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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 第28話 対外国資本編12

はじめに

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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 第28話

 「なぁ、マハル、入り口は前行ったところでいいのか?」
 「ノーです、アンダーグラウンドへの入り口はとってもコンプレックスポジションにあります、行けなくないけど遠い。」
 「近道だと敵兵もいるんじゃないのか?」
 「聖奈さんのセキュリティに行ってるならそんなに居ないはずです、こう見えてもエミレートファイナンスはアラウンドザワールドに会社あります、日本だけにフォーカスは出来ないし、平和な日本に兵隊がそんなに数揃えられないです。」
 中山が口を挟む。
 「ここに来ているのは本部の部隊ではないのか?」
 「兵隊事情は私はそこまで知りません、兵隊来ます、了解です、だけです。でも、エミレートファイナンスは敵ばっかり、特に日本よりもスーパーデンジャラスエリアは世界中に山のようにありますから。メイビーですけど、ナンバーワンやナンバーツーみたいなのは来てないはずです。」
 「そうだろうな、ここでそんなものを使うのはキャパオーバーだ。」
 車の中で中山と畠山とオレにマハルを加えた4人は移動しつつ話を続けていた。キリストの話が出てからのマハルは口が軽過ぎるくらいペラペラと話す。日本にはねぇが宗教的な争いっていうのは世界では恐ろしい事態の引き金になりかねないんだろうな。梅野に関してはオレの説得に理解をしてくれてヤツ単独で全て動いてくれている。リハーサルもねぇ一発勝負の重い役目だが、アイツならできるはずだ。
 「マハル、聖奈は殺されてねぇんだろうな?殺してやがったら母国の国民まで全員消すぞ。」
 「大河さん、目が本気です。」
 「ったりめぇだろ。」
 「あぁ・・・うーん、そんなバカなことはしないと信じたいですが、断言出来ないです。」
 「なぜ?」
 「彼らは禁欲生活が長いです、ボスの夫人と分かっていても・・・正直に言います、聖奈さんはトゥーホット。ジャパニーズビューティーです。私が見てもそう思いました。だかr」
 ドゴッ。
 「アウッ!な、何ですか!?」
 「人の嫁を変な目で見やがって・・・。」
 「ノーノー!大河さん、聖奈さんを見て何も思わないのはメンズとしてクレイジーね!」
 バコッ。
 「ノーノー、バイオレンスはノーです!彼女はとてもエロい人d」
 バキィ!
 「うぅ・・・。」
 「社長、その辺で。話の続きを聞きましょう。」
 「あぁ、済まない、つい。」
 「お気持ちは分かります、処理は後でも出来ますから。」
 「だな。畠山のトレーニングに付き合ってもらうか。」
 「うすっ。」
 「ノー・・・話を戻すと、あんなにホットな聖奈さんに欲情しないかはネバーノウズ。メンズの皆さんなら分かるでしょう、理屈や理性をエモーションが超える時を。」
 「ほー、そうか。もし、そうなっていたら・・・。」
 「いたら・・・?」
 「聖奈の周りにいる奴らは全員殺す、先に。」
 「・・・大河さんもエミレートファイナンスに負けずのクレイジーです。」
 「自社がクレイジーって認めたな。」
 「ノーノー!」
 ふむ、超精鋭揃いじゃないのは助かるが、ただのならず者が聖奈の周りにいる可能性ってのはありがたくない情報だな。エミレートファイナンスグループは確かに世界中に進出している。日本に来るのがおそかったくらいだ。そう言われたら日本は治安がいいし少なくとも武力で戦おうなんて奴はオレたちしかいないだろう、フリークメディアだって尻尾巻いて今回の件は見だしな、とにかく聖奈を見つけ出して脱出出来るならこれで終わりでいいんだ。
 オレたちはマハルから言われた地点に車を止めた。あの摩天楼からはだいぶ距離がある。
 「ここは、私たちの・・・フェイクカンパニー。日本語で何というのか分かりませんが、ここからアンダーグラウンドゾーンに行けます。」
 「地下なのか?」
 「地下のところもあります、ノーマルな所もありますが、この辺はアラウンドでエミレートファイナンスが買ったので、土地の所有権や増築は何の問題もなく行っております。居場所についてはまだ何とも言えないです・・・。」
 「そうか、まぁ、案内してくれや。あ、マハル。」
 「なんですか?」
 オレの方を振り向いてマハルの目を見ながら、オレはマハルの言う『フェイクカンパニー』の中に入った直後に畠山に指示した。
 「畠山、コイツを後ろからクビ締めといて。落ちない程度に。」
 「うす。」
 大蛇のような畠山の腕はマハルの頸動脈を圧迫する。
 「く・・・くるじぃ・・。」
 「話せるなら大丈夫だな。」
 オレたちはそのマハルの言う『アンダーグラウンド』に侵入していく。地下と地上があると言っていたが、そのフロアは問題じゃなかった。
 「なんだよ・・・これ。」
