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OKI if800 - ビジネス向けパソコン登場

初期のパソコンがもっぱらホビー用途で売られていた間にも、今までミニコンを使っていたり、大型機のサービスを受けていたビジネス用途としてのマイコンを使ったコンピュータを売り込んでいた会社もいくつかありました。

沖電気は、NECと同じく電話交換機なども作っている電電ファミリーでしたし半導体も製造していました。

沖電気工業

アメリカでのパソコンの使われ方を見て、もっとビジネスに特化した製品があれば、後発でも充分に勝負できると踏んだのか、1980年の春にZ-80を積んだif800をリリースしました。

最初に出たのは本体のみのmodel10とディスプレイと5インチFDを2台積んだmodel20でした。いずれも10インチのプリンタを内蔵していました。model10はプリンタしかありませんが、まさか画面を使わずプリンタだけでプログラムを使おうという訳ではなく、自由にディスプレイを選べるというだけではあったのだと思います。とはいえ、なぜプリンタを内蔵に?というのはなかなか疑問でした。やはりビジネスは紙が基本だからなのでしょうかね。

当初は一般的なパソコンのように内蔵されていたマイクロソフト系のOKI-BASICで、ビジネスアプリを動かすという使い方でした。当時としては画期的な640✕200ドット✕8色のグラフィック画面を持っていたのですが、なにせ値段が100万超えなので間違ってもゲームをするようなパソコンではありません。

if800

model20はディスプレイもプリンタも内蔵していますし、これだけ買ってくれば全てが揃うオールインワンがコンセプトだったようです。

【沖電気】 if800

この方向性に自信を持ったのか翌年にはオールインワンのコンセプトそのままに8インチFDを搭載し、OSも最初からCP/Mとし、さらにメモリもバンク切り替えにより最大256Kまで搭載できるmodel30を発売しました。グラフィック画面も640✕400と倍増し、本格的に漢字を扱うことができるようになりました。

沖電気IF800 - パソコン博物館1978-1983

いよいよ日本でも本格的なビジネス向けのパソコンが登場したと大いに話題になり、その功績をたたえて2015年に情報処理技術遺産の認定も受けています。

OKIのパーソナルコンピューター「if800モデル30」が情報処理技術遺産に認定

とにかくお高かったので、お店で見ることはあっても、これを使っているのを見ることが出来るのは、ビジネスソフトを開発している会社であるとかコンピュータに理解のある先進的な会社くらいしかありませんでした。もっとも随分と経ってから、おそらく中古として放出されるようになってからだと思うのですが、CP/M開発マシンとして使われているところは見ました。作りが素直ですしオールインワンはやっぱり便利だったんですよね。

いっとーさえてるOKIのパソコンif800

ビジネス向けとしては一定の地位を築いたようで、その後しばらくは会社向けには売れ続けてはいたようで、ほぼ同じようなデザインで83年には8086を積んで16ビットになりMS-DOSが動くmodel50を出したものの、このあたりから他のパソコンが追いついてきて、差別化が難しくなったのか、徐々に姿を見なくなり1988年に386を積んだIF800 EX、486を積んだIF 800 GXを出したまでで、このシリーズは終わりました。

その後、AX規格のDOS/Vに活路を見出しましたが、あまりパッとせず21世紀を迎える前にはパソコン事業から撤退することになってしまいました。とはいえ沖電気はプリンタ事業には活路を見出していて、ビジネス向けプリンタでは一定のシェアを持っていますし、x86サーバでもまだまだ頑張っています。

沖電気 - 商品・サービス

最初からビジネス向けに絞ったあたり、どうも一般向けの商売には自信がない会社のようです。まあどんな会社にも向き不向きはありますからね。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BMC_IF800_20_03.JPG
Miguel Durán, CC 表示-継承 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3380902による

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