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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 第24話 対外国資本編8


はじめに

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 この小説には暴力的表現、性的な表現が含まれています。
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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社24話

 「よぉ、マハル、話はよーーーく聞かせてもらった。オレたちはバカじゃねぇ。聖奈がお前のボスの夫人になったって?アイツがそんなタマか?ボスのチンコをバカにしても股は開かねぇよ。」
 「聖奈さんにタマ?ボスのチンコを何故知ってる!?」
 「ボケに付き合う気はねぇよ。とにかくオレの嫁は返してもらうぜ。」
 「無理です、ボスのチンコで聖奈さんにベビー作ります!」
 「ボスに言っとけ、アイツにチンコ突っ込んだら人生終わるからなとな。」
 「え・・・?ポイズンでも?」
 「お前のキャラクター嫌いじゃねえんだけどシリアスな場面だとズレっから何か締まらねぇな、啖呵がよ。」
 オレはとりあえずマハルに啖呵を切った、そして梅野と計画を練った。計画はこうだ、今日の時点でオレと中山の顔は割れてる、おそらく正面から行ったらすぐさま警備員や何やらにとっ捕まるだろう、それに中から人員が山のように出てくる。オレたちが暴れれば暴れるだけ事態は悪くなるだろう。
 だが、それが良い。そうしているうちに力自慢の畠山と腕も実力もある梅野が突入すればそれなりの人間を締め上げて居場所くらいは掴めるはずだ。
 オレと中山は幸か不幸か、裏社会と軍隊とは言え火器から鋭利な得物までそれなりにノウハウがある。やはりチャカは触った事がある人間じゃないとセーフティすら外せねえ。オレですら中山の足元にも及ばないだろう。守秘義務で教えてもらえてはいねぇが、少なからず潜入であったり銃火器については中山がリードして大暴れしてくれたらオレは爆竹でも鳴らしときゃ良いんだ。
 というわけで、明らかにソレとわかる雰囲気でオレと中山が正面から突入する。それに先んじて梅野と畠山にはエミレートの建物内に居てもらう。突入のタイミングについては「Echo」を合言葉にする。
 フォネティックコードって言葉を聞いた事があるか?Aを「アルファ」、Bを「ブラボー」、Cを「チャーリー」って呼ぶアレだ。Sierra、Hotel、India、Echo、Lima、Deltaで「SHIELD」って暗号になったりするコードだ。今回は4人だからな複雑なコードはいらねぇ。ましてや2-2でのミッションだからな。「ENTER」のE、「Escape」のE、Echoさえ使えれば何とかなる、それに周波数防波帯使ったインカムやクリアな音質のイヤモニも使えねぇからな。だったら統一したほうが楽なんだ。それに犯人はオレたちと分かってる事件を隠しても意味ないからな。
 「聖奈の居場所だけをまずは尽力してくれ。奴らの生死はその次だ。」
 「分かっています。」
 梅野たちは長年の付き合いで言わなくても分かってくれる部分もある、このあたりは阿吽の呼吸で何とかなるはずだ、中山と畠山が取ってくれた情報だと聖奈は末尾の夫人でガキを作る肉奴隷的な立場なんだろうが、血痕もあったと聞いてる。悲観的にも楽観的にも振る舞いにくい。
 「戻りました。」
 畠山と中山も戻って来た。オレは身体は動かねぇが頭はクリアで沸々と怒りとアドレナリンが湧いて来やがる。細かいことはアドレナリンが誤魔化してくれる。そんな感じだ。何より、オレが聖奈をいつものようにこき下ろすならともかく、他のやつの好き勝手に慰みモノに使われてたまるかって心理は強かった。
 オレは計画を中山と畠山にも告げた。ただ焦ってやっても失敗するだけだ。今晩やるわけにもいかない。タイミングだけは4人で相談して決める事にした。
