」プラン立ての役割が大きい気がしています。
囲った後には勝敗につながる答え合わせが待っております。1Tハンデスで何を落とすのか、については今後一生勉強し続けるんじゃないか、というくらい難しいです。
抜ける気がしない、4枚固定。
《暗黒の儀式/Dark Ritual》(4枚)
1マナで3マナ出るブーストカード。デッキの速度を高めることと、黒マナ不足を解決する、二つの役割があります。
1ターン目で有利盤面を固めるのが一番わかりやすい使い方です。腰を据えて戦っていいのであれば、《悲嘆》《シェオルドレッド》のキャストに使って、いい感じに潰します。
使って気持ちがいいので離れがたいのですが、常に強いカードではありません。これのサイドアウトが考えられるようになってから、勝率がかなり変わりました。4枚固定。
《金属モックス/Chrome Mox》(3枚)
《暗黒の儀式》があるのに、なぜ《金属モックス》まで? しかも3枚? と疑問に感じられる事と思います。これには、いくつかの理由があります。
まず、《ダウスィーの虚空歩き》の早期着地が環境に刺さります。相手の墓地が肥える前に着地させないと蓋の役割を担えません。この速度感がダウスィーを活かす上では本当に大事です。
「黒黒」のダブルシンボルは、ウルザや不毛では出せません。速度ありきで黒マナを嵩増しするには、本カードがピッタリです。
なお、重ね引きすると本当に弱いですし、刻印するカードに計画性が求められたりと、扱いが難しいです。私は4枚採用はリスクだと感じました。
3枚が私には扱いやすかったです。2枚でもいい気はしています。
《マラキールの再誕/Malakir Rebirth》(1枚)
裏面はタップインの黒マナ土地、表面はクリーチャーの死亡を救えるインスタント。
まったくもってレガシーレベルだと思えず、私も何度もいらないと見直したのですが、今では決して欠かせない、デッキ全体を締める役割を担っている大事な一枚です。以下がその理由です。
理由その1、マナベースの改善。
POX時代のセオリーがありまして。「黒マナが出るマナ基盤を15枚用意するのが、色マナ安定の閾値」というものです。
沼:8枚
アーボーグ:1枚
カザド=ドゥーム:2枚(フィルター)
金属モックス:3枚
マラキールのぬかるみ : 1枚
合計15枚。土地に換算できますし、このカードは黒いので《金属モックス》に刻印することができます。このデッキが陥りやすいマナスクリューを、そことなく改善してくれます。
理由その2、やっぱり悲嘆でズルをすると勝率が高いです。
これの再現性を高めようとすると、《再活性》だけでは足りません。モダンのように《まだ死んでいない》を使うのも考えましたが、スタッツが1上がった所で稲妻で落ちますし、単体で意味を成さないカードをこれ以上増やしたくはありません。
理由その3、蓋となるクリーチャーの定着率の向上。
相手に刺さっている重要な妨害クリーチャーに《致命的な一押し》などの除去を打たれた場合、《再活性》だと再展開は自ターンになってからです。その間にコンボを決められる事もしばしあります。
しかし本カードであればインスタントで戻ってこれますので、スキが生まれにくいです。そもそもマイナーすぎるカードなのでケアされません。
増量はしないけど1枚は欲しい。プレイ幅を増やしてくれる、大変面白いカードです。おススメ!
