Kei N.

都内在住29歳。日々の煩わしさと愛おしさについて。

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都内在住29歳。日々の煩わしさと愛おしさについて。

マガジン

  • essay『人は苦手、だけど人が好き』

    静かな憂鬱とプラトニックな希望を行ったり来たりする日々の、世界滅びないかなぁと思った昨日と誰かのふとした言葉に救われてしまった今日の話。煩わしくて愛おしい、人と人との分かり合えなさについて。

  • 断片

    本を読みながらまとめた私的なメモです。気になるトピックがもしあれば参考までに。

  • 人気記事

    essay『人は苦手、だけど人が好き』過去投稿の中で人気の記事をまとめました。

記事一覧

29

そういえば先月、29歳になった 今年は20代最後の1年となる 孔子は言ったそうだ「三十にして立つ」 これからどうしたい?どうなりたい? なにをしたくて、なにをしたくな…

Kei N.
2日前
47

【読書メモ】中国哲学史/諸子百家から朱子学、陽明学まで

「中国(語)の経験を通じて、批判的に普遍に開かれていく哲学的な実践」 →哲学の普遍史VS地域的な思想史と言う枠組みを変形し、世界哲学に寄与する中国哲学、世界哲学史に…

Kei N.
4日前
43

点と点を繋ぐように

先日、お客様と施術中にお話をしていて なるほど、と今まで見ていた景色が ふと拓けた瞬間があった 「名探偵コナンってラブコメなんですよ」 主題歌のイントロを聴いただ…

Kei N.
6日前
71

【読書メモ】大乗仏教の思想について

○インド仏教史の四区分 原始仏教/部派仏教/大乗仏教/秘密仏教 ◎般若経典 →大乗仏教の中では比較的釈迦の教えを忠実に発展させている →出家という形をとらないで在家…

Kei N.
7日前
52

待ち合わせは

朝、いつもより少し早い時間の電車に乗る ちょうど2方向に分岐した丸の内線が 1本に合流する最寄駅 5分違うだけで発車駅が違う車両が来るので いつもより少し早い時間の…

Kei N.
13日前
67

【読書メモ】釈迦について

釈迦(しゃか、旧字体:釋迦、サンスクリット: शाक्यमुनि、Śākyamuni) 北インドの人物で、仏教の開祖。 存命していた時代については後述の通り紀元前7世紀、紀…

Kei N.
2週間前
54

自由に生きたい、と人は言うけれど

「自由に生きたい」ということを 今までたくさん読んで、観て、出会ってきた フィクションの中の登場人物たちは言っていた 彼ら、彼女らの背中を追いかける どう考えても…

Kei N.
2週間前
81

【読書メモ】「おのずから」と「みずから」 ―日本思想の基層

人生のさまざまな出来事は、如意の「みずから」と不如意の「おのずから」との、両方からのせめぎ合いの「あわい」で出来ている →「あわい」=「あいだ」を動的に捉える概…

Kei N.
2週間前
19

【読書メモ】デリダについて

ジャック・デリダ Jacques Derrida (1930年7月15日 - 2004年10月9日) フランスの哲学者で、一般にポスト構造主義の代表的哲学者と位置づけられている -・-・-・-・-・-・-…

Kei N.
3週間前
38

【読書メモ】アルチュセールについて

ルイ・ピエール・アルチュセール Louis Pierre Althusser (1918年10月16日 - 1990年10月22日) フランスの哲学者で マルクス主義哲学に関する研究において著名 -・-・-・-…

Kei N.
3週間前
21

健康的に生きる

「simple is the best」 どこで知った言葉なのかも だれが言っていた言葉なのかも知らないけれど なぜか、だれもが知っているこの格言 シンプルこそが至上のものである …

Kei N.
1か月前
144

なにをするかで世界と繋がる

さいきん、納富信留さんの著書 『プラトン 理想国の現在』を読んでいて 現代人がプラトン哲学(主に主著『国家』)を 読む意義とは、みたいな問いに対して あーでもない、こ…

Kei N.
3か月前
133

ピッチャーであり、同時にバッターであるような矛盾

さいきん建築に興味がわいてきて 建築史について勉強してみているときに モダニズム建築が抱える哲学的な問いに出会った 『建築は"自律的"であるべきなのか』 形而上学的…

Kei N.
3か月前
73

依存してしまう私たちへ

なにかとか、だれかに依存してしまうことって 悪いことなのだろうか したくなくてもしてしまう人にとっては それはきっと苦しく、忌むべきことで したくてもできない人に…

Kei N.
7か月前
154

ため息の、その次は

ため息の、その次が大事なんだと ここ最近ふと気づかされた気がする はぁ、 と吐いたため息を ため息のままに止めてしまうのか その次にもまた懲りずに酸素を吸い込んで …

Kei N.
7か月前
68

アウフヘーベン、しない

『世界に価値のない人など  ただの1人も存在しない』と 『自分にとって価値のない人は  この世界に存在している』は 矛盾しつつも両立していると思う 別に綺麗ごとを…

Kei N.
7か月前
96
29

29

そういえば先月、29歳になった
今年は20代最後の1年となる

孔子は言ったそうだ「三十にして立つ」

これからどうしたい?どうなりたい?
なにをしたくて、なにをしたくない?

