Kazuoki Crest

物理(物の理屈)を極めるつもりが、24時間戦えますか、のベンチャーで技術屋として働いて…

Kazuoki Crest

物理(物の理屈)を極めるつもりが、24時間戦えますか、のベンチャーで技術屋として働いてきました。が、極度の緊張性頭痛で何もできなくなって10年余、脇見歩きで「なんやこれは????」とつぶやきながら、徘徊してしのいでいます。映画、音楽、ガーデニングで癒されるのが薬です。

最近の記事

ダッタン人の踊り

歌劇「イーゴリ公」  このノートは、「ロシアのもろもろ(6)ヴァイキング」で述べた、1185年に、ロシアのイーゴリ公がタタール人(=ダッタン人=ポロヴェッツ人;国や地方によって呼び方が変わるのでややこしい)と苦戦する「イーゴリ軍記」を受けて書いています。  タイトル写真にあるように、「イーゴリ軍記」に基づくボロディン(1833-1877)作曲による歌劇「イーゴリ公」のなかに有名な「ダッタン人(ポロヴェッツ人)の踊り」があります。 Stranger in Paradise

    • ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(6)ヴァイキング

      ウラジーミル・プーチンが、ロシアの原点と考えている、988年にキリスト教に改宗したウラジーミル大公とは・・・・ ウラジーミル・プーチンが信じているロシアの原点とは? プーチンは、名前が同じだけで、歴史的、血縁、縁戚関係は何もないが、自分がほぼ1000年後にロシアのKGBの職に就き、大統領まで上り詰めたことに、意味のある因縁があると、確信しているように見受けられる。  その千年前のウラジーミルを調べると、当時の東ヨーロッパでのヴァイキングの活動を追う羽目になった。 ヴァイ

      • 蘭の高芽取り

         デンドロビウムの高芽をへご板に着生させて、4年間育てています。 デンドロビウムは、茎がしおれて死にかけると、高芽という根が生えた新芽ができます。2020年に、しおれた茎ごとへご板に着生させてみました。 へご板というのは、ヘゴという木製シダ植物の茎の繊維や根が複雑に絡まりあった素材で、着生植物の着生素材として使われています。実は、近くのホームセンターですぐに手に入らず、一世代前の、倉庫に眠っていたものを使ったのですが、防腐処理がされているのか、最初はうまくいきませんでした。

        • ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(5)プーチン登場

           今回は、ティモシー・スナイダーの「自由なき世界ーフェイクデモクラシーと新たなファシズム」を中心に、書かせてもらいます。  原著がロシアのウクライナ侵攻前の2018年で、(日本では2020年、慶応技術大学出版会)当時、これを読んだ多くの人たちが、 この本を、専門家でさえ「こんな途方もない話があるんかいな???」と思って、途中で読むのを投げ出したようです。 ソ連邦の崩壊からプーチンの登場まで 1991年8月18日、ゴルバチョフに変ってエリツィンが大統領となり、12月ロシアは

        ダッタン人の踊り

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(4)民族自決の流れ

           今回は、旧ソ連邦における民族自決の流れと、ソ連邦解体に伴う反動的な動きのお勉強。今の所まだ、モンゴル語が専門の言語学者である田中克彦氏の「シベリアに独立を!」をたどっていきます。引用文は『 』にします。  早くプーチンに登場願いたいのですが、ここでの議論の流れは、ロシアの現状の背景を知るには大切なことだと感じるので(私の知らなかった、歴史の学びのためにも)、やはり要点だけでも書き留めておきます。 概要 著者の言いたいことを、私なりに咀嚼した言い方をすると、「近代戦以降は

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(4)民族自決の流れ

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(3)シベリア民族

          おさらい 前々回「シベリアに独立を!」という本を読みながら、シベリア民族についての知識を深めていこうとしていたところでした。  著者「田中克彦」氏は、モンゴル語を専門とする言語学者で、ポーターニンというシベリアの探検家、地理学者、民俗学者の生い立ちと活動を中心に、話を進めています。 ポターニンの生い立ちと背景:復習  ロシアの探検家、地理学者、民俗学者のポターニンは1835年、シベリアの、旧ソ連の核実験場の近くにある、セミパラチンスク(今日はカザフスタン共和国領)の近く

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(3)シベリア民族

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(2)草原の実験

          タイトル画像は、核実験でできたクレーター 前回どこまで書いたか、頭の整理  ロシアのウクライナ侵攻の時に、ジョージア(グルジア)について気になってたら、たまたま、ジョージア・ドイツ合弁映画「ジョージア、白い橋のカフェで会いましょう」を見たのだった。  映画のタイトル、街角や、日記を書くシーンなどで、ジョージア語の文字がいたるところに出てくるのだが、これにすごく感銘して調べると、世界で一番かわいい文字とか、ジョージア文字がユネスコ世界無形文化遺産に登録されているとかで、余計

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(2)草原の実験

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(1)

          イントロロシアがウクライナに侵攻した2022年4月のメモ 次の歌詞、ここ一か月、頭の中でリフレインし始めることしばしばです。 特に最後の、ジョージアズ おんまいまいまいまい・・・マーインド ビートルズの通称「ホワイトアルバム」1968 の第一曲 Back in the USSR。 The Ukraine(ユークレイン) girls really knock me out They leave the West behind And Moscow girls mak

          ごまめのごたく:ロシアのもろもろ(1)