《影槍/Shadowspear》(1枚)
《ウルザの物語/Urza's Saga》で解説するため、割愛。
《ウルザの物語/Urza's Saga》(3枚)
強すぎて使うのをためらっていた一枚。土地から構築物クリーチャーが2体+《影槍》という、許されざる脅威の展開ができます。
しかも相手がウルザに四苦八苦している間、不思議とこちらの手札は減りません。後続を展開して畳みかければ勝利は目前です。
試合がグダった際には、横並びしたオークやダウスィー、リミテ3/2瞬速に影槍を握らせて突撃させます。クリーチャー全体の質を底上げしてくれる、装備品というメカニズムは本当に強い。
しかしこの土地、黒マナが出ませんし、自壊します。依存しすぎると黒いカードが使えなくなる為、私は3枚に留めています。ただ、全振りするのも悪いことじゃないと思います。
《不毛の大地/Wasteland》(4枚)
相手の土地を墓地に道連れできる(かも知れない)無色地形。デュアルランドがひしめくレガシー環境では対象に困ることはありません。
これで土地を壊すと、相手はドローソースやフェッチランドでマナソースを探してこないといけません。ここに《オークの弓使い》や《敵対工作員》が刺さります。ケアしきれずに漏れ出てきたプレイングに対して、妨害クリーチャーが刺さる状況を作っていけるのです。
このカード自体が持つテクニックがレガシーで多様なこともあり、とても便利なカードです。4枚を超えて5枚目が欲しいくらいにベストマッチしております。
《古えの墳墓/Ancient Tomb》(1枚)
1枚で無色2マナでるがダメージを受ける土地。自傷の見返りに結構なブーストをもたらしてくれます。
1Tウルザ2T墳墓、の手順は極めて強いことと、工作員・悲嘆・疫病・シェオルと2マナの支払先にも困らないことから採用しております。
お試しで採用していた1枚だったのですが大変好感触なので2枚に増量したい。後述のマナベースの問題も考えつつ、金属モックス2・墳墓2の構築は試す価値がありそうです。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》(1枚)
すべての土地から黒マナが出るようになる、ヨーグモス様のお墓。
「黒黒」のダブルシンボルの要求度はそこまでではありませんが、それでも無色地形に偏るとダウスィー・悲嘆・シェオルが素キャストできなくなる為、1枚だけ採用しています。
最近は環境に黒が増えており、相手のマナ問題を助けてしまうケースが時折あります。島から黒マナを出されると大変悔しいので、これ以上増量しなくていい印象です。
POX時代は大変お世話になりました。合掌。
《沼/Swamp》(8枚)
デッキで最も弱く、最も強いカード。絵柄はこだわりたい。
毎試合2枚は引きたい、なのですがトップ勝負中は引きたくない場面もそれなりなカード。これをいかに減らしながらマナベースを整えるか、全黒単デッキユーザーは頭を悩ませていることと思います。
7. サイドボーディング
サイドボードは省エネで記載します。
大事なことなのですが、紙とMOだとメタが違いますので、プラットフォームに応じたサイド構築が必要です。
《真髄の針/Pithing Needle》(1枚)
指定したカードが起動できなくなる。ウルザから持ってこれる再現性が良好で採用。
8castなどは相手のウルザの方が強いので、これを使ってウルザを刺します。よくよく影槍と入れ替わります。
《虚空の力線/Leyline of the Void》(4枚)
ゲーム開始時に置けるエンチャント、相手の墓地にカードが落ちなくなる。
ダウスィーを着地させる速度に不安がある場合に全力投入します。MOにはメイン最強コンボデッキで周回している勢力が一定数いらっしゃいますので、それらの理不尽へのお守りとなります。
余った時は《金属モックス》に刻印したり、ピッチのお供にどうぞ。使用感もいいので紙でも投入しています。
個人的には、デルバー相手には入れる寄りです。
《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》(2枚)
灯争大戦のアンコモンPW。墓地へのソフトケア+サーチを禁止する常在型能力が、別軸の理不尽に立ち向かう力を授けてくれます。
2-3ターンで勝負を決める想定で「探す」デッキ相手に使用します。DoomsdayがMOだと結構多い事もあり、アショクは最も安心できる対策になります。土地単・リアニメイト・4Cコンなどにも有効です。
一応、間接的に聖カトリーヌ対策が取れますのと、3枚採用するとLO勝ちできる可能性がちょっと上がります。
《絶望の力/Force of Despair》(2枚)
モダンホライゾンのピッチスペル。キャストターンに出たクリーチャーをすべて破壊します。
昨今のレガシーはクリーチャーで殴り合うゲームが増えてきている事もあり、実質、黒い《意志の力》です。1ターンに2体以上のクリーチャーを展開してくるゴブリン系や続唱、殴り合いですれ違いたいイニシアチブ、1体の展開にオールインしてくる相手に使用します。
なお、巷で話題のギャラクシーカスケードには「たまに刺さらない」模様。えっエムラクールだけ出て終わった……困る……。
《戦慄の朗詠者、トーラック/Tourach, Dread Cantor》(2枚)
《Hymn to Tourach》のトーラックさん。プロテクション白がメインの目的、カラカスで戻したくないキッカー能力がサブ目的。
本デッキ、白含む除去や4Cコンが本当に辛いので、似た役割のカードは積極的に増量したいです。
このカードをもってしても、聖カトリーヌはどうやって対応すればいいのやら。本当に困ります!
