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essay『人は苦手、だけど人が好き』過去投稿の中で人気の記事をまとめました。
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健康的に生きる

健康的に生きる

「simple is the best」

どこで知った言葉なのかも
だれが言っていた言葉なのかも知らないけれど
なぜか、だれもが知っているこの格言

シンプルこそが至上のものである

無駄を削ぎ落としたものにこそ
最上の洗練が宿る

本当にそうだろうか?

そんな問いに出会ってしまった最近の話

ここ最近は建築がおもしろいなあ、なんて思って
建築史について勉強してみたり
都内の有名な建築を少しず

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なにをするかで世界と繋がる

なにをするかで世界と繋がる

さいきん、納富信留さんの著書
『プラトン 理想国の現在』を読んでいて
現代人がプラトン哲学(主に主著『国家』)を
読む意義とは、みたいな問いに対して
あーでもない、こーでもない、と考えていた

基本的人権という概念、
法治国家というシステム、民主主義という思想、
そしてそれらをうまく乗りこなせない人類、
そんな時代に"理想"を語るプラトンが果たす
役割とは...

そんな、明確で簡潔な結論のないこ

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依存してしまう私たちへ

依存してしまう私たちへ

なにかとか、だれかに依存してしまうことって
悪いことなのだろうか

したくなくてもしてしまう人にとっては
それはきっと苦しく、忌むべきことで

したくてもできない人にとっては
たぶん羨ましくて、少しだけ悲しいこと

依存の善悪と人の在り方のバランスは
とてもぐらぐらしていて難しいと思う

たった1人だけで生きていては
主体も他者も、存在も非存在も
なにもかにも分からなくなってしまう
ちっぽけで寂し

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ハーゲンダッツを食べきれないくらいの憂鬱

ハーゲンダッツを食べきれないくらいの憂鬱

少し前に友達と中目黒で飲んで
酔い覚ましに夜の街を散歩していたときに

その友達から
"本の中に答えを探しているような人"
と言われた

うん確かに、言い得て妙だな
と我がことながら思った

その友達(正確にはその友達の友達)は僕に
「本を読むのをやめれば?」とも言っていた

そうだね

そうできるなら、そうしたい

プラトンに言わせればそれは
『パルマコン』的なものなのかもしれない

治療薬であ

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孤独に愛された人は

孤独に愛された人は

物心ついてから今に至るまで
ひとりが好きだなあ、と思ってきた

ちょっと頑張ってみた時期もあったけれど
なんだかんだでひとりが落ち着く

家に帰ってひとりになって
ほっとひと息、ため息を吐いて
安心してしまっている自分への小さな憂鬱と

友人と目黒川沿いの遊歩道で過ごした時間に
話し足りなさを感じる対照的な感傷に
小さな違和感を感じている今日この頃の話

昔から集団行動が苦手で
いつどの集団に属し

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この街で

この街で

東京に上京してきた9年前の初夜

ほぼ埼玉みたいな都境の1K6畳
家賃3万8千円の1階角部屋で
18歳の僕は誰に誓うでもなく
ひとり心に決めたことがあった

「絶対、この街で成功してやる」

「あの街(仙台)には絶対に戻らない」

メラメラ燃えたぎる野心と功名心
そして夢と希望を目一杯抱え込んで
この街には闘いに来ている、と息巻いていた

あれから9年、上京してきて10年目になる

当時の気持ちを

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愛なのか、エゴなのか

愛なのか、エゴなのか

「愛ってなんだろうね」

少し前に友人と新大久保で昼から
キムチとポッサムを肴に
マッコリを飲んでいた日のこと

彼と2人で飲むといつも
ほろ酔いで柔らかくなった脳みそで
漠然とした大小様々な問いについて
あーでもない、こーでもないと
いつまでも話が尽きないから楽しい

『エゴイスト』という映画の話になって
(まだ僕は観ていなかったけれど)
友人は小気味良いネタバレをもらしつつ