 目で見える範囲、ずーーーっと先まで同じ景色が広がっている。中央で見たら左右に同じ景色が広がっている状況だろう。ヒントがなく、無機質な会議室調の、あるいは取り調べ室のような空間が左右に広がっている。人の出入りがあれば分かるのだろうが、誰もいないと不気味さが際立つ。
 「マハル、一部屋一部屋調べるしかないか?」
 「イ・・イエズ・・・ぐ・・ぐるじい。」
 「畠山、5%緩めて。」
 「うす。」
 「あ゛んまりがわっでない・・。」
 「よし、聞き取りやすくなった。」
 オレたちは一部屋一部屋警戒しながら部屋の中を確認していく。不気味なほど同じ構造、生活感もなく無機質な部屋だ。時計もない、人が生活しているような状態でもない。ただ、所々の部屋に残る血痕や影。明らかに穏やかなものではないものが目にも付く。どうにかして聖奈を早く見つけ出さないと。変な気を起こした連中が出たら困るからな。
 とはいえ、素早く見つけたくても全く不気味なほど同じ構造で静かな空間。これは難儀しそうだ、と思っていた時だった。
 「社長、前方80メートル。右の扉。人の気配があります。」
 中山が進言してきた。それに臨戦体制を整えた。中山はこう言う時に冗談を言ったり外したりする奴じゃない。オレもすかさず光り物の位置などを確認する。無論、交戦そして好戦ありきじゃない。聖奈が無事に解放できるならそれで良い。
 「よし、気をつけて行こう、マハルを脅しに使うことも含めてな。検討していかないといけないな。」
 「ノォゥ・・・。」
 「畠山、襲ってきたらマハルを落とせ。」
 「うす。」
 「もちろん、絞め落とすんだぞ。」
 「うす。」
 「ノォゥノォゥ。」
 オレと中山は先陣をきって進んでいく。そして目当ての部屋に着いた時、確かに部屋の中から声がする。男、しかも複数人いる。女の声はしない。
 中山がドアノブに手を掛ける。
 「echo!」
 一気にオレたちが部屋の中に雪崩込む、1、2、3、4、5人。その音に気が付いて男どもがオレたちの方を振り向いて何を言っているか分からない言葉で捲し立てる。
 「マハル、訳せ。」
 「は・・・はい・・・『なんだ・・・おまえらは・・・何者だ・・・』」
 「攫われた嫁を探しにきた男だよ。」
 「『嫁・・・あぁ・・・このボスの・・・女の・・・ことか・・・。』」
 5人の男が足元に目をやった。
 オレはその奴らの目の先に視線を向ける。男どもは中山が牽制してくれている。出来る兵士なら既に発砲してる。こいつら2流だ。オレは男どもの影から女の姿が目に入った。
 それは見慣れた骨格でなぜか上半身が露出している女だ。
 明らかに聖奈だとオレは確信できた。
 オレは男たちの間を抜けて聖奈に歩を進める。聖奈を近くで見ると、まず明確に左腕の上腕が折られている、胸肋部には明らかな打撃による内出血があり赤紫色をしている、胸部や腰部、臀部は強く握られたのだろうか指の形をした圧迫瘢痕からの内出血が見られる。そして、顔や胸の上には白い液体がふりかけられていた。
 「た・・・たいが・・・?」
 後ろで兵隊どもが怒鳴り始めたが、マハルを失神させるくらい畠山が締めたら静かになった。
 「オレだ。」
 「あぁ・・・たいが・・・。腕・・・折られた・・・感覚がないや・・・。」
 「あぁ、折られてる。痛かったろ。」
 「・・・うん・・・。」
 「ここは蹴られた?」
 「そう・・・。」
 「胸は?」
 「・・・揉まれて。お尻も・・・。」
 「そうか。」
 「でもね・・・わたし・・・守ったよ・・・。」
 「オレ専用・・・だもんな。」
 「うん・・・そしたら・・・私見ながら・・・アイツら・・・自分で抜いて・・・おしっこも・・・。」
 「そうか、分かった。畠山と病院にいこう。」
 「た・・・たいがは?」
 「オレ?オレはな、やることが今出来た。」
 「今・・・?」
 「そう。大丈夫だ、お前は何にも気にするな、しっかり先生に診てもらって治すことに専念しろ。」
 「うん・・・。」
 オレは聖奈を抱き上げ、マハルを絞め落として手持ち無沙汰になった畠山に聖奈を託す。
 「後は頼むぞ、畠山、必ずあとでオレも向かう。」
 「うす。でも、オレ、ムカつきました。」
 畠山はそう言うと、1番近場にいる兵士の襟首をガツっと掴んで引き寄せると頭と首を反対方向にあらん限りの力で捻った。
 バキッ!
 っと音を立てたと同時に1人の兵士が力無く崩れ落ちて倒れた。
 「そ・・・そいつ・・・わたしの・・・腕折ったやつ・・・。」
 「そうだったのか、今、畠山が頭蓋骨と頸椎を捻って分離させて離断してやったからな、これでおあいこだな。もう、聞こえちゃいねぇだろうけどな。気が付いたらあっちの世界へご案内されちまったんだ、当然の報いだな。」
 「社長。」
 畠山は兵士が倒れたのを確認すると聖奈を受け取って軽やかに来た道を戻り始めた。他の兵士が騒然とする中で中山は締め落とされたマハルのアゴに銃を突きつけ奴等を牽制する事を忘れていなかった。
 「大河さん。どうやら殲滅作戦に変更のようですね。」
 「あぁ、中山、すまん、手を煩わせる。」
 「気になさらないでください、久々で滾ります。」
 「あぁ、オレがなんで『悪魔』と呼ばれているかの理由を世界中に示してやる。」

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