休みの日の夕方
暮れはじめた西の空をぼんやり眺めながら
ふるさと納税で届いたジャパニーズワインを
ひとり空けて

ふわふわした頭で
やけに大きく響く鼓動を静かに感じながら
何度も自分自身に問うてみる

いまは夜も更けて21

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【読書メモ】中国哲学史/諸子百家から朱子学、陽明学まで

【読書メモ】中国哲学史/諸子百家から朱子学、陽明学まで

「中国(語)の経験を通じて、批判的に普遍に開かれていく哲学的な実践」

→哲学の普遍史VS地域的な思想史と言う枠組みを変形し、世界哲学に寄与する中国哲学、世界哲学史に寄与する中国哲学史を発明すること

→×中国における哲学
 ×中国的な哲学

⚪︎大学の哲学研究に対する批判
→純粋な"哲学をすること"ではなく、ヘーゲルの「歴史」、カントの「普遍史」などの概念を念頭においた西洋哲学を解釈することを中

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点と点を繋ぐように

点と点を繋ぐように

先日、お客様と施術中にお話をしていて
なるほど、と今まで見ていた景色が
ふと拓けた瞬間があった

「名探偵コナンってラブコメなんですよ」

主題歌のイントロを聴いただけで
どの映画版のバージョンなのか当てられるという
とんでもない特技(これはもはや才能)をお持ちの
コナン好きのお客様はそう言って笑っていた

毎年この時期になると映画が公開されて
もはや春の風物詩ともいえる『名探偵コナン』

この日

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【読書メモ】大乗仏教の思想について

【読書メモ】大乗仏教の思想について

○インド仏教史の四区分
原始仏教/部派仏教/大乗仏教/秘密仏教

◎般若経典
→大乗仏教の中では比較的釈迦の教えを忠実に発展させている

→出家という形をとらないで在家のまま覚る

→般若=全ての道理や物事を明らかに見抜く深い智慧のこと

○6つの完成
①施しの完成
⚪︎財施...良きものを施す
⚪︎法施...法を施す
⚪︎無畏施...畏れある人々に安心を施す

②道徳の完成
覚りを求めるものは道

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待ち合わせは

待ち合わせは

朝、いつもより少し早い時間の電車に乗る

ちょうど2方向に分岐した丸の内線が
1本に合流する最寄駅

5分違うだけで発車駅が違う車両が来るので
いつもより少し早い時間の電車は
目算で乗車率115%ほど

いつもの余裕のある車内と打って変わって
ぎゅうぎゅうに混んでいた

寿司詰めにされた車内の中程には
ベビーカーを畳んでグズる子供を抱き抱える
お母さんがいて

「すみません、すみません...」と

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【読書メモ】釈迦について

【読書メモ】釈迦について

釈迦(しゃか、旧字体:釋迦、サンスクリット: शाक्यमुनि、Śākyamuni)
北インドの人物で、仏教の開祖。
存命していた時代については後述の通り紀元前7世紀、紀元前6世紀、紀元前5世紀など複数の説があり正確な生没年は分かっていない。

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

○時代背景
バラモン教の祭式万能主義への批判
→家庭祭や天啓祭で人が救われるのではなく、智

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自由に生きたい、と人は言うけれど

自由に生きたい、と人は言うけれど

「自由に生きたい」ということを
今までたくさん読んで、観て、出会ってきた
フィクションの中の登場人物たちは言っていた

彼ら、彼女らの背中を追いかける

どう考えてもたくさんのものに拘束されていて
朝、出勤する反対方向の電車に急に飛び乗ったり
なんて到底できる気もしない僕たちは
「自由に働きたい」ということを
合言葉のように夜な夜な口ずさんでいる

自由ってなんだろう

会社に縛られたくない、依存

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【読書メモ】「おのずから」と「みずから」 ―日本思想の基層

