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【種牡馬辞典】Nijinsky系・Vice Regent系

Nijinsky

<プロフィール>
1967年生、加国産、13戦11勝
<主な勝ち鞍>
1970年英2000ギニー(T8F)
1970年英ダービー(T12F)
1970年愛ダービー(T12F)
1970年キングジョージⅥ&QEDS(T12F)
1970年セントレジャー(T14.5F)
<代表産駒>
シャーラスタニ(1986年英ダービー、愛ダービー)
ファーディナンド(1986年ケンタッキーダービー、1987年ハリウッドGC、BCクラシック)
ラムタラ(1995年英ダービー、キングジョージⅥ&QEDS、凱旋門賞)
<特徴>
史上15頭目の英国クラシック三冠馬。種牡馬としても”神の馬”ラムタラなど名馬を多数輩出して、1986年には英愛リーディングサイアーにも輝いた。母Flaming Page譲りの胴長、脚長のモデルのような体型で豊富なスタミナが最大の持ち味。母方に本馬の血を持つダンスインザダーク(1996年菊花賞)やスペシャルウィーク(1998年日本ダービー)はその特徴を強く継承した競走馬であり、種牡馬であったといえるだろう。1977年英愛ダービー馬The Minstrel(=Far North)は甥にあたり、血統上は3/4同血の関係。また、同じくE.P.テイラー氏の生産馬であるStorm Birdとも相似な血の関係(Northern Dancer、Bull Page、Omaha=Flaresが共通)といえる。

-Green Dancer

<プロフィール>
1972年生、米国産、8戦4勝
<主な勝ち鞍>
1974年オブザーバーGC(T8F)
1975年仏2000ギニー(T1600m)
1975年リュパン賞(T2100m)
<代表産駒>
Suave Dancer(1991年仏ダービー、愛チャンピオンS、凱旋門賞)
Green Tune(1994年仏2000ギニー、1995年イスパーン賞)
エイシンプレストン(2001年香港マイル、2002、03年クイーンエリザベス2世C)
<特徴>
父は英三冠馬Nijinsky、母父は仏ダービー馬Val de Loirと重厚な組み合わせだが、母母Sly PolaがMan o' Warの4×4・4やDomino系Black Toneyの3×5などを持つアメリカ産スプリンター。本馬は父Nijinskyよりもスピードがあり、1975年仏2000ギニーをはじめ芝1600~2100mのGⅠで3勝を挙げた。ただ、本馬自身は濃いクロスを持たず、産駒は短距離~長距離まで幅広いカテゴリーで活躍。世界各国でGⅠ馬を輩出し、日本でもエイシンプレストン(1999年朝日杯3歳S、2001年香港マイル、2002、03年クイーンエリザベスⅡ世C)が国際的な活躍を見せた。

-マルゼンスキー

<プロフィール>
1974年生、橋本牧場産、8戦8勝
<主な勝ち鞍>
1976年朝日杯3歳S(T1600m)
<代表産駒>
スズカコバン(1985年宝塚記念)
サクラチヨノオー(1987年朝日杯3歳S、1988年日本ダービー)
レオダーバン(1991年菊花賞)
<特徴>
持込馬の出走制限によりクラシックの出走が叶わず、前脚の外向肢勢の影響などから屈腱炎を発症。8戦8勝で引退を余儀なくされた悲運の名馬。血統上はFlaming Page≒Buckpasserの2×2(Bull Dog=Sir Gallahad、Blue Larkspur、Menow、Man o' Warなどが共通)などから受け継ぐパワーが持ち味であるが、Nijinsky×Buckpasser×Princequilloならスタミナも豊富に内包していたと考えられ、産駒が芝とダート、短距離から超長距離まで幅広いカテゴリーで活躍したことがその証明であったといえるだろう。CaerleonやStorm Catとは共通点が多く、アメリカンなパワーを増幅。また、ゴールドアリュールの母母Reluctant GuestとはNijinsky、Princequillo、Bimelech≒Businesslike、Count Fleetなどが共通し、タケミカヅチ(2009年ダービー卿CT)やフーラブライド(2013年愛知杯、2014年中山牝馬S)など芝適性を高めるツボとなっている。

