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おすすめの画材についてのメモ

いろいろなものを測って描く「実測スケッチ」なるものをよく描くのですが、最近「どこの絵の具使っているの?」などと聞かれることが少し増えたので、愛用している画材たちについて書き留めておこうと思います。(2021/10/15追記)

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↑ホテルの客室の実測スケッチ。測りながら観察して描いていると、作り手のこだわりが見えてきたりして楽しいです。

いろんな絵のスタイルがあるかと思いますが、実測スケッチ=ものを観察して、軽いスケッチに描き留める、ということに関しては「ペン画に水彩」がラフさと表現のバランスが良く、気に入っています。

(個人的には「弘法筆を選ばず」が目標というか、“絵を描く力“というのは、基本的には眼を鍛えたかどうかだと思っている派なので、画材によって画力が急に上がったり落ちたりすることはない、と考えています。絶対にこれがおすすめだから今すぐ全員使って〜!というわけではなく、色々試してみた上で、その人に合った道具たちを見つけられれば良いなと思っていますし、そのお手伝いに少しでもなったら良いな、と思って書きます。)

実測スケッチを描くときに使っている道具たち
<ペン画>
①コンベックス:TAJIMA シグマストップ
②三角スケール:ステッドラー 三角スケール
③ペン:三菱鉛筆 ユニボール シグノ
④下書き用鉛筆:カランダッシュ フィックスペン
⑤消しゴム:トンボ鉛筆モノダストキャッチ
⑥レーザー距離計:ボッシュ レーザー距離計
⑦直角定規:シンワ測定
⑧ノギス:E-Value デジタルノギス
⑨色見本帳:日塗工 色見本帳 
⑩道具入れ:無印良品 ペン差し付ミニショルダー

<透明水彩>
①水入れ:100均タッパー
②筆:ラファエル水彩筆803 2号
③パレット:ホルベイン水彩パレットNo.150
④絵具:ホルベイン透明水彩絵具 24色セット+α
⑤紙:マルマンスケッチブックアルシュ水彩紙




①コンベックス:
TAJIMA シグマストップ

初っ端から画材じゃないものを紹介していますが、「測って描く」のに欠かせないのがコンベックス。コンベックスとは金属製の硬いメジャーのことです。ちなみに建築をやっている人は全員もれなくカバンに入っています(本当)。
タジマのものはどれも質が良くおすすめなのですが、このシグマストップはオートストップ機能(テープが勝手に巻き戻らない)を採用しており、これがめちゃめちゃ使いやすいです。そして幅広肉厚のテープなので長い距離を伸ばしても空中で全く折れず、測りやすいことこの上なし。

欠点を挙げれば、少し重いことですね...。
最近はホテルなどのお部屋の実測は後述のレーザー距離計をメインで使い、コンベックスは軽量化を目指してTAJIMAの幅6mmのものを使っています。ポッケに入るので◎です。



②三角スケール:
ステッドラー 三角スケール 一般用

これも「測って描く」には欠かせない、建築をやっている人なら必携の持ち物です。図面を書くとき、そのままのサイズで描いたら当たり前ですが紙におさまりません。そこで、実際の大きさの何分の1かに縮小して描きます。
例えばホテルの一部屋は(ランクにより色々ありますが)、A4の紙に描くとすると大体1/30〜1/50程度でおさまります。1/30、なんていちいち計算して測って描いていたらとっても時間がかかってしまいますが、そんな時に役立つのがこの三角スケール。複数の縮尺の目盛が三角形の面ごとに書かれていて、計算せずとも縮尺を自在に操れます。
ステッドラーのアルミ製のものは軽くて耐久性があり、見た目もシンプルなのでおすすめです。

一般用、建築士用、土木用があり、それぞれ使える縮尺が違います。私は一般用を使っています(1/100,1/200,1/300,1/400,1/500,1/600が使えます)。


③ペン:
三菱鉛筆 ゲルボールペン ユニボール シグノ

イラストを描く人ならもっともこだわりがあるであろうペン。私はもう何年もこのペンを使っています。
何が良いって、まず第一に描き心地が滑らかで思った通りの線が引けること。消せるボールペンやどこにでもかける油性ペンも便利だけれど、水性インクの滑らかさには変えられないと思っています(ちなみに修正のしやすさを求めるのであればApple Pencil一択)。
次に、上から水彩絵具を乗せても線が滲まないこと。このペンは水性ですが顔料インクを使っているため水に滲まず、上から色を塗っても濁りません。顔料インクはそもそも紙に染み込まないので早く乾くし、発色も鮮やかで色褪せもしません(コピックには多少滲みます)。
あとはインクがむちゃむちゃ長持ちな上、インクが切れる最後までずっと描き心地が変わらないこと、替え芯があること、どこにでも売ってること(旅行先などでペンを忘れちゃっててもコンビニで同じものがパッと手に入るのが結構ありがたい)、余計なデザインや装飾がされておらずシンプルなこと、コスパが良いこと、など理由はつきません。

同じシリーズでノック式のものもあるのですが、なぜかキャップ式のものの方が描き心地が良いように感じるのでこちらを使っています。
ボールのサイズは描く絵の大きさにもよりますが、0.38が線の濃さと細かい描き込みの両立ができるので気に入っています。