主題とされる愛とエ

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「優しさとは」という途方もなく答えのない問いの一仮説

「優しさとは」という途方もなく答えのない問いの一仮説

「他人に優しく在る」という
とてもシンプルなことさえ実現できれば
この世界で起きているほとんどの争いは
なくなるのかも知れない

でも、それはたぶん無理だろう

実際には、僕たちは
「他人に優しく在る」こと"だけ"出来ない

他人を蔑ろにすることも
他の何よりも自分の利益を優先することも
他人の大切なものを馬鹿にすることも
否定も批判も無視も仲間外れも

全部ぜーんぶ簡単に実現出来ていて
何なら得

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美しい、ってなんだろう

美しい、ってなんだろう

家庭を築いた友人の家に招かれて
キンキンに冷えたビールとワインを飲む

幸福も、苦悩も、希望も、孤独も、愛も
全部飲み込んで彼は「幸せだよ」と
小さくて、でも耳心地の良い声で言った

その力強く優しい瞳を、僕は美しいと思った

急に呼び出された居酒屋で
叶わない、そして望んではいけない人に
恋をしてしまった友人が静かに泣いていた

その涙を、僕は美しいと思った

今までの人生と、世界を肯定して

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祈りと哲学

祈りと哲学

「主よ

 変えられないものを受け入れる心の平静と

 変えられるものを変える勇気と

 その2つを区別する知恵をお与えください」

「ニーバーの祈り」
または「平静の祈り」と呼ばれる一節

僕が大切にしている、道標のような言葉

ストア哲学の何たるかを
端的に表現している一節でもある

僕たちは生きていて
勇気よりも、心の平静を必要とする場面に
沢山、たくさん遭遇する

それは恐らく、
この世界

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人生に、ノイズ(noise)を

人生に、ノイズ(noise)を

思い返せば
"雑音"に耳を塞いで生きてきた様に思う

日々の生活に潜む大小種々多様な雑音

静寂で平和な日常を侵すノイズ(noise)...

「ストレスを極力感じないで生きる」を目標に
集団を避け、人間関係を回避して
ここまで生き方や働き方を選択してきた

それらと関わらない様に

心乱されない様に、傷付かない様に

一対一なら築ける可能性のある関係性も
集団になると途端に歪なノイズで溢れ返る

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白ではなく、黒でもない

白ではなく、黒でもない

0か、100か

好きか、嫌いか

白か、黒か

世界はそんなに綺麗な境界線で
整理整頓されている訳ではない

全てはグラデーションで
あっちでもなく、こっちでもなくて

どちらかと言うとあっちで
でも最近はこっちな気もしていて

結局、どっちなんだろう

僕は何処に居て
あなたは何処に居るんだろうか

そんな微妙な中間地点で
僕たちは誰もが必死に
毎日を生きているのかも知れない

群れに溶け込め

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「話せば分かり合える」と思うのは

「話せば分かり合える」と思うのは

1932年5月15日
青年将校に銃を向けられた首相・犬養毅は
「話せば分かる」と言い残して凶弾に倒れた

歴史の授業で習う五・一五事件

「話せば分かる」
「問答無用!」

バキュン!

犬養さんは何を思ってそう言ったのだろうか

喫緊に迫っている政治的な暗雲を
軍部の言いなりで察しきれなかった
命乞いの言葉だったのか

"話し合い"という合理的かつ純粋な
問題解決方法をあくまで信じ続けた
誠実で

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空を歩く

空を歩く

"なにかを信じている人"を
僕は美しいと思う

それはなにかを信じきれない
自分のルサンチマンをそこに見るからなのか

美のイデアをその向こう側に
感じているからなのか

そうだね、たぶんどっちもだ

自分を信じられたなら
それを人は、"自信"と呼び

他人を信じられたなら
それを人は、"信頼"と呼び

神さまを信じられたのなら
それを人は、"信仰"と呼ぶ

信じる、って
シンプルだけど難解だと思

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