【詩のようなもの】赤い手

道路に子猫が死んでいた
車に轢かれたのだろう
ふらふらと道に歩み出し
クラクションとブレーキの音の中
亡骸を両手で持っていた
滴る赤色に手を染めて
歩道に戻る
赤い手で警察に連絡したら
道路緊急ダイヤルを知り連絡した
その人が引き取って行く
『この亡骸はどうされるんですか?』
『この近くのゴミ処理場で焼却処分されます』
ゴミ……と一緒に……
『これ良かったらどうぞ』
タオルを渡されて手の赤に気づく
一人残された歩道
道路には亡骸の跡
偽善者
僕が火葬しますとは言えなかった
たかが子猫一匹
それだけなのに
胸が痛い
涙が止まらない
まだ赤い手をそっと合わせた



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