《苦花/Bitterblossom》(1枚)
上に書いたコントロール対策、放置する程に脅威が増えていきます。
影槍を採用していることもあり、トークンの殴り性能も底上げできます。パランティールを採用してはいたのですが、結局一番欲しいのは脅威であることと、2マナの方が1ターン目に囲い絡めてプレイしやすいので採用。
紙のフォーマットなら優秀なので2枚にしたいくらい、MOでは必要な場面がなかったのでアショクと入れ替えました。
《疫病造り師/Plaguecrafter》(2枚)
着地で生贄要求ができるクリーチャー、大体自分か隣のオーク軍団が生贄に。
相手が高スケールなデッキであればサイドインします。各種リアニメイトが実質除去に変貌するので、かなり厚く盤面を睨めるようになります。相手がリアニメイトで再利用しにくいのもポイントです。こちらには大抵オーク軍団がいますので。
MOだと2枚、紙なら1枚でいい印象。
《Chains of Mephistopheles》(1枚)
非正規なドローに強烈な制約を課す、オークのような一枚。こちらは直接的な脅威にはなりませんが、基本的に手札が増えなくなります。
豆系のデッキに使うカードなのですが、持ち運ぶのが怖いのでサイドから外したいのが正直です。もし本リストを参考にデッキを組まれるのであれば、このカードは必須ではありませんし、コスパはハッキリと悪いです。《苦花》みたいな対コントロール系と入れ替え検討中。
8. デッキ相性
仮に有利な相性だったとしても、油断すればいくらでも負けられます。相性評価は全体的に厳しめに見ています。(細々と加筆する可能性あり)
・テンポ系
→ ウルザ影槍が相手にとって一番つらいハズ。
→ ダウスィー・疫病・工作員が刺さるが、盤面定着しにくい。
→ 腕の差で負けることが多い。その時は反省して気持ちを切り替える。
→ サイド後の力線で相性改善可能。
・青赤緑デルバー ★★★★☆☆
→ 微有利。疫病指定「人間」で蓋ができる。
・青赤黒デルバー ★★★★☆☆
→ 微有利。オークに構わず、疫病指定「人間」で蓋をしたい。
・青黒緑 ★★★☆☆☆
→ 五分五分。濁浪対策で特に墓地対策を厚くしたい。
・青黒 ★★★★☆☆
→ 微有利。墓地対策が他よりも刺さる。
・青黒死の影 ★☆☆☆☆☆
→ かなりきつい。《死の影》含め、主導権が常に相手にある印象。
・ストンピィ系
・イニシアチブ ★★☆☆☆☆
→ 不利。速度感が似た者同士、1T先手側がマッチwinしやすい。
→ オークはサイズ負けするので入れ替え必至。
→ サイド後は除去を増し増しにすると物量差がつけられる。
・赤単プリズン ★★★☆☆☆
→ 1T先手側がマッチwinする。ダイスで負けたら察しよう。
→ 月とチャリスは刺さるようで刺さらない。
→ 《鏡割りの寓話》はダウスィーで拝借したい第一候補。
→ 疫病指定「ゴブリン」で延命可能。
→ 《舷側砲の砲撃手》は針で刺せる。
・ゴブリン ★★☆☆☆☆
→ 苦手。疫病+オークでタフ2を丁寧に除去。リアニは疫病悲嘆に。
→ 絶望の力が特効。相手もそれをわかって小出しにしてくる。
→ ウルザ影槍・シェオル・疫病2体がゴール。
→ ダウスィーが珍しく弱いマッチ。拝借したいものが何も……。
・コントロール系
・4Cコン(紙) ★☆☆☆☆☆
→ 聖カトリーヌが無理です。
・4Cコン(MO) ★★★☆☆☆
→ 僅かに不利だが、プレイで改善できる範囲内。
→ 脅威は小出しに、横並びさせないこと。
→ エオルには絶望の力が刺さる。
→ 相手のテフェリーは狙って奪いたい。
→ ウーロにはサイド後のアショクで対応。LOを狙う。
・スペルコンボ
・最後の審判(DDFT) ★★★☆☆☆
→ 互角。1Tブッパされれば負ける。時間をかければこちらが勝つ。
→ サイド後はアショクを出したら勝ち!出せなければ負け!