④下書き用鉛筆:
カランダッシュ フィックスペン(芯ホルダー)

めんどくさいのでペンでいきなり描き始めることも多いのですが、レイアウトの検討や軽くあたりをとりたいときなどに使います。シャーペンよりはざっくりと描きたい、鉛筆だと使ってるうちに短くなってしまう、ということでこちらの芯ホルダーを使っています。
芯ホルダーってなんぞ?という方、要は好きな鉛筆の芯を選んで使える太いシャーペンみたいなものです!芯の濃さや出し具合を自由に選べるのが良いです。
いろんなメーカーさんが出していますが、カランダッシュのものはシンプルで良い。長さも程よく、手に馴染む重さで気に入っています。

なお、シャーペンと違って芯を削ってあげる必要があります。芯削り機なるものもあるのですが、汚れやすいのでカッターで芯先を整えています。
芯はUniのHB(2mm)を使っています。


⑤消しゴム:
トンボ鉛筆 モノダストキャッチ

消しゴムならなんといっても天下のMONOさん。ペン入れしたあと、下書きの線を消すときに使ってます。これは消しクズがまとまりやすいことを売りにしている製品で、確かに消しクズが散らばりません(クズが全く出ないわけではない)。黒色なので消しクズが目立ち、掃除がスムーズです。

細くて硬い線に対しては普通のMONOより消し能力が若干劣るような気がしますが、下書き消し用などで柔らかい線を主に使っている人にはおすすめです。


⑥レーザー距離計:
ボッシュ レーザー距離計 ZAMO3

長い距離を測るときに使います。天井までの高さや壁間の距離などをピッと正確にはかれるので便利です。1m以下など家具レベルの小さなものを測るときはコンベックス、大きなものを測るときはレーザーを使っています。

ずっと昔のボッシュのごつい大きなやつを使っていたのですが、これはコンパクトかつシンプルで良いですね。いろんな機能がついているものもありますが、単に距離を測りたい目的だけならこのくらいで十分です。


⑦直角定規:シンワ測定

15cm以下のもの、小物のサイズなどを測るときに使います。
色々試した結果、楽に正確に図るために「直角定規で」「やや厚みがあり」「裏表同目で」「15cm以下で小回りのきく」ものにしました。
定規ってほんとにいろんな種類やサイズがあるのですけど、コンパクトさを求めすぎてあまりにも小さいと測りにくいんですよね。これは持ちやすさと測りやすさのちょうどいいとこどりって感じで気に入っています。内側も外側も裏も表もメモリがついてるのでストレスなく測れます。


⑧ノギス:E-Value デジタルノギス

文明の利器。厚みや丸いパイプなどの直径を測りたい、というときに使っています。これもコンパクトかつ測りやすい絶妙なサイズで、カーボンファイバーなので軽くてお手軽です。

本当に精密に(0.1mm差とか)測りたい人にはもっと精度の良いアナログのをおすすめしますけど、1mm単位程度で測りたい人には十分です。
ものを作る時に使うようではないかな。メモリをいちいち読まなくて済むので、とにかくバンバン測りたい時はデジタルは便利です。
あと、地味に底の深さ測定の棒がついてないのが気に入ってます。あれ私はあんまり使わないのと、尖ってて痛いので…..


⑨色見本帳:日塗工 色見本帳 

これは一般の人にはあまり馴染みがないと思いますが、設計者は必携のものです。日本塗料工業会が出している塗料の色見本で、要は色が数値で測れます(マンセル値)。
世の中には測色機というデジタルで色を測れるものもあるのですが、高いし重いので(1万円くらい)よっぽど正確な色味が必要なとき以外はこの見本帳で目視で測るのが普通です。

常々思っていることなんですけど、実測の意味ってなんだろう、って思った時に、設計者や作り手にとって大事なのは「再現可能性」だと思うんですよね。もちろん丸パクリするという意味ではないですけど、自分の中の参照元として「あの空間は、こういう寸法でこういう素材(色)なんだ」って分かることがとっても大事だと思っており、常に測るようにしています。


⑩道具入れ:無印良品 ペン差し付ミニショルダー

上記の道具等がすっぽり入るちっちゃなカバンをずっと探していたのですけど、天下の無印さんにありました。ポッケのサイズが色々あってちょうどよくコンパクトに道具等を納めることができます。天才。

実測をしているときはこれを肩からかけてうろうろしています。



長くなってきましたが、次は水彩編。

①水入れ:
100均のタッパー

これは道具そのものに特別なこだわりがあるわけではないのですが、水彩画は水が命だと思っているので最初に書きました。水がたっぷりあれば筆を何回洗っても濁りにくく、精神衛生上とっても良い。タッパーなら外で建築写生をしても、そのまま蓋を閉めて持って帰れます(外で絵の具の混じった水を捨てるのは流しが汚れるのでやめましょう)。
どこで買ったかもう覚えてないのですが(どこで買っても大差ないと思いますが)、大事なことは、
・底が広くて安定感があること(筆を洗うたびに倒れるする心配をするのがストレス)
・引っ掛かりがあるなど、持ちやすいこと(水を汲んだあと落としたりしたら悲惨)
大容量なこと(今サイズを測ってみたらW15cm×D11cm×H11cmでした。約1.8L入る計算です)
透明なこと(なんか、色を塗るときに周囲に余計な色があると感覚が鈍る気がします。黄色いバケツとか..)