 悠長に構えて大丈夫なのかって?オレは少なくとも聖奈の命は120%無事だと踏んでいたからだ。ボスの夫人を殺したとあったらそいつらは末代まで切り捨てられるだろう、江戸以前の日本のように。だから聖奈を殺すような事はしないはずだ、ましてやガキを孕まそうって魂胆ならな。だが、無傷かどうかはそれは話が異なる。だから、命は保証されてるが無事かどうかは分からねぇ。それがオレの推測だ。だからこそ、焦っちゃいけねぇ。今日負った傷が明日治るわけでも無い、傷の数をしっかり数えて
請求書をUAEに送り付けてやる。
 「エミレートファイナンスは自前の航空会社もありますが、現在は日本に直行便はありません、韓国かインドかは分かりかねますが、乗り継ぎが必要です。」
 「てこたぁ、まだ聖奈はこっちに残ってる可能性が高いな。」
 「航空データではチャーター便も設定はされておりません」
 「梅野、良い情報だ、エミレートの便名が増えたらポップアップ出すようにしておいてくれ。」
 「はい。」
 「わざわざ、向こうのボスがこっちに来るとは思えねぇ、マハルたちが飛行機まではどうにかするはずだ。兎にも角にも時間はねぇが、焦るのはもっとダメだ。」
 オレたちは作戦会議を重ねた。細かな段取りや役割に加え、シチュエーションコントロール、この場合はこうする、この場合はこうするっていうのを想定しうる限り練っておくんだ、極端な話、コイツがやられたらって場合まで含めてだ。死ぬ気はさらさらないが相手がいることだからな。こればっかりはどうなるか予想ができん。
 「大河さん、決行日は?」
 梅野が1番大きな問題点をオレに託した。オレは決めていた、自分の体の状況、相手の警戒感、情勢の動向、最も良いのは3日後あたりだ、だが、それでは聖奈が心配だ。だからオレは作戦会議中から考えて決めていたんだ。
 「帰着36時間後。」
 中山たちが帰ってきて、合流した時刻は午後の15時。つまり明後日の21時だ。この時間にする。あそこは大都会だ、人目につかず侵入なんて都合のいいことはできない。第三者の被害を出すわけにもいかない。となるとだ、客がいない時間で人が多少でも減る夜が良い。それに相手も待ってるはずだ、夜っていう時間帯は。エミレートファイナンスが相手で1つだけ助かるのは時差の関係だ、日本の夜の9時だと向こうはまだ、ギリギリ業務的な時間、一般社員はともかく本社出向的な扱いをされている連中は残ってる。今回用があるのはそこの連中だけだ。
 戦略っていうのは難しいもんで『読まれてないことばかりをする』ことばっかりが正解じゃない、時には分かっていても読まれていても表のほうが正解だって事もある。裏をかきたがり過ぎると自分が裏をかかれた時にめちゃくちゃ弱かったりするからな。だから、時間帯としては表、作戦としては表と裏の併用ってわけだ。相手に『何してくるかわからねぇ』って思わせるのが大事なんだ、いつも裏をかこうとすると『アイツらは裏をかいてくる』って読まれたら自分達が裏と思ってることは相手の表で精神的も態勢的にも大きな不利となる。馬鹿の一つ覚えみたいに立ち向かい続けて惨敗するのも馬鹿だが、策略家ぶってざまぁないことになるやつもまた馬鹿だ。
 ということで、相手が待っているだろう時間帯で相手が待ってない人間がコアな情報を獲にいくって算段だ。もっとも、エミレートファイナンスと日本警察を相手にするのは大変だろうがな、そこは覚悟済みだ。
 そして時間はあっという間に36時間経過したオレたちはエミレートファイナンスのビルの前に勢揃いした。梅野と中山には時間外対応窓口から店内に入ってもらった。あいつらはうまくやる。
 オレたちは普段はスーツ着だが、オレと中山はこの日は突入に合わせて黒の警備服を用意して準備は万端、多少の攻撃なら生地が助けてくれることがあるかもしれない。さぁ、エミレートファイナンス。聖奈は返してもらうぞ。

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