→ ライフを詰める程にパイルが難しくなるので、積極的に殴ろう。
・ANT、TES ★★★☆☆☆
→ 互角だが僅かに有利。ハンデス、サーチ妨害、墓地対策が刺さる。
→ ライフは極力減らしたくない。《再活性》は手なりで使わない。
・コンボ系
・ペインター ★★★☆☆☆
→ 五分五分。こちらの対策は大体刺さるが盤面に定着しにくい。
→ アショクがサーチ妨害と墓地対策を同時にできて丁度いい。
→ 罠橋を置かれると一転、超不利。シェオルにしか頼れなくなる。
・信託者コンボ ★★☆☆☆☆
→ 不利。相手のライフが減らせないが構わず殴り続けよう。
→ 細かいテクニックが満載の相手なので、ハンデスひとつも悩ましい。
→ サイド後はアショクが有効。とにかく信託者を狙い打とう。
・サルベイジャー ★☆☆☆☆☆
→ 不利。職人デッキすぎる。1Tダウスィーは生命線。
→ ウルザ・カーン・大釜と、対応しないといけないカードが多すぎる。
→ サイド後の針は大釜に対して刺すのがいい気がする
・その他
・8-Cast ★☆☆☆☆☆
→ ハッキリと苦手。相手のウルザが強すぎる。
→ ダウスィーはエムリー対策。ドローするデッキなのでオークも有効。
→ 護法持ちが多く、布告除去がこれでもかと欲しくなる。
→ 針でウルザを止めよう。このマッチはダウスィーに懸かっている。
・続唱 ★★☆☆☆☆
→ メイン不利。4/4トランプル2体にサイズ負けする。
→ オーク不要。サーチを多用する相手なので工作員は刺さる。
→ シェオルの着地 or ウルザ影槍がゴール。絶望の力は特効。
→ 決して諦めないこと。長丁場にもつれ込めれば勝てる。
・土地単 ★★★★☆☆
→ 有利。ダウスィー・工作員・不毛・布告除去と対応札が豊富。
→ 脅威と妨害のバランス感覚に注意。オールインはNG。
→ 《イス郷の迷路》が辛くても、不毛は軽はずみに使わないこと。
・デスタク ★★☆☆☆☆
→ 苦手。相手のクリーチャーの方が総合的な性能が高い。
→ 攻め手が《再活性》で再利用しにくく、リソース枯渇しやすい。
→ 《暗黒の儀式》をすべて抜いて、デッキ濃度を高めて戦う。
→ 石鍛冶にハンデスでカウンターができるよう、温存するプレイを。
・マーベリック ★★★☆☆☆
→ 噛み合い次第。
→ ダウスィーが定着した時間に応じてサイズ差の問題は解決する。
→ デスタクと同じく、リソース枯渇しやすい。
→ サーチするので工作員は有効。防げなければ状況再現から敗北。
・スニークショー(イーオンブリッジ) ★★☆☆☆☆
→ 苦手。ハンデスしか妨害手段がない。ヴェリアナ超大事。
→ ダウスィーで相手のファッティを拝借する事を狙おう。
→ ブッパができる相手なので、絶望の力はinしたい。
・理不尽
・スパイ ★★★★★★
→ きわめて有利。メインはダウスィーを置ければ相手は返せない。
→ サイド後、ダウスィー+力線を並べることを意識。
→ 《絶望の力》も特効。クラゲが並んだら使いましょう。
・ベルチャー ★☆☆☆☆☆
→ ハンデスしか出来ることがありません。
9. 小テク・留意
いろいろな考えがあるかもしれませんが、私のプレイスタイルから伝えられそうなことを、頑張ってまとめてみました。ここの文章が皆様の議論の一助となれば幸いです。
・《ダウスィーの虚空歩き》で追放されたカードは、彼が一度盤面からいなくなっても、別のカードでもいいので戻ってくれば、再び使うことができます。
・《ダウスィーの虚空歩き》と《再活性》《マラキールの再誕》は相性が良く、相手のカードを拝借しながら、引き続き墓地を睨むことができます。
・《ダウスィーの虚空歩き》で追放されているカードが、思わぬ活路を見出す可能性があります。困ったときには追放されているカードを確認してみましょう。
・《ダウスィーの虚空歩き》がいる状態で《夢を引き裂く者、アショク》を使うと、トップデッキの4枚はすべてダウスィーの効果によって追放されます。
・《ダウスィーの虚空歩き》と《虚空の力線》が同時に存在する場合、墓地に落ちたカードは《虚空の力線》によって追放されることになるでしょう。
・打消し呪文が追放された場合、《ダウスィーの虚空歩き》で殴るかどうかは慎重に考えましょう。相手から奪った《意志の力》を構え続けることが得策の場合もあります。
・《敵対工作員》がいる間にサーチをした相手は、「サーチ先のカードを奪われる」だけでなく「手札とデッキも覗かれる」被害を受けます。もしMOであるなら、この画面を [Win+Shift+S] でキャプチャする癖をつけましょう。