-Niniski

<プロフィール>
1976年生、米国産、14戦6勝
<主な勝ち鞍>
1979年愛セントレジャー(T14F)
1979年ロワイヤルオーク賞(T3100m)
<代表産駒>
Petoski(1985年キングジョージⅥ&QEDS)
Minster Son(1988年英セントレジャー)
Lomitas(1991年ベルリン銀行大賞、バーデン大賞、オイロパ賞)
Hernando(1993年リュパン賞、仏ダービー)
<特徴>
1979年愛セントレジャー、ロワイヤルオーク賞を制したステイヤー。父Nijinsky譲りの胴の長い馬体に、Tom Rolfe×Ridan×Eight Thirtyの母Virginia Hillsからパワー面も強化。種牡馬としては初年度産駒からPetoski(1985年キングジョージⅥ&QEDS)を出すなど芝長距離馬を多く輩出したが、アメリカでもLouis Cyphre(マーヴィンリロイH)などを出しており、ダートでもパワー負けしない資質は兼ね備えていたと考えられる。母母Ridanは名繁殖牝馬Thongの全兄であり、父父Northern DancerとあわせてNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingなどとは共通点が多い。日本で種牡馬としても活躍したアルカセットは両血脈を増幅した代表例といえるだろう。

--Lomitas

<プロフィール>
1988年生、英国産、19戦10勝
<主な勝ち鞍>
1991年ベルリン銀行大賞(T2400m)
1991年バーデン大賞(T2400m)
1991年オイロパ賞(T2400m)
<代表産駒>
Belenus(1999年独ダービー、オイロパ賞)
Silvano(2001年クイーンエリザベスⅡ世C、アーリントンミリオンS)
デインドリーム(2011年ベルリン大賞、凱旋門賞、2011、12年バーデン大賞、2012年キングジョージⅥ&QEDS)
<特徴>
独ダービーでは2着と敗れたが、ベルリン銀行大賞→バーデン大賞→オイロパ賞とGⅠ3連勝を挙げて1991年独年度代表馬に輝いた父Niniskiの代表産駒の一頭。さらに、種牡馬としてもGⅠ馬を多数輩出しており、2011年にはデインドリーム(2011年ベルリン大賞、凱旋門賞、2011、12年バーデン大賞、2012年キングジョージⅥ&QEDS)の活躍により仏リーディングサイアーにも輝いた。北米血脈主体の父Niniskiと欧州、特にドイツ血脈主体の母La Coloradaとの混血で特徴的な仕掛けはないが、種牡馬としては自身と同じ芝中長距離馬を多く出している。

-Caerleon

<プロフィール>
1980年生、米国産、8戦4勝
<主な勝ち鞍>
1983年仏ダービー(T2400m)
1983年ベンソン&ヘッジズGC(T10.5F)
<代表産駒>
ジェネラス(1990年デューハーストS、1991年英ダービー、愛ダービー、キングジョージⅥ&QEDS)
Moonax(1994年英セントレジャー、ロワイヤルオーク賞)
フサイチコンコルド(1996年日本ダービー)
マリエンバード(2002年ドイツ銀行賞、バーデン大賞、凱旋門賞)
<特徴>
名門La Troienne牝系に属し、母は1976年サンタアニタHなどを制したRoyal Glintの全姉という良血馬。やや鈍重な父Nijinskyの産駒ながらも、母父Round Tableや母母父Hail to Reasonの影響からスタミナと瞬発力を兼備したタイプだ。アイルランドで種牡馬生活を送りながら、日本でもフサイチコンコルド(1996年日本ダービー)やシンコウラブリイ(1993年マイルCS)、ゼンノエルシド(2001年マイルCS)、エルウェーウィン(1992年朝日杯3歳S)、ビワハイジ(1995年阪神3歳牝馬S)など活躍馬を多数輩出。日本で最も成功したNijinsky系種牡馬といえ、母方譲りの瞬発力がその支えとなっている。マルゼンスキーやStorm Catとは血統面で共通点が多く、前者との間ではアメリカンなパワーを、後者との間では軽いスピードを主に増幅する効果が見込める。また、ヨハネスブルグやPulpitなどの牝祖Stateとは相似な血の関係にあり、その血筋の良さから配合のツボになることも多い。