(↑同じものを探したけどなかったので参考イメージです。100均のもので十分です)
小皿や携帯用の小さなもので済ませている人は一度大きな水入れを使ってみることを強くおすすめします。とっても気持ちよく描けますよ〜。
バケツの中に仕切りがあって水を分けれるようになっているタイプも多いですが、結局水が少なくなるのと洗うのがめんどくさいので私は使っていません。

②筆:
ラファエル水彩筆 803  2号

高価なものが必ずしも良いとは限らないのですが、筆だけは一生ラファエルしか使わない、と心に決めています(弘法筆を選ばずが目標といいつつ筆はがっつり選んでましたすみません)。とにかく最高の筆です。
ブルーリスの天然毛が毛先のカットなしにまとめられており、水を含むと毛先がするりとまとまって、細かい線も広い面の塗りもこれ一本で自在に描けます。水の保持力がとんでもなく高く、広い面を継ぎ足しなしに塗り続けることができます。
号数は2号を使っています。A4程度のサイズの絵ならこれで十分です。大きな絵を描く人はもう少し大きい号数がおすすめです(高いけど)。

ナイロン製の筆を使っている人は一回ぜひ使ってみて欲しいです。違いに感動します。

③パレット:
ホルベイン 水彩パレットNo.150

アルミ製・焼き付け塗装のパレットです。絵の具の発色がパレット上で綺麗にわかります。プラスチック製のものは使い続けているとパレットが淡く染まったりしちゃうのですが、こちらは焼き付け塗装なのでそんなこともなくいつまでも白いまま使えます。軽さも耐久性も文句なしです。

絵の具のポケットの数によって複数種類あり、30仕切りのものを使っています。


④水彩絵具:
ホルベイン 透明水彩絵具 24色セット+α

透明水彩は使うたびに絵の具をチューブから出すのではなく、最初にパレットの仕切りに全て絞り出して乾かし、使うごとに水で溶かしながら使います。一度パレットを用意すれば永久に、とは言いませんが数年は継ぎ足しなしでも使えます。
水彩やってみたいけどどの色を選べばいいのかわからないなーという方、このホルベイン24色セットがあればまずは十分です。絵の具メーカーはウィンザー&ニュートン(耐光性高い)、クサカベ(淡い色の発色が綺麗)、シュミンケ(発色も色伸びも最高峰・バカ高い)などがありますが、ホルベインは比較的安価かつ絵の具ののびがよく、初心者からプロまで多くの人が愛用しているメーカーです。

私はこの24色に自分の使いたい色を織り交ぜてオリジナルパレットにして使っています。色の選び方は永山裕子さんの本を参考にしたりしてました。

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↑使用している絵の具一覧。途中でいろんな色を使ってみたくなって仕切りからはみ出ている絵の具たちがいます。。
★=ホルベイン24色セット以外の追加色
(WN) =ウィンザー&ニュートン (KU)=クサカベ
24色セット以外のおすすめ追加色
発色が鮮やかで、混色で作ると濁りがちな色を入れておくと良いです。あとは自分の好きな色なんか入れておくと良い気分になって上手く描ける気がします。笑
パッションオレンジ(クサカベ)
オペラ(ホルベイン)
ラベンダー(ホルベイン)
リーフグリーン(ホルベイン)
インディゴ(ウィンザー&ニュートン)

パレットへの色の並び順は赤から並べる方が非常に多いように思いますが(虹色のイメージ)、白&黄色から並べると明度のグラデーションもつけやすくてきれいだなーと勝手に思っています。


⑤紙:
マルマン スケッチブック 図案シリーズ

水彩紙って厚さ・紙目・原料などの違いでいろんな種類があるのですが、やっぱり良い(高価な)水彩紙はぶ厚くて、発色がよくにじみもぼかしも綺麗に出ます。
ただ、筆や絵の具は一度買えばそんなに買い足すことはないのですが、紙は描くたびに(そして失敗するたびに)必要になるので、画家でもないのに高い紙をどかどか使うのは心が痛い...でもあんまり安いペラペラの紙だと水彩の良さが出ない....という悩みの末、愛用しているのがマルマンの画用紙です。

よく見かける普通のスケッチブックですが、保水性もあり水彩にも向いています。消しゴムをかけてもけば立ちにくいので、ペン画との相性も良いです。安いので心置きなくページが消費できます。
スケッチに軽く着彩する程度ならそのまま描いても大丈夫ですが、水をたくさん含ませて描きたい!たくさん色を重ねたい!というときは波打ちやすいので水張りをするか、アルシュの水彩紙を使っています。


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以上、愛用している画材についてのメモでした。皆さんもおすすめの画材があったら(アナログ・デジタル問わず)ぜひコメントやtwitterなどで教えてください。



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