【読書メモ】「おのずから」と「みずから」 ―日本思想の基層

人生のさまざまな出来事は、如意の「みずから」と不如意の「おのずから」との、両方からのせめぎ合いの「あわい」で出来ている

→「あわい」=「あいだ」を動的に捉える概念
二者の相互に行き交う相克、共和、共働という動的な関わり

『自(ずか)ら』
「おのずから」成ったことと、「みずから」為したこととが別事ではないという理解

→「みずから」の営みを超えて働く働きへの、ある感受性の表明

"包容的、寛容的

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【読書メモ】デリダについて

【読書メモ】デリダについて

ジャック・デリダ
Jacques Derrida
(1930年7月15日 - 2004年10月9日)
フランスの哲学者で、一般にポスト構造主義の代表的哲学者と位置づけられている

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

◎決定不可能性の思考
↪︎「不可能性の可能性」というアポリア(出口なし)について思考すること

『アポリアあるいは決定不可能性の試練がなければ、決定も責任=応

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【読書メモ】アルチュセールについて

【読書メモ】アルチュセールについて

ルイ・ピエール・アルチュセール
Louis Pierre Althusser
(1918年10月16日 - 1990年10月22日)
フランスの哲学者で
マルクス主義哲学に関する研究において著名

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

◎マルクス哲学(認識論)について
資本論の中で働いている潜在的な哲学に
顕在的な形を与えること、が
アルチュセールの哲学的課題

→マルクス

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健康的に生きる

健康的に生きる

「simple is the best」

どこで知った言葉なのかも
だれが言っていた言葉なのかも知らないけれど
なぜか、だれもが知っているこの格言

シンプルこそが至上のものである

無駄を削ぎ落としたものにこそ
最上の洗練が宿る

本当にそうだろうか?

そんな問いに出会ってしまった最近の話

ここ最近は建築がおもしろいなあ、なんて思って
建築史について勉強してみたり
都内の有名な建築を少しず

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なにをするかで世界と繋がる

なにをするかで世界と繋がる

さいきん、納富信留さんの著書
『プラトン 理想国の現在』を読んでいて
現代人がプラトン哲学(主に主著『国家』)を
読む意義とは、みたいな問いに対して
あーでもない、こーでもない、と考えていた

基本的人権という概念、
法治国家というシステム、民主主義という思想、
そしてそれらをうまく乗りこなせない人類、
そんな時代に"理想"を語るプラトンが果たす
役割とは...

そんな、明確で簡潔な結論のないこ

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ピッチャーであり、同時にバッターであるような矛盾

ピッチャーであり、同時にバッターであるような矛盾

さいきん建築に興味がわいてきて
建築史について勉強してみているときに
モダニズム建築が抱える哲学的な問いに出会った

『建築は"自律的"であるべきなのか』

形而上学的な領域で
解像度荒く、ぼんやり薄目で概念を眺めると
どうやら建築は哲学的で、哲学は建築的らしい

ここでいう"自律的"というのは
18世紀ドイツの哲学者カントの哲学に
由来していて、とても小難しくて抽象的なので
ふにゃふにゃにほどい

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依存してしまう私たちへ

依存してしまう私たちへ

なにかとか、だれかに依存してしまうことって
悪いことなのだろうか

したくなくてもしてしまう人にとっては
それはきっと苦しく、忌むべきことで

したくてもできない人にとっては
たぶん羨ましくて、少しだけ悲しいこと

依存の善悪と人の在り方のバランスは
とてもぐらぐらしていて難しいと思う

たった1人だけで生きていては
主体も他者も、存在も非存在も
なにもかにも分からなくなってしまう
ちっぽけで寂し

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ため息の、その次は

ため息の、その次は

ため息の、その次が大事なんだと
ここ最近ふと気づかされた気がする

はぁ、

と吐いたため息を
ため息のままに止めてしまうのか
その次にもまた懲りずに酸素を吸い込んで
静かな深呼吸にしていくのか

吐いて、吸って、の循環だけは
どうか止めないようにと
本の中のもはや息をしていない哲学者たちは
静かに淡々と語りかけてくる

ため息の、その次は
ニーチェの言う「力への意志」であり
デリダの言う
「決定

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アウフヘーベン、しない

アウフヘーベン、しない

『世界に価値のない人など
 ただの1人も存在しない』と

『自分にとって価値のない人は
 この世界に存在している』は

矛盾しつつも両立していると思う

別に綺麗ごとを話したいわけではないし
個人的な恨み辛みが積もっているわけでもない

でも、声を大にしては言えないけれど
そんな実感がある気がしている

前者だけが真実なのだとしたら
僕たちはずいぶん多くの人たちを
許さなくてはいけなくなるだろう

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