--ジェネラス

<プロフィール>
1988年生、愛国産、11戦6勝
<主な勝ち鞍>
1990年デューハーストS(T7F)
1991年英ダービー(T12F)
1991年愛ダービー(T12F)
1991年キングジョージⅥ&QEDS(T12F)
<代表産駒>
Catella(2000年ELEポカル)
ミスティックリップス(2007年独オークス)
<特徴>
1991年英ダービー、愛ダービー、キングジョージⅥ&QEDSを圧勝した1990年代欧州競馬を代表する名馬。母Doff the Derbyは本馬とImagine(2001年愛1000ギニー、英オークス)という2頭のGⅠ馬を輩出したほか、Wedding Bouquet(1989年愛ナショナルS2着)、オースミタイクーン(1997年マイラーズC、セントウルS)、Strawberry Roan(1997年愛1000ギニー2着)なども出した名繁殖牝馬。シンコウエルメスも繁殖牝馬としてボトムラインを広げており、牝祖としてディーマジェスティとタワーオブロンドンという2頭のGⅠ馬の誕生に貢献した。本馬自身は種牡馬として成功したとは言えないが、CaerleonとDoff the Derbyの仔という点は日本競馬においても貴重な存在。今後、本馬をキーパーツとする活躍馬が出てきても驚けない良血馬である。

-ロイヤルアカデミーⅡ

<プロフィール>
1987年生、米国産、7戦4勝
<主な勝ち鞍>
1990年ジュライC(T6F)
1990年BCマイル(T8F)
<代表産駒>
Oscar Schindler(1996、97年愛セントレジャー)
Val Royal(2001年BCマイル)
Bullish Luck(2006年安田記念)
<特徴>
Nijinsky産駒を代表するスプリンター。3代母First Roseは大種牡馬Tom Foolと血統構成が酷似した繁殖牝馬で、母Crimson SaintはThe TetrarchやDomino系Ultimus、Peter Panと快速血脈を重ねた配合形。競走馬としては1973年ハリウッドエクスプレスH(米GⅢ・D5.5F)などを制し、繁殖牝馬としては本馬のほかにダート短距離重賞4勝のTerlingua、同3勝のPancho Villaなどを輩出している。さらに、本馬の誕生前にTerlinguaがStorm Cat(1985年ヤングアメリカS)を出しており、本馬もNijinsky産駒でありながら牝系譲りのスピードを受け継いだスプリンターとして活躍した。なお、Storm Catの父Storm Birdと本馬の父NijinskyはともにE.P.テイラー氏の生産馬であり、本馬とStorm Catは相似な血の関係といえる。

Vice Regent

<プロフィール>
1967年生、加国産、5戦2勝
<主な勝ち鞍>
-
<代表産駒>
Deputy Minister(1981年ヤングアメリカS、ローレルフューチュリティS)
Trumpet's Blare(1989年アーリントンワシントンラッシーS)
Twice the Vice(1994年デルマーオークス)
<特徴>
カナダの年度代表馬、2歳チャンピオンに輝いたヴァイスリーガルの全弟。競走馬としては5戦2勝に終わったが、種牡馬としては11年連続で加リーディングサイアーに輝くなど大成功を収めた。母は種牡馬Victoria Parkの半妹で、本馬も北米血脈らしいパワーを子孫に継承。主にDeputy Minister(1981年ヤングアメリカS、ローレルフューチュリティS)を通してサイアーラインを世界に広めていった。Northern Dancer×Victoria ParkのノーザンテーストやThe Minstrelとは共通点が多く、カナダ産馬特有のパワーを増幅する血脈といえるだろう。

-Deputy Minister

<プロフィール>
1979年生、加国産、22戦12勝
<主な勝ち鞍>
1981年ローレルフューチュリティS(D8.5F)
1981年ヤングアメリカS(D8.5F)
<代表産駒>
オープンマインド(1988年BCジュベナイルフィリーズ、デモワゼルS、1989年ケンタッキーオークス、エイコーンS、マザーグースS、CCAオークス、アラバマS)
Touch Gold(1997年ベルモントS、ハスケル招待H)
Awesome Again(1998年ホイットニーH、BCクラシック)
<特徴>
2歳時にカナダとアメリカで9戦8勝を挙げて両国で2歳牡馬チャンピオンに輝き、カナダでは年度代表馬にも選ばれる。3歳時の怪我によりその後はGⅠタイトルを手にすることができなかったが、種牡馬としてもアメリカで大成功。父Vice Regentよりもスマートな体つきで、タイプとしてはダート中距離馬といったところか。日本では母父にDeputy Ministerを持つカネヒキリが本馬の特徴を強く受け継いだ代表馬といえるだろう。また、フジキセキとの相性の良さは有名であり、先述のカネヒキリを筆頭にミラクルレジェンド、サウンドトゥルー、ホワイトフーガなど多数のダートチャンピオンが出ている。これはDeputy MinisterのLadder≒Good Exampleの6×4・4とフジキセキの母母が持つWar Relic≒Eight Thirtyの4・4×5の親和性の高さが根拠となっている。

