見出し画像

アニメ「平家物語」観ました

予告映像や高野文子さんのキャラクター造形ということで、昨年から話題になっていたアニメ「平家物語」。
深夜枠放映を観られず…NETFLIXで全11話鑑賞しました。期待通り、とにかく映像が素晴らしかった。もちろん音楽もストーリーもですが、やはり、映像の美しさに特筆すべきものがありました。私アニメ絵けっこう苦手なものも多い(童顔に女っぽさを強調した、“よくある”絵が好きになれない)のですが、これはOK。陰惨な戦場面も遠い世界のおとぎ話として観られたし。もちろん、実際の戦の悲惨さは、頭の片隅でちゃんとわかっていつつ…平家物語の世界に酔わされました。
松山ケンイチが主演を務めた大河ドラマ「平清盛」、また観たくなったな。「平清盛」では禿…平家の悪口言う者を取り締まる子供たち…が妖しく美しく描かれていましたが、アニメ「平家物語」でも冒頭に禿が出てきて、全編通し不穏さがいっぱい。
平家物語は、誰もが良く知る…と言っても多くの人が知るのは“朝廷を掌握するほどの権力を誇りながらすぐに滅びた”ってことくらいかと。“平家にあらずんば人にあらず”とか、中学時代に習った「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」の一節を思い出す人が多いかと。中学生のときはあまりピンときてなかった私…でもこの冒頭部分を“暗記させられた”のって今思うと凄く大事なことだった。やはり若い頃に覚えたことは記憶としてかなり定着していて、この盛者必衰の理には、日本の美意識、文化のエッセンスがつまっている。
平家物語、と言えば悲劇の結末。なかでも幼い安徳天皇の入水…山岸凉子作の漫画「海底より」が心に残っている。悲しそうな安徳天皇の顔が目に焼き付いています。もちろん、アニメ「平家物語」でもその場面はしっかりあり。安徳天皇…極楽浄土で暮らしているといいな。
アニメ「平家物語」…平家の人々に思い入れしてしまうね。重盛とその息子たち、徳子、敦盛らに心を寄せずにはいられない。平家に生まれたことは、逃れられない運命だった。
主人公のびわは、重盛の家に引き取られた琵琶の弾き手で、平家の運命を見届けます。重盛の子たちはどんどん成長していくのに、びわはずっと子供のまま。びわが、人を超越した、人の世界を客観的に眺める存在であることを象徴しているのだと感じました。
源氏の面々も出てきます。頼朝と政子の絵は、大泉洋と小池栄子に近いような…雰囲気似てる気が…。これから「鎌倉殿の13人」観るときに思い出しそう。この事件のとき平家はこうだったんだな、などの想像も巡らせながら。
語り継がれてきた文学の、普遍の素晴らしさを、感じるアニメ作品でした。

この記事が参加している募集

#アニメ感想文

12,230件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?