MOではハンデスで見えたカードはUI上に保存されますが、《敵対工作員》で見えた手札はUI上のどこにも保存されません。
・《オークの弓使い》では、決して欲張りすぎず、ドローしたくなるまで追い込むような使い方も一案です。相手がフルタップの内にメインで着地させた方が堅実だったケースが、過去に何度もありました。相手のドローソースを狙って使うと、さらにドローソースを重ねられた後にオークが打ち消される、等の悔しいケースに直面することもあります。
・相手も《オークの弓使い》を使う場合には、先走りすぎないよう、注意が必要です。これは後出しした方がより多くのオークを盤面に残せるためです。
・こちらのアップキープに《渦巻く知識》を唱える対戦相手とは、どうか慎重に戦ってください。MTGへの理解が相当深いのは確かです。
・《悲嘆》を1ターン目に使う際、《思考囲い》を常にピッチコストにすることは控えましょう。《悲嘆》の着地後、さらなるハンデスによって予想以上の打点を稼げるケースがあるためです。
・相手のデッキが不明な段階で、たとえば《金属モックス》で《ダウスィーの虚空歩き》《オークの弓使い》《敵対工作員》のいずれかを追放せねばならない場合、残すべきは①《ダウスィーの虚空歩き》②《敵対工作員》③《オークの弓使い》の順です。なお、3マナが不安な場合は《敵対工作員》の優先順を下げます。
これは《ダウスィーの虚空歩き》《敵対工作員》一枚で勝てるゲームが存在するのに対して《オークの弓使い》はそこまでの脅威性はないためです。
・対戦するデッキが不明な段階で、相手が度重なるマリガンをしている場合は《ダウスィーの虚空歩き》《悲嘆》の価値を一層高めたプレイを心がけてください。これは「リアニメイト等、コンボデッキの疑いがあるから」と「相手の手札が少ない程《悲嘆》一枚で勝ちやすいから」です。
・対戦相手のデッキを判明させる為だけに、盤面に残らない《悲嘆》をピッチで用いるプレイングについてです。私は「大賛成」です。相手がわからなければ、どの妨害クリーチャーを有効活用すべきかのプランを立てることができないためです。
・相手と自分の墓地に同じクリーチャー(オークとか)が落ちている場合は、相手の墓地のクリーチャーを釣るのも一案です。墓地の枚数を減らして《濁浪の執政》を一瞬だけ遠ざけられます。なお、バウンスが裏目です。
・《カザド=ドゥームのトロール》は、相手が黒い場合にはサイクリングを控えて《金属モックス》《悲嘆》に充てるようにしてください。これはサイクリングした返しに《再活性》されると、大抵はこちらが殴り負けるためです。
・長時間ゲームをしていると、アショクや工作員の「サーチ制限」を忘れてしまうことが、自分も相手も起きてきます。
MOであれば自動処理なので、損するのは相手だけです。しかし紙であれば巻き戻しがきかず、こちらが損する事態にもなりかねません。
「探す」「持ってくる」「フェッチを切る」「解決する」など、サーチ行為はプレイ中の一言一言に内包されがちなのも、ストップをかけられない一因です。
ここはひとつ、紙でプレイしている際には「相手はデッキを手で持てない」と曲解してみましょう。案外、気付けるようになります。
・《ウルザの物語》の第三章でサーチするカードは《影槍》以外にもあります。《金属モックス》も十分候補になります。またこの際、刻印するかどうかは任意であることも大事です。刻印しなければマナは出ませんが、構築物トークンのサイズは上がります。
・《虚空の力線》がマリガンしても手札に来ない時は、コーヒーを淹れたり、スクワットをするなどして、気持ちを落ち着かせましょう。
・《Chains of Mephistopheles》と《オークの弓使い》は競合せず、相互作用を果たします。《Chains of Mephistopheles》は引けなくなる効果ではなく、引くのなら「捨ててから引く」よう強要するためです。
10. 最後に
かなりの長文となりましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
「黒単ミッドレンジ」は将来性があり、長く使い続けられるだろうデッキだと思います。このノートが、皆様の黒単へのご理解の一助となれば幸いです。
また「自分も黒単を使っているよ」「自分の黒単はここがこだわり」などがありましたら、ぜひ一緒にnoteで情報交換いたしましょう。
(POXを使っている時はノウハウが集まらなくて本当に大変だった……)
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