--Silver Deputy

<プロフィール>
1985年生、加国産、2戦2勝
<主な勝ち鞍>
-
<代表産駒>
Silverbulletday(1998年BCジュベナイルフィリーズ、1999年アッシュランドS、ケンタッキーオークス、アラバマS、ガゼルH)
Pool Land(2006年ラフィアンH)
Spring At Last(2008年ドンH)
<特徴>
怪我により2戦2勝で引退を余儀なくされたが、種牡馬としてはSilverbulletday(1998年BCジュベナイルフィリーズ、1999年アッシュランドS、ケンタッキーオークス、アラバマS、ガゼルH)などのGⅠ馬を複数出したDeputy Minister系種牡馬。Deputy Ministerの直仔ではあるが、母母Seven ValleysがMumtaz Begum≒Sun Princess≒Mahmoud≒Mah Iranの4・5・5×5・5というMumtaz Mahal系の影響を強く受け継いだ繁殖牝馬で、産駒のGⅠタイトルはすべてダートでのものだが、アタゴタイショウ(2002年函館2歳S)など芝の重賞勝ち馬も多数輩出している。GⅡ馬Posseが後継種牡馬として活躍し、その代表産駒であるマインドユアビスケッツ(2016年マリブS、2017、18年ドバイゴールデンシャヒーン)は日本で種牡馬入り。デルマソトガケ(2022年全日本2歳優駿)などを出して、2022年ファーストシーズンサイアーランキングのトップに輝いた。

---Posse

<プロフィール>
2000年生、米国産、18戦7勝
<主な勝ち鞍>
リヴァリッジBCS(D7F)
<代表産駒>
Kodiak Kowboy(2009年カーターH、ヴォスバーグS、シガーマイルH)
Caleb's Posse(2011年キングズビショップS、BCダートマイル)
マインドユアビスケッツ(2016年マリブS、2017、18年ドバイゴールデンシャヒーン)
<特徴>
競走馬としてはGⅡリヴァリッジBCSを制した程度だが、種牡馬としてはマインドユアビスケッツ(2016年マリブS、2017、18年ドバイゴールデンシャヒーン)などを出して父系を繋いだ父Silver Deputyの後継種牡馬。母RaskaはHail to Reasonの4×3、Nasrullahの4×5、Tudor Minstrelの5×5などを持つ父母相似配合で、本馬はNearcticの5×4とMumtaz Mahal血脈から優れたスピード性能を受け継いでいる。産駒のGⅠタイトルもダートの8F以下に限られ、自身に似た快速馬を多く出す種牡馬であった。

--フレンチデピュティ

<プロフィール>
1992年生、米国産、6戦4勝
<主な勝ち鞍>
1995年ジェロームH(D8F)
<代表産駒>
クロフネ(2001年NHKマイルC、ジャパンCダート)
Left Bank(2001年ヴォスバーグS、シガーマイル、2002年ホイットニーH)
サウンドトゥルー(2015年東京大賞典、2016年チャンピオンズC、2017年JBCクラシック)
<特徴>
競走馬としてはGⅡジェロームHを制した程度だったが、種牡馬としては日米でGⅠ馬を多数輩出。特に日本ではピンクカメオ(2007年NHKマイルC)やエイシンデピュティ(2008年宝塚記念)、アドマイヤジュピタ(2008年天皇賞春)、レジネッタ(2008年桜花賞)など芝のGⅠ馬も複数出しており、馬場不問の名種牡馬として活躍した。これは、母方のSpeak JohnやAmbiorixなどのフランス血脈の影響と考えられ、さらには強いインブリードを持たないために繁殖牝馬の特徴を尊重する種牡馬だったともいえる。ただ、父のパワー源のひとつであるLadder≒Good Exampleの6×4・4をEight Thirtyで薄く継続している点も忘れてはならないだろう。