          SHINE:転落からの帰還

           今回は「SHINE」(1996)。オーストラリアの映画。  アーティストが上り坂で転落。失われた人生からの帰還を描く。  実際に日本にも来て公演したことのある、デヴィッド・へルフゴットの生涯を描く。厳格な父親に一流のピアニストになることを強いられ、コンクールでラフマニノフを演奏するが、精神に変調をきたして、記憶障害となる。そののち何年かして、あてどなく雨の中をさまよっているへルフゴットのシーンから映画は始まります。雨宿りの場所にぴったりの、ピアノパブを見つけて・・・・オープ

          SHINE:転落からの帰還

          ブルージャスミン~TAR~ダンサーインParis・・それぞれの人生

           前回紹介した「泳ぐひと」を見た後には、人生に敗北した現実を突き付けられた主人公、ネッド・メリルの妻ルシンダや娘たちの人生はどのようなものだったのだろう・・・などと妄想の余韻が残る。    時代の波に乗って儲けた男が、事業に失敗してその資産を全て失ってしまった後の、妻の側から物語 2014年ウッディアレン監督の映画 ブルージャスミン 映画の冒頭から最後のシーンまで、ジャスミンの独り言らしからぬ独り言が、物語の展開を支配しています。 会話の相手がいることは意識しているのかい

          ブルージャスミン~TAR~ダンサーインParis・・それぞれの人生

          時の狭間のシネマ:「泳ぐひと」

          1950年代から1960年代初めのアメリカの経済成長の波に乗った富裕層と、それを支える家族や地域社会を蝕みつつある病の兆しを、絶妙なタッチで描いた奇妙な味の異色作です。  1970年ごろ、たいがい街のどこかに単館映画館があって、複数の映画が併映されていてた。指定、入れ替え無しで、上映途中で入ってもよかった。満席で立ち見、通路の階段に座ってみてもよかったし、オールナイト上映も普通にあった。  学生時代、名古屋で、この時も飲んだ後の酔い覚ましに入ったかと思う。確かメインが「猿

          時の狭間のシネマ:「泳ぐひと」

          歴史の断層と交流:めぐりあう時間たち

          映画「めぐりあう時間たち」 数年前、「めぐりあう時間たち(The Hours)」をWOWOWで見た。(妻がドラマ好きのおかげで、随分前にWOWOWを契約し、家では、そのおこぼれで映画を見てます)DVDに落として三回くらい観た。 2002年アメリカ映画。  ヴァージニア・ウルフの小説「ダロウェイ夫人」の主人公である、クラリッサ・ダロウェイ風の人々の群像劇。 ・ 1923年の英国、リッチモンドでのヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)の1日、 ・ 1951年のロサンゼ

          歴史の断層と交流:めぐりあう時間たち

          記憶の記録:ニジンスキー

          タイトル画像は、QUEEN ”I want to break free” のMVで、ニジンスキーの「牧神」のポーズをとるフレディー・マーキュリー はじめに・経緯  この稿を書き始めるに至った経緯を少し説明しておきます。  ぼくは、関心を持ち始めると、たいがい、「ここ掘れワンワン」と深堀し始めるのですが、ところが脇見歩きが性分で、探索を始めると、棚から牡丹餅というか、本題と関係ないようなことに気をひかれて、脇道に入ってしまうことしばしばです。ところが、どこかで最初の本題との

          記憶の記録:ニジンスキー

          ベートーベンの第九「歓喜の歌」の周辺

           今年は、ウィーンでの「第九」の初演(1824年)から200年、日本での日本人による初演から100年という節目。  そこでベートーベンの交響曲第九番と、その曲構成を支える、第4楽章の合唱「歓喜の歌」の解釈の変遷のごたくです。 はじめに 違和感 日本で、年末の恒例になっているのですが、聞くだけなら、歌詞の内容に踏み込むことはあまりないと思います。  一般的なイメージとしては、世界中の人々が、人種や思想、信条を乗り越えられることを信じて、天空の高見から人類はみな同胞であること

          ベートーベンの第九「歓喜の歌」の周辺

          歴史の断層と交流:年末恒例「ベートーベンの第九」

          はじめに コロナ禍に襲われて、2020年から三年中断した「一万人の第九」が12月3日、四年ぶりに大阪城ホールで開催されました。私は2018、19年の二回参加して以来の、三回目の参加ですが、やっと開催されたということで、今までになく盛り上がっていました。 今回は、1983年の最初の開催以来初めて、全都道府県からの参加があったそうです。 (タイトル写真は、12月2日本番前日リハーサル開場4時45分の15分前。全国から参加者が続々と集合するも一歩も動かず)  そこで、第九に関す

          歴史の断層と交流:年末恒例「ベートーベンの第九」

          ごまめのごたく:歴史の断層と交流

          はじめにー茨木市福井というところ  千里丘陵の探索から茨木とアジアの関わりへ、好奇心の赴くままに探索してきたのですが、ちょうど、千里丘陵の北側に活断層が東西に入っていて、そこを亀岡街道が横切っているあたり、茨木市福井周辺を実際に現地を歩きながら過去に思いをはせていると、ここは「歴史の断層と交差点」だ、という感じがします。  もとはといえば、10年ほど前に茨木童子に関心を持って「茨木童子の素顔に迫る」を読んだことからスタートしています。この本から地図を参照させてもらいます。

          ごまめのごたく:歴史の断層と交流