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『あなたの人生、片づけます』 垣谷美雨

【ほぼネタバレなし】

ちょうど一年ほど前に、映画『老後の資金がありません!』の感想を投稿した折に、コメント欄のやりとりで原作本があることを知り、垣谷美雨さんという作家を初めて知りました。

今回図書館でたまたま見つけたのが、『あなたの人生、片づけます』
(2013年刊)です。


プロの「片づけ屋」大庭十萬里おおばとまりが主人公。

『あなたの片づけ手伝います』という著書があり、知る人ぞ知るその道のエキスパート。
(こんまりこと、近藤麻理恵さんみたいなイメージですね)

依頼を受けて片づけられない人のお宅を訪問し、まず心の問題から片づけていくというお話。
(タイトルからお察しの通り)

ケース1からケース4まで、4つの短編で構成されています。

①一流企業に勤める独身OL(都内マンションに一人暮らし)

②妻に先立たれた高齢男性(下町の職人)

③地方在住の資産家未亡人(だだっ広いお屋敷に一人暮らし)

④官舎住まいの高級官僚の妻(元客室乗務員)

一見恵まれた境遇の人たちにも、それぞれに片づけられない事情があります。

顧客の心の奥の秘密の扉を開き、片づけられる人へと導くのが十萬里の腕の見せどころ。
名探偵ばりの推理で、事件(?)は一件落着。

実は依頼人は汚部屋の住人ではなく、身内であるというのもミソ。
当事者だけでなく、家族の関係や抱える問題も浮き彫りになり、物語に奥行きを与えています。

正直な感想をいえば、そこまでの意外性はなく、順当な着地。
娯楽小説として安心して読めます。


いかにも映像化に向いていそうなこの作品。
主役の十萬里を演じるのはあの女優さん、OL役はあの人で、職人気質のおじいさんはあの俳優さんが適役…などと頭の中で勝手にキャスティングしながら楽しみました。
(ラジオドラマになったことはあるようです)

身近で現代的なテーマが親しみやすく、一気に読むことができました。

この作品を読めば、
あなたもきっと片づけたくなる!






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