---クロフネ

<プロフィール>
1998年生、米国産、10戦6勝
<主な勝ち鞍>
2001年NHKマイルC(T1600m)
2001年ジャパンCダート(D2100m)
<代表産駒>
カレンチャン(2011年スプリンターズS、2012年高松宮記念)
アエロリット(2017年NHKマイルC)
ソダシ(2020年阪神JF、2021年桜花賞)
<特徴>
2001年武蔵野Sでの9馬身差、ジャパンCダートでの7馬身差。たった2度のダート戦でつけた合計16馬身の着差で日本競馬界に大きな衝撃を与えた記録にも記憶にも残る名馬。惜しくも屈腱炎により引退を余儀なくされたが、もし無事であれば日本のダート路線の世界的立ち位置も変わっていたかもしれない。父フレンチデピュティは本馬のほかにエイシンデピュティやサウンドトゥルーなど芝とダートを問わず、さらには短距離から長距離まで幅広いカテゴリーで活躍馬を出した万能種牡馬。NHKマイルCとジャパンCダートを制した本馬はまさにその代表産駒だったといえるが、Northern Dancer≒Icecapadeの4×3やNever Bendなどからパワー面がさらに強化されており、本馬は父よりもややダート向きに振れたタイプともいえるだろう。種牡馬としては芝短距離やダートを中心にGⅠ馬を複数輩出。また、GⅠ馬のほとんどが牝馬という点は大きな特徴であり、近年は繁殖牝馬の父としても注目が集まっている。スピードの持続力に優れ、ハイペースの消耗戦には滅法強い。

--Awesome Again

<プロフィール>
1994年生、加国産、12戦9勝
<主な勝ち鞍>
1998年ホイットニーH(ダ9F)
1998年BCクラシック(ダ10F)
<代表産駒>
Ghostzapper(2004年ウッドワードS、BCクラシック、2005年メトロポリタンH)
ジンジャーパンチ(2007、08年ゴーフォーワンドH、2007年ラフィアンH、BCディスタフ、2008年オグデンフィップスH、パーソナルエンスンH)
Game On Dude(2012、13年ハリウッドGC)
Oxbow(2013年プリークネスS)
Sir Winston(2019年ベルモントS)
<特徴>
3歳5月にデビュー、4歳時にGⅠ初制覇を果たした晩成型Deputy Minister産駒。種牡馬としてもGhostzapper(2004年ウッドワードS、BCクラシック、2005年メトロポリタンH)を筆頭にGⅠ馬を多数輩出して大成功を収めた。半弟Macho Unoも2000年BCジュベナイルを制し、種牡馬としてもMucho Macho Man(2013年オーサムアゲインS、BCクラシック)やダノンレジェンド(2016年JBCスプリント)などを出している。母母Prime ProspectがCount Fleetの4×4、母Primal ForceがNasrullahの3×5と柔らかいThe Tetrarchの血を豊富に持つが、自身は父同様の掻き込みの強い走法で、産駒のGⅠ勝ちもすべてダートでのもの。父と同じく北米血脈由来のパワーを子孫に伝え、日本でも繁殖牝馬パーソナルレジェンドがミラクルレジェンド(2013年エンプレス杯)やローマンレジェンド(2012年東京大賞典)などのダートの活躍馬を輩出している。

---Ghostzapper

<プロフィール>
2000年生、米国産、11戦9勝
<主な勝ち鞍>
2003年ヴォスバーグS(D6.5F)
2004年ウッドワードS(D9F)
2004年BCクラシック(D10F)
2005年メトロポリタンH(D8F)
<代表産駒>
Judy the Beauty(2014年マディソンS、BCフィリ―&メアスプリント)
Guarana(2019年エイコーンS、CCAオークス、2020年マディソンS)
Mystic Guide(2021年ドバイワールドC)
<特徴>
2004年BCクラシックをレコードタイムで制し、同年北米年度代表馬に輝いた父Awesome Againの代表産駒の一頭。半兄には2000年米ホープフルS優勝馬City Zipがいる。母Baby ZipはWar Relic≒Eight Thirtyの5・5×5とMahmoudの4×6などを経由したThe Tetrarch血脈からスピードと柔軟性を兼備。本馬の掻き込みの強い走法は父譲りだが、5代アウトブリードの血統構成も相まって種牡馬としては幅広いカテゴリーの活躍馬を出し、Better Lucky(2012年メイトリアークS、ファーストレディーS)などの芝の活躍馬も複数輩出した。また、GⅠ馬のほとんどが牝馬というフィリーサイアーでもあり、今後は繁殖牝馬の父としても注目の種牡馬だろう。


≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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